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乳がん患者の遺伝子検査技術を保険収載、遺伝カウンセリングの実施が必要―厚労省

2018.6.5.(火)

 BRACA1・BRACA2遺伝子に変異のある乳がん患者について、抗がん剤の効果を確認するための技術を保険収載する。その際、患者や家族の心理的・社会的サポートも必要となるため、当該検査は「遺伝カウンセリングを実施できる医療機関」または「遺伝カウンセリングを実施できる医療機関と連携している医療機関」でのみ実施可能である―。

 厚生労働省は5月31日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、こういった点を明らかにしました。6月1日から適用されています。

前立腺がんへの放射線治療における、放射線吸収材料も保険収載

 5月23日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、乳がん患者のDNAから遺伝子の変異(BRCA1・BRCA2遺伝子変異)を検出し、抗がん剤「オラパリブ」(販売名:リムパーザ錠)の投与が効果的かどうかを判断する技術「BRACAnalysis診断システム」について保険収載が認められました。このシステムは、特定保険医療材料とはせずに、新規技術として評価されることになりました(関連記事はこちら)。
中医協総会(2)3 180523
 
今般の通知では、「BRACAnalysis診断システム」をD006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】に位置付け、▼D006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】の所定点数(2100点)・2回分▼D006-4【遺伝学的検査】の『3 処理が極めて複雑なもの』の所定点数(8000点)・2回分—を合算した点数(つまり2万200点)を準用して算定できる、ことを明確にしています。

本検査は、「転移性または再発乳がん患者」の全血を検体とし、PCR法等により、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子の生殖細胞系列の変異の評価を行った場合に限り算定できます。

本検査を算定するためには、▼化学療法経験5年以上の常勤医師▼乳腺外科の専門研修経験5年以上の常勤医師―のいずれかを1名以上配置していなければなりません。

さらに本検査は、▼【遺伝カウンセリング加算】(D026【検体検査判断料】の加算)の施設基準を届け出ている医療機関▼【遺伝カウンセリング加算】の施設基準を届け出ている医療機関との連携体制を有し、その医療機関で必要な遺伝カウンセリングを実施できる体制が整備されている医療機関―のいずれかで実施することが求められます。

【遺伝カウンセリング加算】を届け出るためには、(1)遺伝カウンセリングが必要な診療経験3年以上の常勤医師を1名以上配置する(週3日以上常態として勤務し、かつ、所定労働時間が週24時間以上の勤務を行っている非常勤医師2名以上の組み合わせで、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯をカバーすることでもよい)(2)遺伝カウンセリング実績が年間合計20例以上—という施設基準を満たすことが求められます。

BRACA1・BRACA2遺伝子に変異がある乳がん患者では、上述のように抗がん剤「オラパリブ」の効果は現れやすく、本検査により「より効果的・効率的な治療法」を選択できると期待されます。一方、当該患者にBRACA1・BRACA2遺伝子の変異がある場合、家族(姉妹や母親、娘など)にも同様の遺伝子変異がある可能性が高く、この場合、当該家族も乳がんに罹患する可能性が相対的に高くなります。このため、患者や家族の身体はもちろん、心理的・社会的なサポートを行うための「遺伝カウンセリング」体制が求められるのです。

 
また、5月23日の中医協総会では、前立腺がんの放射線治療の際に、直腸の吸収線量を減少させるための合成吸収性材料「SpaceOARシステム」の保険収載も承認されました(関連記事はこちら)。今般の通知で、本材料を用いる処置はD413【前立腺針生検法】(1400点)の所定点数により算定することが示されています。

なお、本材料については、▼前立腺がんの放射線治療に際し、直腸の吸収線量を減少させることを目的として使用する▼日本放射線腫瘍学会のガイドラインに従って使用する▼ステージI・II以外の前立腺がん患者に使用した場合には、「対象とならない患者」ではない、ことをレセプトの摘要欄に記載する―ことが求められます。
中医協総会(2)2 180523
 
 
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