Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

医療・福祉分野、規模の小さい事業所・施設ほど重い労働災害が発生しやすい―厚労省

2018.5.9.(水)

 病院や診療所、介護施設などでは、規模が小さいほど、労働災害が発生しやすく、かつ災害の程度も重い―。

 厚生労働省が5月7日に公表した、2017年の「労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

医療・福祉分野、近年、程度は重くなっていないものの、労災の発生頻度が高まっている

 厚労省は、主要産業における労働災害の発生状況を調べ、毎年、公表しています。労働災害の状況は(1)発生頻度を示す「度数率」(2)災害の重さを示す「強度率」(3)「死傷者1人平均労働損失日数」—の3要素で見ることができます。まず、主要産業全体の状況を見てみましょう。

 (1)の労働災害発生の頻度を示す「度数率」(100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数(休業1日以上・身体の一部または機能を失う労働災害による死傷者数に限定))を見ると、2017年は1.66で、前年に比べて0.03ポイント増加しました。労働災害の発生頻度が上がっていることになります。

 次に、(2)の労働災害の重さを示す「強度率」(1000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数)を見ると、0.09で、前年から0.01ポイント減少しました。

 また、(3)の「死傷者1人平均労働損失日数」(労働災害による死傷者の延べ労働損失日数を死傷者数で除したもの)は55.0日で、前年よりも5.0日減少しています。
2017年労災調査2 180507
2017年労災調査1 180507
 
前年に比べて「やや軽度な労働災害が数多く発生している」と見ることができそうです。

 
この3要素を「医療、福祉」(病院、一般診療所、保健所、健康相談施設、児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業)について見てみると、(1)の労災発生頻度を示す「度数率」は1.48で、全体より若干低い、(2)の災害の重さを示す「強度率」は0.04で、全体より若干低い、(3)の「死傷者1人平均労働損失日数」は24.3日で、全体の半分程度、という状況です。

災害発生の頻度(度数率)が高いのは、▼農業・林業▼生活関連サービス業、娯楽業(洗濯業、旅行業、ゴルフ場)▼他に分類されないサービス業(一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業、自動車整備業、機械修理業、建物サービス業)—など、重い災害が発生しやすい(強度率が高い)のは、▼宿泊業・飲食サービス業(旅館、ホテル)▼生活関連サービス業、娯楽業(洗濯業、旅行業、ゴルフ場)—などとなっています。
2017年労災調査3 180507
 
 
また「医療、福祉」(病院、一般診療所、保健所、健康相談施設、児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業)における、労働災害三要素の経年変化を見ると次のようになっています。

▽度数率(災害発生の頻度)
2014年:1.46→(▲0.12p)→15年:1.32→(+0.07p)→16年:1.39→(+0.09p)→17年:1.48

▽強度率(災害の重さ)
2014年:0.04→(増減なし)→15年:0.04→(増減なし)→16年:0.04→(増減なし)→17年:0.04

▽死傷者1人平均労働損失日数
2014年:29.5→(+0.8日)→15年:30.3→(+1.1日)→16年:31.4→(▲7.1日)→17年:24.3

 2015年以降、災害の発生頻度がやや高まるものの、重い災害が増えていることはないようです。

 
 さらに、「医療・福祉」業の労災状況を規模別(労働者数)にみると、次のようになっています。

▽度数率(災害発生の頻度)
▼1000人以上:0.49、▼500-999人:0.85、▼300-499人:1.28、▼100-299人:2.25

▽強度率(災害の重さ)
▼1000人以上:0.02、▼500-999人:0.02、▼300-499人:0.03、▼100-299人:0.06

 ここからは「病院の規模が小さい(従業者数が少ない)ほど、労働災害が発生しやすく、かつ重い災害が発生している」ことが伺えます。規模の拡大に向けた戦略(人員増だけでなく、近隣施設との合併など)を、労災防止という面からも検討していく必要がありそうです。
 
 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

医師の働き方改革、細部論議の前に「根本的な議論」を改めて要請―四病協
医師偏在対策、働き方改革、医療広告規制に都道府県も協力を―厚労省・武田医政局長
医師の働き方改革、「将来の医師の資質」なども勘案した議論を―社保審・医療部会(1)
勤務医の時間外労働上限、病院経営や地域医療確保とのバランスも考慮―医師働き方改革検討会 第7回(2)
服薬指導や診断書の代行入力、医師でなく他職種が行うべき―医師働き方改革検討会 第7回(1)
業務移管など「勤務医の労働時間短縮策」、実施に向けた検討に着手せよ―厚労省
医師の労働時間規制、働き方を変える方向で議論深める―医師働き方改革検討会(2)
勤務医の負担軽減目指し、業務移管など緊急に進めよ―医師働き方改革検討会(1)
タスク・シフティングは段階的に進める方向で議論―医師働き方改革検討会
医師の勤務実態を精緻に調べ、業務効率化方策を検討―医師働き方改革検討会
罰則付き時間外労働規制、応召義務踏まえた「医師の特例」論議スタート—医師働き方改革検討会
医師への時間外労働規制適用に向けて検討開始、診療報酬での対応も視野に—厚労省
医師も「罰則付き時間外労働の上限規制」の対象とするが、医療の特殊性も検討―働き方改革

医療・介護従事者の意思なども反映した供給体制の整備を—働き方ビジョン検討会