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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

病院の一部を介護保険施設等に転換する「医療外付け型」、設備共用規定などを整理―厚労省

2018.3.29.(木)

 例えば、病院の一部病棟に医療従事者を集中させ、「病院・診療所」と「介護保険施設等」とにする、といった、いわゆる「医療外付け型」介護保険施設等が拡大することを踏まえ、施設・設備等の共用要件などを整理する―。

 厚生労働省は、こういった内容の通知「病院又は診療所と介護保険施設等との併設等について」を3月27日に発出しました。

医療内包型の【介護医療院】と併せて、「医療外付け型」の併設施設の拡大が予想される

 介護療養病床等の存続根拠となる経過措置が廃止されることに伴い、新たに▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ【介護医療院】が創設されました。

 この【介護医療院】創設論議をしていた、厚労省の「療養病棟の在り方等に関する検討会」や「社会保障審議会・療養病床の在り方等に関する特別部会」では、このほかに「医療機関と居住スペースとの併用」をより柔軟に実施しやすくする仕組み(いわゆる医療外付け型)の検討も行われました。例えば、「看護配置25対1の医療療養について、病棟の一部に看護職員を集中させて20対1医療療養などにアップグレードし、残りの病棟を人員配置が薄くすむ介護保険施設等に転換する」ことなどが考えられます(関連記事はこちら)。

医療外付け型では、同一建物内でも医療機関と居住スペースの併設を認めることになる

医療外付け型では、同一建物内でも医療機関と居住スペースの併設を認めることになる

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

 
 厚労省は今般、これを受け「病院・診療所と介護保険施設等との併設等」に関する通知を発出したものです。

 まず、ここでいう「介護保険施設等」とは、▼介護医療院▼介護老人保健施設▼指定介護老人福祉施設▼その他の要介護者、要支援者その他の者を入所、入居または通所させるための施設▼サービス付き高齢者向け住宅▼高齢者向け優良賃貸住宅▼生活支援ハウス―となります。

また併設とは、▼同一敷地内▼隣接敷地内(公道をはさみ隣接する場合を含む)―に病院・診療所と介護保険施設等とを開設することをいいます(同一建物に病院・診療所と介護保険施設等とを設置する場合だけではない)。

併設する場合には「患者等に対する治療」「介護その他のサービス」に支障が出ないよう、両者(病院・診療所と介護保険施設等)の区分を「表示等により可能な限り明確にする」ことが求められます。名称については、両者を混同することないように留意する必要があります(関連記事はこちらこちら)。

 
また併設に当たっては、上記のように「同一建物を病院・診療所と介護保険施設とする」(病院・診療所を介護保険施設に転用する)ケースも少なくないでしょう。

この場合、「それぞれの基準を満たし、かつ、各施設等の患者・利用者に対する治療、介護その他のサービスに支障がない場合」には、施設・設備の「共用」が認められます。もっとも、その場合であっても「各施設等を管理する者」を明確にしなければいけません。

また次の施設・設備については、共用は認められません。
(1)病院又は診療所の診察室(1つの診療科で2つ以上の診察室があり、その診療科の1つの診察室を除く)と、介護保険施設等の診察室(介護医療院にあっては、医師が診察を行う施設を言う)または医務室
(2)手術室
(3)処置室(機能訓練室を除く)
(4)病院・診療所の「病室」と介護医療院等の「療養室・居室」
(5)エックス線装置等

ただし、(1)の診察室等、(3)の処置室、(5)のエックス線装置等については、併設が「介護医療院」である場合には、例外的に共用が認められます。介護医療院は介護保険施設であると同時に、医療提供施設であり、比較的医療必要度の高い患者の入所が予定されているからです。なお、(1)の診察室等については、「現に存する病院・診療所(転換老人保健施設を含む)の建物の一部を介護医療院に転用する場合」に共用が認められ、「介護医療院の建物を新設する場合」は原則として共用は認められません(もっとも、個別具体的な判断となる)。やや複雑ですので、ご留意ください。

 
また、病院・診療所の人員と、介護保険施設との人員については、「兼務」が行われるケースもあります。この場合、▼それぞれの施設の人員に関する要件を満たすとともに、兼務によって患者等への治療その他のサービスの提供に支障がないように注意する▼従業者の人員配置に変更のあるときは、医療法等に定める所要の変更手続が必要となる▼従業者数の算定に当たっては、それぞれの施設における勤務実態に応じて按分する―ことが必要です。なお、「管理者が常勤を要件とする場合」について、病院・診療所と介護保険施設等の管理者を兼ねている場合には「当該者を常勤とみなして差し支えない」ことが明らかにされています。

 
さらに、前述のように「病院・診療所の建物の介護保険施設等への転用」にあたっては、▼病院・診療所のすべてを転用する場合には「廃止届け出」を行わなければならない▼一部転用は、「病院・診療所の患者等への診療提供などに支障が生じる恐れなし」という場合にのみ認められる―という点にも留意する必要があります。

 
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