有床診、現在の減少ペース続けば、今年(2017年)8月に10万床切る―医療施設動態調査(2017年3月)
2017.5.29.(月)
今年(2017年)2月末から3月末にかけて、病院の一般病床数は82床、精神科病床は193床減少した一方、療養病床は3床の微増となった。また有床診療所数は21施設・335床減少し、7464施設・10万1362床となった―。
このような状況が、厚生労働省が25日に公表した医療施設動態調査(2017年3月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。現在の減少ペースが続けば、有床診は今年(2017年)8月に10万床を切り、来年(2018年)10月に7000施設を切ってしまいます。
有床診、昨年(2016年)3月末から月間25施設程度のペースで減少
厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、その前月の状況はこちら)。今年(2017年)3月末の医療施設総数は、全国で17万8932施設。前月にべて118施設の大幅増となりました。「無床の一般診療所」は昨年後半に減少傾向となっていましたが、今回は101施設増加しています。
病院の施設数は、前月に比べて1施設減少し8439施設となりました。種類別に見ると、一般病院が7378施設(前月に比べて1施設減少)、精神科病院は1061施設(前月から増減なし)という状況です。一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3814施設で前月から3施設減少、地域医療支援病院は540施設で、前月から1施設増加しました。
診療所のうち有床診は7464施設で、前月から21施設減少しました。2年前の2015年3月末には8207施設、1年前の2016年3月末には7766施設でしたので、2015年3月末から16年3月末までの1年間で441施設減、さらに17年3月末までの1年間で302施設減少しています。
また2016年3月末以降の有床診施設数の推移を見ると、次のようになっています。
▼2016年3月末:7766施設
↓(26施設減)
▼2016年4月末:7740施設
↓(24施設減)
▼2016年5月末:7716施設
↓(18施設減)
▼2016年6月末:7698施設
↓(27施設減)
▼2016年7月末:7671施設
↓(15施設減)
▼2016年8月末:7656施設
↓(27施設減)
▼2016年9月末:7629施設
↓(24施設減)
▼2016年10月末:7605施設
↓(30施設減)
▼2016年11月末:7575施設
↓(25施設減)
▼2016年12月末:7550施設
↓(27施設減)
▼2017年1月末:7523施設
↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
暦月の減少数に多少のバラつきがありますが、この1年間では、1か月当たり25施設強のペースで減少しています。
有床診、ベッド数では月320床程度のペースで減少
病床数に目を移すと、2017年3月末の全病床数は166万1329床で、前月から605床減少しました。このうち病院の病床数は155万9901床で、前月に比べて270床減少しています。種類別に見ると、一般病床は前月から82床減少し89万1675床に、療養病床は3床の微増で32万7525床となりました。また、精神病床は前月に比べて193床の大幅減となっています。
有床診療所の病床数は、前月から335床減少して10万1362床となりました。2015年3月末には11万0538床、2016年3月末には10万5227床でしたので、2015年3月末から16年3月末までの1年間で5311床、続く17年3月末までの1年間で3865床減少しています。
また2016年3月末以降の有床診のベッド数の推移を見ると、次のようになっています。
▼2016年3月末:10万5227床
↓(253床減)
▼2016年4月末:10万4974床
↓(322床減)
▼2016年5月末:104万652床
↓(254床減)
▼2016年6月末:10万4398床
↓(383床減)
▼2016年7月末:10万4015床
↓(229床減)
▼2016年8月末:10万3786床
↓(335床減)
▼2016年9月末:10万3451床
↓(347床減)
▼2016年10月末:103104床
↓(367床減)
▼2016年11月末:10万2737床
↓(287床減)
▼2016年12月末:10万2450床
↓(305床減)
▼2017年1月末:10万2145床
↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
ここ1年間の状況をみると、1か月当たり320床強のペースで減少しています。
暦月の変動こそありますが、有床診療所は施設数・ベッド数ともに減少を続けています。現在のペース(1か月当たり25施設・320床)で減少が続けば、5か月後の今年(2017年)8月には10万床を切り、19か月後の2018年10月に7000施設を切ってしまう計算です。今後、「離島やへき地、中山間地域ではどうなっているのか?」「地域包括ケアシステムで重要な役割を担っている(例えば24時間の在宅医療提供など)有床診の整備状況はどうなっているのか?」など、地域別・機能別の分析を行い、必要な対策を検討する必要がありそうです。この点、全国一律が原則である診療報酬での対応よりも、ピンポイントで支援できる補助金などの活用が注目されそうです(関連記事はこちら)。
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