2016年12月の後発品割合69.8%、次のターゲットは「80%以上」の第2目標に―協会けんぽ
2017.4.11.(火)
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽでは、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合が昨年(2016年)12月時点で69.8%(数量ベース、新指標)となり、政府の掲げる「後発品使用割合70%以上」の第一目標までわずか0.2ポイントとなった―。
こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が11日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。現時点(2017年4月)で、すでに第一目標は達成されていることは確実でしょう。次のターゲットは「2018から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする」との第2目標となります。
協会けんぽの後発品使用割合、すでに「70%以上」の第1目標達成は確実
新規医療技術の開発・普及、高齢化の進展などに伴い我が国の医療費が増加を続けており、国民の負担能力を超えつつあります。政府は「公的医療保険制度の持続可能性」を確保する必要があるとし、医療費の増加そのものを抑える(医療費の適正化)方策の1つとして「効果が同じで価格が安いジェネリック医薬品(後発品)」の使用促進を重視しています。具体的には、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2018年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定しています。
協会けんぽを運営する全国健康保険協会でも、かねてから「後発品の使用促進」を重要施策に位置付け、加入者に対し「後発品に切り替えた場合には、自己負担額が○○円軽減されます」といった効果通知を発出しているほか、毎月の後発品使用割合を公表などしています。昨年(2016年)12月の状況を見ると、数量ベースで69.8%(新指標、調剤分)となり、過去最高記録を更新しました。
2016年度診療報酬改定以降の、後発品割合の動向を見てみると、▼2016年4月:66.8%(0.3ポイント増)→▼5月:67.1%→(0.2ポイント増)→▼6月:67.3%→(0.2ポイント増)→▼7月:67.5%→(0.4ポイント増)→▼8月:67.9%→(0.4ポイント増)→▼9月:68.3%→(0.5ポイント増)→▼10月:68.8%→(0.6ポイント増)→▼11月:69.4%→(0.4ポイント増)→▼12月:69.8%—となっています。1か月当たり平均0.38ポイントのペースで増加している計算で、さらに増加のスピードが上がっています。現時点(2017年4月)ですでに政府の第1目標値である「70%以上」をクリアできていることは確実でしょう。今後は、第2目標の「80%以上」に向けた取り組みが重視されます。
沖縄や鹿児島など26道県で70%以上を達成、徳島・山梨でも伸び率は大きい
協会けんぽ全体では目標達成が確実な状況ですが、都道府県別に見ると依然として大きなバラつきがあります。
昨年(2016年)12月に後発品割合が高かったのは、沖縄県(80.5%)、鹿児島県(76.6%)、岩手県(75.7%)、宮崎県(73.4%)、長野県(72.9%)、富山県(72.7%)、山形県(72.6%)、島根県(72.3%)、青森県(72.2%)、宮城県(72.1%)、新潟県(72.0%)、佐賀県(71.8%)、鳥取県(71.7%)、熊本県(71.6%)、北海道(71.6%)、石川県(71.5%)、山口県(71.4%)、福井県(71.3%)、静岡県(71.0%)、群馬県(70.9%)、愛知県(70.6%)三重県(70.4%)、長崎県(70.4%)、滋賀県(70.2%)、福岡県(70.0%)、埼玉県(70.0%)で、これら26道県ではすでに目標を達成しています。
逆に徳島県58.8%(前月から0.7ポイント増)、山梨県61.8%(同0.9ポイント増)、高知県63.5%(同0.2ポイント減)などでは、目標達成までにもうしばらく時間が掛かりそうです。ただし、徳島県や山梨県は前月から大きな伸びを示しており、今後に期待が持てそうです。
なお、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の76.6%(前月から0.2ポイント増)、去たん剤の72.7%(同0.1ポイント減)、消化性潰瘍用剤の65.6%(同0.1ポイント増)など、金額ベースでは血管拡張剤の63.4%(同0.2ポイント増)、去たん剤の56.7%(同0.2ポイント減)、抗生物質製剤(主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの)の40.3%(同0.8ポイント増)などとなっています。
逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の2.4%(同増減なし)、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の10.2%(同増減なし)など、金額ベースでは代謝拮抗剤の1.9%(同増減なし)、抗ウイルス剤の2.9%(同0.1ポイント減)などです。
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