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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

2016改定前後で療養病棟の半数超は入院単価が減少、回復期リハでは7-8割が単価上昇―日慢協調査

2016.11.7.(月)

 2016年度の診療報酬改定の前後で、入院患者1人1日当たりの平均請求額(単価)の増減を病棟種類別に見ると、療養病棟入院基本料1の届け出病棟では65.8%の病院で減少したが、回復期リハビリ病棟では減少は2-3割にとどまり、地域包括ケア病棟では減少は4割程度となっている―。

 日本慢性期医療協会(武久洋三会長)が2日に公表した2016年度診療報酬改定影響度調査の結果から、こういった状況が明らかになりました(日慢協のサイトはこちら)。

 病棟の種別によって改定の影響が異なっており、今後の各病院における「病床戦略」の参考になりそうです。

日慢協の会員病院、回復期リハや地域包括の届け出が増加

 この調査は、日慢協が会員病院を対象に改定前(2016年3月末)と改定後(同7月末)で診療報酬の届け出・算定状況や入院患者の単価(1人1日当たり請求金額)の変化を見たものです。

 まず入院基本料などの届け出状況を見ると、大きな変化こそありませんが、比率に一定の増減があります。届け出病床数の割合が減少したのは、▼療養病棟入院基本料1(改定前37.0%→改定後36.8%で0.2ポイント減)▼同基本料2(9.2%→8.9%で0.3ポイント減)▼回復期リハ病棟2(4.1%→3.8%で0.3ポイント減)▼一般病棟7対1入院基本料(3.3%→3.2%で0.1ポイント減)▼同10対1入院基本料(4.3%→4.1%で0.2ポイント減)―などです。一方、割合が増加したのは、▼回復期リハ病棟1(6.6%→7.0%で0.4ポイント増)▼地域包括ケア病棟・管理料1(2.8%→3.0%で0.2ポイント増)▼地域包括ケア病棟・管理料2(0.2%→0.3ポイントで0.1ポイント増)▼一般病棟13対1入院基本料(0.4%→0.6%で0.2ポイント増)―などです。回復期リハ1や地域包括ケアへの移行が進んでいると考えられます。

 また介護保険対象病棟については、機能強化Aの割合が改定前の11.5%から改定後には0.8ポイント増加し、12.3%になりましたが、機能強化B(2.3%→2.1%で0.2ポイント減)、その他(機能強化A、B以外、2.6%→2.0%で0.6ポイント減)となりました。より」重症の患者を受け入れている状況が伺えます。

日慢協改定影響調査1 161102

地域包括の看護職員配置加算や、回復期リハのリハ充実加算、算定割合が上昇

 次に各種加算などの算定状況(算定対象病院に占める算定病院数)を見てみると、地域包括ケア病棟の「看護職員配置加算」(改定前77.0%→改定後79.8%で、2.9ポイント増)や、回復期リハ病棟の「休日リハ提供体制加算」(93.6%→95.8%で、2.2ポイント増)、「リハ充実加算」(60.4%→63.6%で3.2ポイント増)、「医師事務作業補助体制加算」(例えば加算1の50対1では2.0%→3.7%で1.7ポイント増)、「一般名処方加算2」(26.8%→34.6%で7.8ポイント増)、「データ提出加算1」(12.4%→15.1%で2.7ポイント増)、「データ提出加算2」(12.2%→14.9%で2.7ポイント増)などで算定病院数割合が大きく増加しています。人員配置などを手厚くし、より高機能にシフトしていると考えられます。

 また2016年度改定で新設された加算などの状況を見ると、▼認知症ケア加算1は3.7%▼認知症ケア加算2は33.7%▼排尿自立指導料は10.0%▼リハの目標設定等支援・管理料は38.5%▼リンパ浮腫複合的治療料は0%▼退院支援加算1は16.6%▼退院後訪問指導料は10.0%▼薬剤総合評価調整加算は0.5%―などという状況です。

日慢協改定影響調査2 161102

療養病棟1の65.8%で入院単価が低下、回復期リハ1の79.1%で単価が上昇

 また入院患者の単価(1人1日当たり請求金額)に目を移すと、次のように病棟種別で傾向に違いが出ています。

▼療養病棟入院基本料1:増加した病院が34.2%、減少した病院が65.8%

▼同基本料2:増加した病院が47.8%、減少した病院が52.2%

▼回復期リハ病棟1:増加した病院が79.1%、減少した病院が20.9%

▼回復期リハ病棟2:増加した病院が72.1%、減少した病院が27.9%

▼地域包括ケア病棟・管理料1:増加した病院が58.2%、減少した病院が41.8%

▼介護療養の機能強化A:増加した病院が57.0%、減少した病院が43.0%

 このうち回復期リハ病棟1・2では、改定前後で単価が9%以上上昇した病院がいずれも1割以上となっています。一方、療養病棟1・2の3割弱では、改定前後で単価が1-3%減少しており、2016年度改定では「病棟の種別によって明暗が別れた」要素もあるとも言えそうです。

 今後、同じ病棟種別の中で、「単価が上昇した病院」と「単価が減少した病院」との間にどのような違いがあるのかなどの分析に期待したいところです。

日慢協改定影響調査3 161102

 

 なお、チーム医療を評価する栄養指導料や介護支援連携指導料については、改定前後で算定が「増えた」と答えた病院が「減った」とする病院よりも圧倒的に多く、2016年度改定の重要項目の1つである「チーム医療の推進」は一定の効果を収めていると見ることができます。

 
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