地域医療確保のため、診療報酬の簡素化、電子カルテの標準マスタ使用義務化など進めよ—四病協
2017.9.21.(木)
国民皆保険を維持し、質の高い地域医療提供のために、▼診療報酬の簡素化▼電子カルテシステムの標準化▼政策医療・不採算医療の範囲・収支の明確化—を行うべき。
日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)は9月7日に、このような要望を加藤勝信厚生労働大臣に宛てて行いました。
まず診療報酬については、個々の医療機関の創意工夫で「質の高い、効率的な医療提供」を可能とするために、現在の複雑な体系から脱却し、抜本的な簡素化を行うよう求めています(関連記事はこちら)。
また電子カルテシステムについては、現在、▼ベンダーごとに仕様がまちまちで、データの連結が極めて難しい▼価格・維持費ともに極めて高額—という問題点があると指摘。データ連携を可能とし、国の進める「データヘルス改革」にも寄与できるよう、国による『標準マスタ』『標準データフォーマット』使用を義務化するよう要望しています。電子カルテは民間主導で進められたため、ベンダーが異なるとデータの互換性がなく(コンバータシステムを用いても完全な連結は不可能と指摘される)、例えば「システムの入れ替え時に過去データとの継続性確保ができない」「地域連携をする際にデータの連結ができず、連携を阻害する」と指摘されています。今後の地域包括ケアシステムの構築、病床機能分化・連携の強化、保健・医療・介護のビッグデータ活用に基づく医療の質向上のためには、標準マスタ使用の義務化などは早急に検討すべき課題と言えそうです(関連記事はこちらとこちら)。
さらに政策医療・不採算医療については、現在、▼へき地▼小児科▼産科▼精神科▼救急▼重症心身障害児(者)▼神経難病▼結核—などとされていますが、この範囲を明確にし、診療報酬の中で対応できる制度にすべきとしています。明示こそされていませんが、「政策医療・不採算医療の定義を明確にし、診療報酬での評価を充実する」よう求めているものと考えられます。
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