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病床機能報告 病床ユニット

特定行為研修修了者の計画的育成に向け、看護課長通知で「計画の作成→実行→評価・改善」の内容を具体的に示す―看護師特定行為・研修部会

2023.2.20.(月)

第8次医療計画において「特定行為研修の修了者」数の目標値を記載することが各都道府県に求められるが、▼在宅・慢性期領域▼感染症対応▼医師からのタスク・シフト—のそれぞれに必要な特定行為研修修了者の数を推計し、その合計+αとする—方針が固められており、その詳細を厚生労働省医政局看護課長が都道府県に通知として示す—。

2月17日に開催された医道審議会・保健師助産師看護師分科会の「看護師特定行為・研修部会」(以下、部会)で、こういった点が了承されました。都道府県が第8次医療計画を作成する際の拠り所となる指針に関する通知(厚生労働省医政局長通知、同地域医療計画課長通知)と同時期(2023年3月末予定)に看護課長通知が発出されます。

2月17日に開催された「第31回 医道審議会 保健師助産師看護師分科会 看護師特定行為・研修部会」

「特定行為研修修了者である」と一目で分かるような工夫を行ってはどうか

一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を受けた看護師は、医師・歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38行為(21分野)の診療の補助(特定行為)を実施することが可能になります(関連記事はこちらこちら)。

ついに今年度(2022年度)から、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、2025年度には全員が後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急増していきます。とりわけ在宅療養や介護施設など「医師の関与が手薄になりがちな場面」において、一定の医行為を行える特定行為研修修了看護師が活躍することが期待されています。2015年から養成が始められ、2025年度に「特定行為研修修了看護師を10万人程度養成する」との目標が立てられています。

さらに、特定行為研修修了者には、▼新型コロナウイルス感染症対応の重要な担い手▼医師働き方改革の中で、医師からの重要なタスク・シフティング先—としての役割も期待されています。

このように重要な役割を果たす特定行為研修ですが、▼養成施設(指定研修機関)は338施設(本年(2022年)8月時点)▼研修修了者数が養成数は6324名(同9月時点)—で「芳しい進捗状況が見られている」とは言いにくい状況です。

特定行為研修修了者の養成状況(看護師特定行為・研修部会1 221205)



そこで、2024-29年度を対象とする各都道府県の医療計画において、以下のように「特定行為研修修了者の養成目標数を定める」など、より計画的に特定行為研修修了者を要請していく方針が固められました(関連記事はこちらこちら)。

▽「訪問看護の人員規模等が小さく研修に出せない」という課題に対応するため、2024年度からの第8次医療計画に「特定行為研修を修了した看護師の確保」などを位置づけるとともに(関連記事はこちら)、地域医療介護総合確保基金の活用など一層の支援策を推進する

▽「研修内容がニーズにマッチしていない」という課題に対応するため、特定行為研修の内容等、妥当性についての調査を実施し検討していく(在宅・慢性期領域に限らず全ての特定行為研修内容を調査対象とする)

▽「十分に周知されていない」という課題に対応するため、特定行為研修制度を推進・活用したことによる「医師向け」の好事例集を作成し、医師への周知に活用する

▽「研修機関が近隣にない」という課題に対応するため、▼地域の実情を踏まえた施設整備を検討する(例えば、都道府県が「特に在宅・慢性期領域に就業する看護師が受講しやすい指定研修機関」を定めるなど)▼「実習施設となる協力施設」について、指定研修機関がホームページで公表する(通知改正)—

▽これまで「指定研修施設の整備目標」を医療計画に記載することが求められていたが、今後、これに加えて「研修修了者の目標値」も設定する



こうした内容は厚労省医政局長・地域医療計画課長が示す通知(第8次医療計画を都道府県が作成する際の拠り所となる)の中に盛り込まれますが、部会では「厚労省医政局看護課長通知の中にも具体的に記載する」方針を固めました。次のように「実態調査を行い地域の実情を把握する→地域の課題(特定行為研修修了者の養成が遅れている理由など)を明確化する→目標値を定める→計画を実行する→計画の成果を評価し、改善策を練る」といったPDCAサイクルを回すことを求める内容です。

【実態調査を行い地域の実情を把握する】
→業務従事者届の集計データ、指定研修機関数等の国提供データ、都道府県の独自調査データ等を活用して把握する
→具体的には、▼指定研修機関数▼実習を行う協力施設数▼特定行為研修修了者その他の専門性の高い看護師の就業者数(総数、特定行為区分別、就業場所別等)▼医療機関・訪問看護ステーション等における特定行為研修等の受講希望者等のニーズ▼医療機関における指定研修機関の指定申請の意向—など

【地域の課題(特定行為研修修了者の養成が遅れている理由など)を明確化する】
→上記のデータをもとに現状分析し、「研修体制の整備における課題」や「特定行為研修修了者その他の専門性の高い看護師の就業状況」における課題を抽出する
→例えば「全国における就業場所の傾向」(下図、国が提供するデータで実数よりも割合を見ることが重要)と「自地域の就業場所の傾向」とを比較し、「自地域では訪問看護ステーションの就業者が少ない」などの課題をあぶり出していく

特定行為研修修了者の就業場所に関するデータ(実数ではなく割合に要注目)




【目標値を定める】(後述)

【計画を実行する】
→国の事業も活用しながら、例えば、▼特定行為研修の受講に係る支援事業(受講料の補助、代替職員の経費補助)▼指定研修機関・実習を行う協力施設の確保や指定研修機関相互のネットワーク形成を目的とした関係団体(者)や医療機関との会議の場の設置・運営に係る事業▼特定行為研修修了者の活動体制の推進に係る支援やフォローアップ研修の実施・運営に係る事業—などを推進する

特定行為研修の組織定着化支援事業

特定行為にかかる指導者育成事業



【計画の成果を評価し、改善策を練る】
→あらかじめ評価を行う体制を整え、計画の評価を行う組織や時期を明確にする
→施策の進捗状況の評価については1年ごとに行うことが望ましい
→数値目標の達成状況・現状把握に用いた指標の状況について、少なくとも3年ごとに調査、分析、評価を行い、必要に応じて医療計画を変更する(中間見直し)



数値目標については、すでに示されたように「次の合計値+地域の実情を踏まえたプラスα」とする考えが改めて確認されました。

▼在宅・慢性期領域(例えば、看護師数が常勤換算5名以上の訪問看護ステーションに、特定行為研修修了者を各1名以上の配置する、療養病棟や介護施設等に1名以上配置するなど)
▼新興感染症等の有事対応(例えば、ICUに診療報酬の施設基準「外」の特定行為研修修了者を2名以上配置するなど)
▼医療機関における看護の質の向上とタスク・シフト/シェア(例えば、高度急性期病棟に各勤務帯1名以上かつ毎日配置のために必要な人数 外科病棟に日勤帯に1名以上かつ毎日配置のために必要な人数など)

特定行為研修修了者の養成目標設定の考え方(看護師特定行為・研修部会3 221205)



もっとも、地域によっては「指定研修機関の数が少ない(そこがボトルネックになってしまっている)」ところもあります。そうした地域で上記のニーズを踏まえた目標数を設定すれば「絵に描いた餅」に終わってしまう可能性もあります。そこで、厚労省は、こうした地域(研修体制の整備が十分でない地域)では「都道府県内の指定研修機関における特定行為研修修了者の状況をもとに就業者数の目標値を設定する」ことも可能としています。

特定行為研修修了者の目標値を定めるのは「初の試み」であることから、まず「現実的な設定」を行い、将来につなげていくことが重要でしょう。



こうした内容に異論は出ていませんが、春山早苗委員(自治医科大学看護学部学部長)から「特定行為研修修了者をいかに現場で活用していくかも非常に重要である(関連記事はこちら)」との、仙賀裕委員(日本病院会副会長)らから「バッジやコスチュームなどを工夫し、一目で『子の看護師さんは特定行為研修修了者だな』と分かるような事例を国が示すような工夫をしてはどうか」との提案が出ています。

後者の「一目で『子の看護師さんは特定行為研修修了者だな』と分かるような工夫」については、国や日本看護協会が主導することは現時点では困難ですが、個々の医療機関はもちろん、病院団体や病院グループなどで実施することに問題はなさそうです。病院団体、とりわけ急性期病院の団体では「特定行為研修修了者の養成、活用」に極めて前向きであり、例えば「我々の病院団体では、特定行為研修修了者に対し、専用のバッジ着用を認める、ナース服の色を変えるなどの工夫を行おう」という取り組みが進むことに期待が集まります。

医師などの他職種が特定行為研修修了者と把握できれば、「この業務をこの人に任せられる」と瞬時に判断でき、チーム医療がさらに推進すると期待されます。また、患者にとっても「この看護師さんは特定行為研修を終了した優れた知識・技術を持った人だ」と把握できれば、安心感が高まり、医療への満足度が確実に向上するでしょう。さらに特定行為研修を受講するモチベーション向上にもつながる可能性があります(看護師にとってステイタスの1つとなる)。個々の病院や病院団体の積極的な取り組みに期待したいところです。



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