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GemMed塾 大学病院本院群を取り巻く現況を解説 ~昨今の特定病院群・標準病院群の経営努力とは~

高齢になるほど血圧リスクが高まり、50歳代以降の被扶養者では脂質リスクが高い—健保連

2017.7.31.(月)

 高齢者の被保険者・被扶養者では血圧の管理(被保険者では血糖も合わせて)を、50歳代後半から60歳代の被扶養者では脂質の管理を、被保険者全般では肝機能の管理に重点を置いた保健指導などが有効である—。

健康保険組合連合会が28日に公表した「健診検査値からみた加入者(40~74歳)の健康状態に関する調査分析」を踏まえると、こういった点が浮かび上がってきます(健保連のサイトはこちら)(前年度の分析はこちら)。

また喫煙や大量の飲酒などの生活習慣を持つ者では、肥満が多く、健康リスクも高いことも明確となり、「生活習慣の改善が疾病予防において重要である」ことが改めて認識できます。

肥満者は、非肥満者に比べて「複合的な健康リスク」を保有

主に大企業で働くサラリーマンとその家族が加入する健康保険組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)では、データヘルスに積極的に取り組んでおり(関連記事はこちらこちらこちらこちら)、今般、2015年度の特定健康診査受診者339万5199人の健診データをもとに、健康状態(▼肥満▼血圧▼脂質▼血糖▼肝機能)を分析しました。

【肥満】

まず肥満の状況を見ると、全体の36.3%が「肥満」となっていますが、被保険者では39.9%が「肥満」なのに対し、被扶養者では「17.1%」にとどまっています。

肥満者と非肥満者とで、血圧や脂質、血糖などの健康リスク保有者の割合を比べると、非肥満者では「保健指導判定値以上」は72.8%ですが、肥満者では93.9%とほとんどが「保健指導判定値以上」という状況です。またリスクの内容を見ると、肥満者では複合的な健康リスク保有者が多いことが分かります。

肥満者(向かって左)と非肥満者(右)とで健康リスクの状況を比較すると、肥満者のほうが「より複合的な健康リスク」を抱えている人の割合が高いことがわかる

肥満者(向かって左)と非肥満者(右)とで健康リスクの状況を比較すると、肥満者のほうが「より複合的な健康リスク」を抱えている人の割合が高いことがわかる

 
【血圧】

次に血圧の状況を見てみましょう。全体の67.0%は基準範囲内(収縮期130mmHg未満・拡張期85mmHg未満)ですが、16.1%が「保健指導判定値」以上(収縮期130mmHg以上・拡張期85mmHg以上)、16.9%が「受診勧奨判定値」以上(収縮期140mmHg以上・拡張期90mmHg以上が12.9%、収縮期160mmHg以上・拡張期100mmHg以上が4.0%)という状況です。

40歳以上の健保組合加入者の7割近くでは、血圧が基準範囲内だが、保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルで血圧が高い人も3割超いる

40歳以上の健保組合加入者の7割近くでは、血圧が基準範囲内だが、保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルで血圧が高い人も3割超いる

 
被保険者・被扶養者ともに年齢階層が高くなるにつれて「保健指導判定値」以上、「受診勧奨判定値」以上の割合が増え、70-74歳では被保険者、被扶養者ともに半数近くが「保健指導判定値」以上、「受診勧奨判定値」以上となっています。
被保険者と被扶養者とで、年齢階層別に血圧の状況を見ると、いずれも年齢が高くなるほど高血圧の者が多くなっている

被保険者と被扶養者とで、年齢階層別に血圧の状況を見ると、いずれも年齢が高くなるほど高血圧の者が多くなっている

 
【脂質】

脂質については、基準範囲内(LDL120mg/dL未満・HDL40mg/dL以上・中性脂肪150mg/dL未満)は38.4%にとどまり、「保健指導判定値」以上(LDL120mg/dL以上、HDL40mg/dL未満、中性脂肪150mg/dL以上)が29.9%、「受診勧奨判定値」以上が31.7%(LDL140mg/dL以上、中性脂肪300mg/dL以上が27.0%、LDL180mg/dL以上、中性脂肪1000mg/dL以上が4.7%)となっています。

40歳以上の健保組合加入者のうち、脂質が基準範囲内の者は4割に満たず、6割強は保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルである

40歳以上の健保組合加入者のうち、脂質が基準範囲内の者は4割に満たず、6割強は保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルである

 
被保険者・被扶養者ともに「40歳代ではリスク保有者の割合が若干低く、50歳代・6歳代で多い」傾向にありますが、55-64歳の被扶養者では約7割が脂質リスクを保有している点が目立ちます。
40歳代の被扶養者では脂質に問題のある者は少ないが、50歳以上の被扶養者では脂質に問題のある者が約7割に達する

40歳代の被扶養者では脂質に問題のある者は少ないが、50歳以上の被扶養者では脂質に問題のある者が約7割に達する

 
【血糖】

血糖に関しては、69.4%が基準範囲内(空腹時血糖100mg/dL未満、HbA1c5.6%未満)ですが、25.6%は「保健指導判定値」以上(空腹時血糖100mg/dL以上、HbA1c5.6%以上が18.5%、空腹時血糖110mg/dL以上、HbA1c6.0%以上が7.1%)、4.9%は「受診勧奨判定値」以上(空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c6.5%以上)という状況です。

40歳以上の健保組合加入者の7割近くでは、血糖値は基準範囲内だが、保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルで血糖値が高い人も3割強いる

40歳以上の健保組合加入者の7割近くでは、血糖値は基準範囲内だが、保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルで血糖値が高い人も3割強いる

 
被保険者・被扶養者ともに年齢階層が上がるにつれてリスク保有者の割合も高くなりますが、とくに65歳以上の被保険者では血糖リスク保有者が半数を超えています。
被保険者・被扶養者ともに年齢階層が上がるにつれて血糖値に問題のある社が増え、とくに65歳以上の被保険者では半数超が血糖値に問題がある

被保険者・被扶養者ともに年齢階層が上がるにつれて血糖値に問題のある社が増え、とくに65歳以上の被保険者では半数超が血糖値に問題がある

 
【肝機能】

肝機能を見てみると、69.1%は基準範囲内(AST31U/L未満・ALTU/L31未満・γ-GT51U/L未満)ですが、「保健指導判定値」以上(AST31U/L以上、ALT31U/L以上、γ-GT51U/L以上)が20.4%、「受診勧奨判定値」以上((AST51U/L以上、ALT51U/L以上、γ-GT101U/L以上)となっています。

40歳以上お健保組合加入者の7割近くでは、肝機能は基準範囲内だが、保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルの人も3割強いる

40歳以上お健保組合加入者の7割近くでは、肝機能は基準範囲内だが、保健指導の対象あるいは受診勧奨の対象となるレベルの人も3割強いる

 
被保険者でリスク保有者が多く、被保険者の4割弱、被扶養者では1-2割弱がリスク保有者となっています。
肝機能に問題のある者は、圧倒的に被保険者で多く、年齢階層によらず3割程度に達している

肝機能に問題のある者は、圧倒的に被保険者で多く、年齢階層によらず3割程度に達している

 
これらから、▼高齢者では血圧の管理、また被保険者では血糖も合わせた管理▼50歳代後半から60歳代の被扶養者では脂質の管理▼被保険者全般では肝機能の管理—などを重点的に行うことが、生活習慣病対策にとって重要という一般論を見出すことができそうです。

 
さらに生活習慣と健康リスクとの関係を見ると、▼喫煙習慣のある者▼週に3回以上就寝前2時間以内に夕食をとる者▼1日当たり3合以上の飲酒を行う者▼20歳の時から10Kg以上体重が増加している者―などでは、そうでない者に比べて「肥満が多く、健康リスク保有者の割合も高い」ことが分かります。疾病予防に当たっては、何よりも生活習慣の改善が重要なことが改めて認識できるデータと言えるでしょう。

喫煙習慣のある者(向かって左)では、ない者(右)に比べて健康リスク保有割合が高い

喫煙習慣のある者(向かって左)では、ない者(右)に比べて健康リスク保有割合が高い

 
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