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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

皮膚乾燥症にヒルドイドやワセリンのみ処方する場合、保険給付から除外せよ―健保連

2017.10.10.(火)

 皮膚乾燥症に対して保湿剤を処方する際に、他の外用薬や抗ヒスタミン薬と同時処方しない場合には保険給付から除外すべきである。また薬剤服用歴管理指導料の算定は「必要性の高い患者層」に限定するべきである—。

 健康保険組合連合会は10月6日に「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究III」を公表し、こういった提言を行いました(健保連のサイトはこちらこちら(概要版))。

薬剤服用歴管理指導料、例えば40歳以上の患者に限定すべき

 主に大企業のサラリーマンとその家族が加入する健康保険組合の連合組織である健保連では、レセプトを分析した結果を診療報酬改定に向けた提言として公表しています。第1弾(2014年度改定)では▼J119【消炎鎮痛等処置】の2『器具等による療法』の算定回数制限▼短期滞在手術等基本料3の拡大―など、また第2弾(2016年度改定)では▼入院・外来を通じたエピソード単位での包括支払い方式の検討推進▼ビタミン剤保険給付の「必要なビタミンの食事での摂取が困難な場合」などへの限定―などを提言しています。

今回の第3弾では、124の健保組合が保有する2014年10月から2016年9月診療分のレセプト(DPC92万件強、医科1億2500万件弱、調剤7700万件強、歯科3200万件強)を分析し、次の3点の提言を行っています。

(1)薬剤服用歴管理指導料の算定を「必要性の高い患者層」に限定する
(2)歯科疾患管理料の算定を「継続的な管理を行った場合」に限定する
(3)皮膚乾燥症に対して保湿剤を処方する際に、他の外用薬や抗ヒスタミン薬と同時処方しない場合には保険給付から除外する

まず(1)に関しては、「お薬手帳持参割合」と「1人1か月当たりの薬剤数が10剤以上の割合」を年齢階層別に分析。その結果、「40歳以上では、処方日数の長い薬が処方される患者が多い」「生活習慣病を始めとする慢性疾患患者は高齢になるほど多い(40代で7割以上、65歳以上で9割弱)」「40歳未満では、重複調剤防止に対するお薬手帳の効果が小さい」ことなどが判明しました。これを踏まえ、現在、全年齢で算定が可能な薬剤服用歴管理指導料について、健保連では「服用管理がより必要な患者層」(例えば40歳以上)に算定対象を限定すべきと訴えています。

40際以上の患者の多くが慢性疾患を抱えており、薬剤服用歴管理がより必要と言える

40際以上の患者の多くが慢性疾患を抱えており、薬剤服用歴管理がより必要と言える

 
また(3)に関しては、アトピー性皮膚炎患者に対して保湿剤として処方されるヘパリン類似物質(ヒルドイドソフトほか)などが「必要性の低い患者」(皮膚乾燥症のみの患者など)にも投与されている点に着目。健保連では1年間に「皮膚乾燥症のみの患者に処方されるヘパリン類似物質など」の薬剤費が93億円に上ると粗く試算しました。その一方で、「イギリス・フランス・アメリカでは保湿剤は保険収載されていない」「白色ワセリンは第3類医薬品、ヘパリン類似物質・ヘパリンナトリウムは第2類医薬品として薬店で処方箋なしで購入できる」点も指摘し、「外来診療で皮膚乾燥症に対して保湿剤(ヘパリン類似物質または白色ワセリン)が『他の外皮用薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時処方されていない』場合には、当該保湿剤を保険給付から除外する」よう求めています。
1年間に「皮膚乾燥症のみの患者に処方されるヘパリン類似物質など」の薬剤費が93億円に上ると粗く試算される

1年間に「皮膚乾燥症のみの患者に処方されるヘパリン類似物質など」の薬剤費が93億円に上ると粗く試算される

 
さらに、中長期的には「保湿剤の処方そのもの」を保険給付外とすることも検討すべきと提言しました。
イギリス、フランス、アメリカでは保湿剤であるヘパリン類似物質などは保険給付の対象外となっている

イギリス、フランス、アメリカでは保湿剤であるヘパリン類似物質などは保険給付の対象外となっている

  
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