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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

【救急医療管理加算】の点数引き上げ、医師働き方改革で打撃受ける2次救急支えよ―日病協

2019.10.15.(火)

医師をはじめとする医療従事者の働き方改革が求められており、医療機関における人員配置要件(専従や常勤など)を緩和する必要がある。また、病棟において医師・看護師以外の多職種配置を評価することがタスク・シフティングに繋がり、働き方改革の実現に結びつく。また、医師の働き方改革で経営的な打撃を受ける2次救急医療機関を支えるため、【救急医療管理加算】の点数引き上げを行うべきである―。

日本病院会や全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」は10月4日に、厚生労働省保険局の濱谷浩樹局長に宛てて、こういった内容を盛り込んだ2020年度診療報酬改定に関する要望書(第2報)を提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

5月の要望(第1報)を具体化、個別点数の要件緩和・点数引き上げを求める

日病協では、すでに今年(2019年)5月に「2020年度診療報酬改定に向けた要望」(第1報)を厚労省に提出しています。そこでは、昨今の重要政策である▼地域医療構想や地域包括ケアシステムの推進▼医師の働き方改革▼医師偏在の解消―などを踏まえ、(1)医師をはじめとする医療従事者の働き方改革推進支援(2)医療機関の機能分化・連携強化(3)多職種協働・チームアプローチとタスクシフティング・タスクシェアリングの推進(4)救急医療体制評価の充実(5)医療版ICT推進と診療報酬体系や基準届出・保険請求業務の簡素化―の5項目を要望。

さらに今般、消費税率引き上げ(8%→10%)に伴う臨時・特別の診療報酬改定(消費税対応改定)が行われたことを踏まえ、この5項目を中心により具体的な要望を行いました。

まず(1)の「医師をはじめとする医療従事者の働き方改革推進支援」では、▼施設基準上の常勤配置基準の更なる緩和▼医師事務作業補助体制加算、看護補助体制加算等に対する更なる評価―の2点を求めました。

前者は、すでに中央社会保険医療協議会でも議論されているもので、日病協では改めて「医師・看護師等の『専従』『常時配置』の更なる基準緩和」などを求めています。具体的な緩和内容は今後示される見込みですが、医療安全をはじめとする医療の質確保を前提に、相当程度の「緩和」がなされると見込まれています。

一方、後者では「加算取得のために加配しなければならない人件費」に見合うような「加算点数の設定」、つまり「加算点数の引き上げ」を求めています。医師の事務作業を補助するスタッフ配置を評価する【医師事務作業補助体制加算】は、現場医師から「負担軽減効果が大きい」と頗る評判のよい加算ですが、一方で「加算だけでは、事務作業を担うスタッフの人件費を賄うことはできない」との指摘があり、日病協ではその点を改善するよう求めています。

また(2)の「医療機関の機能分化・連携強化」については、▼同一日複数科受診(3科目以降)の評価▼入院中の他医療機関受診に係る減算の緩和―を求めています。

後者について日病協では、「多様な疾病を併せ持つ高齢者が激増する中、効率的かつ効果的な専門科受診による機能分化・連携を促進するため」とコメント。医療機関の機能分化が進めば進むほど、当該医療機関でのみでカバーできる分野は狭くなります。このため入院患者であっても他医療機関を受診するケースが増え、その垣根をより低くするために「他医療機関受診に係る減算」(出来高病棟では5%減額、特定入院料算定病棟ではその内容によって5-35%減額)のさらなる緩和を求めています。

一方(3)の「職種協働・チームアプローチとタスクシフティング・タスクシェアリングの推進」に関しては、▼病院内における医師・看護師以外の多職種配置(薬剤師、管理栄養士、リハビリ療法士、介護福祉士、臨床工学技士、公認心理士等)の評価とチーム医療の要件緩和▼ポリファーマシー対策に対する新たな評価―を要望しています。

前者については、「これまでの医師・看護師だけによる病棟や手術室等の施設基準から脱却し、上記の多職種協働の評価で、より質が高く効率的な医療を提供する」ために、多職種配置を評価することを求めています。

例えば、看護業務については、中身を精査し「介助的な業務については介護福祉士に」「薬剤に関連する業務は薬剤師に」といった業務分担をさらに進め、看護師は「看護師資格保持者でなければ実施できない高度な看護業務に特化」することなどが考えられます。もちろん、単純に業務の外形だけをみて「この業務は●●職に移管する」と判断するのではなく、当該業務を看護師が実施することで患者の状態を観察し、適切な看護業務に結びつけるという要素も十分に勘案した切り分けが必要なことは述べるまでもありません。

また後者は、「高齢者に対する医薬品の適正使用を進めるための指針」(総論編(急性期病棟での対策を含む)・各論編(外来・在宅・回復期・慢性期病棟・介護施設等))の策定も踏まえ、さらに効果的な「減薬」に向けた取り組みの評価を求めるものです。この点、中医協ではすでに「減薬の成果のみならず、取り組みのプロセスをも評価してはどうか」という論点が示されています。

また(4)の「救急医療体制評価の充実」では、▼夜間休日救急搬送医学管理料の算定要件の緩和と更なる評価▼救急医療管理加算の更なる評価―を求めています。

【夜間休日救急搬送医学管理料】は、名称どおり夜間・休日に「救急用の自動車等によって緊急に搬送された患者」に必要な医学管理を行うことを評価するものです。現在、急性薬物中毒患者への対応を評価する【精神科疾患患者等受入加算】、救急搬送件数200件以上の病院を評価する【救急搬送看護体制加算】という上乗せ評価(加算の加算)がありますが、日病協では、さらに「受け入れ件数毎の段階的評価」などを行うよう求めています。

また【救急医療管理加算】は、重篤な救急搬送患者への濃密な対応を評価するものです。しかし、医師の働き方改革によって、2次救急医療機関では「医師の増員」がどうしても必要になり(さもなくば救急医療体制の縮小を検討しなければならないと考えられる)、「経営的に大きな影響を受ける」(人件費が増すため)点に鑑み、点数の引き上げを求めています。

最後に(5)の「医療版ICT推進と診療報酬体系や基準届出・保険請求業務の簡素化」に関しては、▼医療事務のICT化等を活用した施設基準届け出手続きの簡素化▼入院時に必要な同意書等の署名の簡素化・電子化―を行うよう求めています。

 
 
 
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