後発品割合68.8%、政府目標の70%までわずか1.2ポイントに迫る―協会けんぽ2016年10月
2017.3.2.(木)
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽでは、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合が昨年(2016年)10月時点で68.8%(数量ベース、新指標)となり、政府の掲げる「後発品使用割合70%以上」の第一目標までわずか1.2ポイントとなった―。
こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会がこのほど公表した医薬品使用状況から明らかになりました(関連記事はこちらとこちらとこちら)(協会のサイトはこちら。
協会けんぽの後発品使用割合、現状ペース維持できれば今年(2017年)2月に目標達成
新規医療技術の開発・普及や高齢化の進展などによって医療費が我々の負担能力を超えて膨らみつつあり、公的医療保険制度の持続可能性確保が国の大きな課題となっています。そうした中で、医療費の増加そのものを抑える(医療費の適正化)方策の1つとして、「効果が同じで費用が安いジェネリック医薬品」(後発品)の使用促進が重視されています。政府は、「2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とし、18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする」という目標を設定しています。
協会けんぽを運営する全国健康保険協会でも「後発品の使用促進」を重要施策とし、加入者に対して「後発薬に切り替えた場合には、自己負担額が○○円軽減されます」という効果通知を行っているほか、毎月の後発品使用割合を公表するなどしています。昨年(2016年)10月の状況を見ると、数量ベースで68.8%(新指標、調剤分)となり、過去最高記録を更新しました。
2016年度診療報酬改定以降の、後発品割合の動向を見てみると、▼2016年4月:66.8%→▼5月:67.1%(前月から0.3ポイント増)→▼6月:67.3%(同0.2ポイント増)→▼7月:67.5%(同0.2ポイント増)→▼8月:67.9%(同0.4ポイント増)→▼9月:68.3%(同0.4ポイント増)→▼10月:68.8%(同0.5ポイント増)―となっており、1か月当たり平均0.33ポイントのペースで増加しています。このままのペースが維持されれば、むと、今年2017年2月には政府の第一目標値である「70%以上」をクリアできる計算です。
沖縄や鹿児島など17道県で70%以上を達成、一方、徳島・山梨・高知では依然低調
協会けんぽ全体では目標達成が確実な状況ですが、都道府県別に見ると、依然として大きなバラつきがあります。昨年(2016年)10月に後発品割合が高かったのは、沖縄県(80.4%)、鹿児島県(75.4%)、岩手県(75.1%)、山形県(72.4%)、富山県(72.0%)、長野県(71.8%)、宮崎県(71.8%)、青森県(71.4%)、宮城県(71.0%)、石川県(70.9%)、新潟県(70.8%)、島根県(70.8%)、北海道(70.8%)、山口県(70.61%)、佐賀県(70.2%)、熊本県(70.1%)、福井県(70.0%)で、これら17道県ではすでに目標達成しています。ただし、宮崎県では伸び悩み(前月からゼロ%増)となっています。
逆に徳島県57.6%(前月から1.0ポイント増)、山梨県60.4%(同0.2ポイント増)、高知県63.2%(同0.3ポイント増)などでは、前月からの上昇はあるものの、目標達成までにまだまだ時間が掛かりそうです。
この点について2月22日に開催された中央社会保険医療協議の総会でも、協会を代表して出席している吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「後発品割合の全体的な底上げはもちろん、『地域差』を分析したうえで診療報酬での対応を検討すべき」とコメント。徳島・山梨・高知において後発品使用が進まない原因などを、さらに詳しく分析する必要がありそうです。
なお、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の76.3%(前月から0.4ポイント増)、去たん剤の72.5%(同0.1ポイント増)、消化性潰瘍用剤の65.6%(同0.2ポイント増)など、金額ベースでは血管拡張剤の63.1%(同0.5ポイント増)、去たん剤の56.7%(同0.6%増)、抗生物質製剤(主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの)の38.6%(同0.6ポイント減)などとなっています。
逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の2.3%(同0.4ポイント増)、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の10.3%(同0.6ポイント増)、金額ベースでは代謝拮抗剤の1.8%(同0.3ポイント増)、抗ウイルス剤の2.9%(同0.3ポイント増)などです。
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