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機能強化加算は生活習慣病患者に限定せよ、花粉症治療のOTC類似薬は保険給付から除外せよ―健保連

2019.8.26.(月)

 2018年度診療報酬改定で新設された【機能強化加算】(初診料の加算)は、かかりつけ医機能を評価する趣旨に照らし、例えば「生活習慣病患者に限定する」などの見直しを2020年度の次期改定で行うべき。また、花粉症治療でOTC類似薬を用いる場合、当該薬剤は保険給付から除外せよ―。

 健康保険組合連合会は8月23日に、こうした提言を公表しました(健保連のサイトはこちら(本文)こちら(概要)こちら(要旨))(関連記事はこちら)。

機能強化加算、継続的な指導管理が必要な患者に算定対象を限定せよ

 主に大企業で働くサラリーマンとその家族が加入する健康保険組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は、さまざまな角度からレセプト分析等を行い、各種の提言を行っています。

 今秋から、中央社会保険医療協議会で、2020年度の次期診療報酬改定に向けた第2ラウンド論議が始まることを控え、健保連は▼2016年度の7075万件(2016年10月-2017年3月診療分)▼2017 年度の1億3823万件(2017年4月―2018年3月診療分)▼2018年度の6639万件(2018年4-9月診療分)―のレセプトを分析し、次の5項目の提言を行いました。

(1)機能強化加算のあり方
(2)生活習慣病治療薬の適正な選択(フォーミュラリ)の導入
(3)繰り返し利用可能な処方箋(リフィル処方)の導入
(4)調剤報酬のあり方
(5)花粉症治療薬の保険適用範囲

 
 まず(1)では、2018年度の前回診療報酬改定で導入された、いわゆる「かかりつけ医」機能を評価する【機能強化加算】の届け出状況などを調べています。

 【機能強化加算】は、「かかりつけ医」機能をもつ医療機関(▼地域包括診療加算▼地域包括診療料▼小児かかりつけ診療料▼在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に限る)▼施設入居時等医学総合管理料(同)―を届け出ている診療所・200床未満の病院)において、初診時のコスト(患者自身の状態や既往歴、家族構成、服用している医薬品などの把握)を勘案し、初診料に80点を加算するものです。
2018年度改定(機能強化加算) 180305
 
 この点、健保連のレセプト分析からは、例えば次のような状況が分かりました。健保連では、【機能強化加算】が、もともと想定していた「継続的な管理が必要な傷病」患者に対するものとなっていないと指摘します。

▽【機能強化加算】の届け出医療機関数は増加している(2018年4月:1万940施設→同年10月:1万3026施設)

▽【機能強化加算】の算定患者のほうが、算定されていない患者に比べ「かかりつけ医」を決めている割合が低い(算定患者では52.6%、非算定患者では62.0%)

▽【機能強化加算】算定された患者の年齢分布は、【地域包括診療加算】などの算定患者と比べて若年層に偏っている

▽【機能強化加算】算定患者の57.3%は、1回受診のみで再診を受けていない

▽【機能強化加算】を届け出ている医療機関(内科標榜)を複数受診し、2つ以上の医療機関で【機能強化加算】が算定された患者が約6割存在する

▽受診回数1回・2回の患者(1回のみ57.3%、2回20.2%、合計77.5%)の傷病名トップは「急性気管支炎」であり、【機能強化加算】で想定した「継続的な管理が必要な疾患」ではない

▽【機能強化加算】算定レセプトのうち、継続的な管理が必要な高血圧症、糖尿病、脂質異常症のいずれかを有するものは4.8%に過ぎない

▽【機能強化加算】算定患者と非算定患者群とで、専門医療機関等への紹介割合に大きな差異はない―
健保連提言 190823

 こうした状況を受け、健保連は【機能評価加算】の厳格化、具体的には▼算定対象を「生活習慣病等の慢性疾患を有する継続的な管理が必要な患者」に限る▼施設基準に「慢性疾患指導に係る適切な研修を修了した医師の配置」を求める―ことを提言しています。

降圧剤、脂質異常症治療薬、血糖降下薬、後発品使用を優先するフォーミュラリの導入を

 (2)のフォーミュラリとは、言わば医療機関等で作成した「医学的妥当性や経済性などを踏まえた医薬品使用方針」のことです。「●●疾患には原則としてA医薬品(特定の銘柄や成分)を使用する」といったリストをイメージすると分かりやすいと思います。諸外国では、保険者、地域、病院などのさまざまな単位でフォーミュラリが導入され、薬物療法の質向上・標準化、経済的な処方促進等につながっているといいます。

 この点、健保連は、我が国でもこうした効果を目指しフォーミュラリを診療報酬に盛り込むことを提案。具体的には次のように提言しています。

▽まず「投薬」の通則などで、「医師が生活習慣病治療薬を処方する場合には、禁忌等となる患者を除き、原則として所定のフォーミュラリで最も推奨される薬剤の処方を行う。医師が患者の特性等により最も推奨される薬剤以外の処方を行う必要を認めた場合には、その理由をレセプトの摘要欄に記載する」こととする

▽中長期的には、有効性、安全性を前提としつつ経済性にも優れた処方を推進するために、関係学会等に対して薬剤の費用を加味した診療ガイドラインの作成を促すなどの環境整備を進めることとする

さらに、▼降圧剤▼脂質異常症治療薬▼血糖降下薬―について、次のようなフォーミュラリ案も提示しました。

【降圧剤】
▼第1ステップとして「Ca拮抗薬の後発品」「利尿薬の後発品」「ARBの後発品」「ACE阻害薬の後発品」のいずれかを選択する▼第2ステップとして「Ca拮抗薬の先発品」「利尿薬の先発品」「ARBの先発品」「ACE阻害薬の先発品」のいずれかを選択する―

【脂質異常症治療薬】
▼第1ステップとして、「ロスバスタチンカルシウム」「アトルバスタチンカルシウム水和物」「ピタバスタチンカルシウム水和物」「プラバスタチンナトリウム」「シンバスタチン」「フルバスタチンナトリウム」の後発品のいずれかを選択する▼第2ステップとして、これらの先発品いずれかを選択する―

【血糖降下薬】
▼第1ステップとして「ビグアナイド薬」の後発品を選択する▼第2ステップとして「ビグアナイド薬の先発品」「αルコシダーゼ阻害薬(後発品を優先)」「チアゾリジン薬(後発品を優先)」「グリニド薬(後発品を優先)」「DPP-4阻害薬」「SGLT2阻害薬」のいずれかを選択する―

仮にこうしたフォーミュラリの沿った処方が行われる場合、降圧剤について1794億円、脂質異常症治療薬について765億円、血糖降下薬について582億円、合計3100億円の薬剤費が適正化できると試算しています。―べきである

40歳以上で同じ処方を繰り返す患者、繰り返し使えるリフィル処方箋導入を

 また(3)は、医師・患者双方の負担を軽減するために繰り返し利用可能なリフィル処方箋を導入することを求めるものです。状態の安定した生活習慣病患者では、「薬を出してもらうためだけに医療機関にかかる」ケースが少なくない、との指摘もあり、リフィル処方箋で、双方の手間が軽減できるのではないかと健保連は考えています。

 具体的には、▼医師は、「病状が安定し、繰り返し同じ処方を受けると見込まれる患者」に対し、「処方内容」「繰り返せる回数」「有効期限」等を決定し、かかりつけ薬剤師に限定してリフィル処方を行う▼かかりつけ薬剤師が、処方医との情報連携を前提に、リフィル処方患者に対し服薬期間中にわたって患者の服薬管理を行い、必要に応じて患者に医師への受診勧奨を行う▼残薬対策として、リフィル処方で規定された回数の調剤を行うと残薬が発生する場合、有効期限を超えた日数分の調剤はできないこととする―といった仕組みを、診療報酬に盛り込むよう求めています。

 リフィル処方の対象は、もっぱら40歳以上の「180日以上にわたり同じ医療機関で同じ内容の処方を受ける患者」と考えられ、40-64歳患者の8.1%、65歳以上患者の11.1%が該当すると見込まれます。リフィル処方の導入により、こうした患者の「再診」および「処方」が減少し、年間362億円の医療費適正化が見込まれると健保連は試算しています。

 
 
 また(4)では、次のように調剤報酬の見直しを行うことを求めています。

▽【調剤基本料】を門前薬局が算定するものに一本化し、かかりつけ薬局としての機能をどれだけ果たしているかは、地域支援体制加算のように地域医療貢献体制の実績に応じた加算により評価を行う

▽【薬剤服用歴管理指導料】は、現行の点数設定を統一する等の見直しを行うとともに、「薬歴の一元的かつ継続的な管理・指導が必要となり得る患者」を明確に規定した上で、処方元医療機関への服薬情報提供等を要件として算定する

▽中長期的に、▼服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導を行う薬局▼24時間対応や在宅医療に対応した薬局▼高度な薬学管理機能を持ち専門的な調剤を行う薬局―の3類型に対応した調剤報酬とする

花粉症治療に用いる全OTC類似薬を保険から除外すれば、年間597億円の薬剤費節減

 さらに(5)は、保険給付範囲の見直しにつながるもので、具体的には

▽花粉症治療薬における「OTC(一般用医薬品)類似薬」全般について、保険適用からの除外や自己負担率の引き上げを進める(スイッチOTC医薬品の流通状況や、医療の必要性に応じて保険償還率を段階的に設定している海外の制度等を参考にする)

▽まず、花粉症を主病とする患者に対し、1処方につきOTC類似薬を1分類のみ投薬する場合は、当該薬剤について原則、保険適用から除外する(スイッチOTC医薬品を使用して自ら治療する患者との整合性を図る)

▽ただし、医師が疾患の特性やスイッチOTC医薬品の流通状況などから「必要性がある」と判断し、やむを得ず投薬する場合には、その理由を処方箋・レセプトに記載することで保険適用可能とする

 健保連の試算では、▼「1処方でOTC類似薬を1分類のみ投薬する」ケースを保険適用から除外した場合、年間36億円の▼OTC類似薬の自己負担割合を7割に引き上げた場合、年間239億円の▼OTC類似薬を保険適用から除外した場合、年間597億円―の薬剤費適正化が見込まれます。

 あわせて、花粉症治療薬以外にも▼湿布薬▼ビタミン剤▼保湿剤(ヒルドイドソフト軟膏など)―について、保険給付範囲の在り方を検討すべきとも訴えています(関連記事はこちら)。

 
 
 健保連の提言は、今後の中医協にも提示される見込みで(中医協委員である幸野庄司理事から提示される見込み)、「かかりつけ医機能」や「調剤報酬」論議などで、大きな波紋を呼びそうです。

 

 

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