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GemMed塾 DPC特定病院群への昇格・維持のために今やるべきこと

「新たな地域医療構想」論議では、「医療の担い手の急減」「高齢救急患者の急増「地域格差」の3点が最重要検討ポイント―日病協

2024.8.26.(月)

「新たな地域医療構想」論議が今後されに深められていくが、そこでは「医療の担い手の急減」「高齢救急患者の急増「地域格差」の3点が最重要検討ポイントになろう—。

現在の地域医療構想は「病床・病棟の機能分化」が主眼となっているが、新たな地域医療構想では「病院の機能分化」を重視する必要がある—。

8月22日に開かれた日本病院団体協議会の代表者会議でこうした意見が示されたことが、会議終了後の記者会見で、仲井培雄議長(地域包括ケア推進病棟協会会長)と望月泉副議長(全国自治体病院協議会会長)から明らかにされました。

8月22日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ仲井培雄議長(地域包括ケア推進病棟協会会長、向かって左)と望月泉副議長(全国自治体病院協議会会長、向かって右)

構想区域の見直し、構想区域の重層化も重要視点

Gem Medでも繰り返し報じているとおり「新たな地域医療構想」策定論議が進められています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

2025年度には団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者に達することから、急速な医療ニーズの増加・複雑化に対応できる効果的・効率的な医療提供体制を地域ごとに構築するため、【地域医療構想】の実現が求められています(関連記事はこちら)。

さらに2025年以降は、高齢者人口そのものは大きく増えない(高止まりしたまま)ものの、▼85歳以上の高齢者比率が大きくなる(重度の要介護高齢者、認知症高齢者の比率が高まる)▼支え手となる生産年齢人口が急激に減少していく(医療・介護人材の確保が極めて困難になる)—ことが分かっています。少なくなる一方の若年世代で、多くの高齢者を支えなければならず、「効果的かつ効率的な医療提供体制」の構築がますます重要になってきます。

また、こうした人口構造の変化は、地域によって大きく異なります。ある地域では「高齢者も、若者も減少していく」ものの、別の地域では「高齢者も、若者もますます増加していく」、さらに別の地域では「高齢者が増加する一方で、若者が減少していく」など区々です。

そこで、2025年以降、2040年頃までを見据えた「医療提供体制の新たな設計図」(ポスト地域医療構想、新地域医療構想)作成に向けた議論が進められているのです(関連記事はこちら)。



厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」(以下、新検討会)では、今秋(2024年秋)の中間とりまとめ・年内(2024年内)の最終とりまとめに向けて議論が進められており、現在「総論」論議を、9月からは「各論」論議を行う予定です(関連記事はこちらこちらこちら)。

8月22日の日病協・代表者会議では、こうしたスケジュールヲ確認したうえで、検討会の総論・各論論議に向けて、例えば▼「医療の担い手の急減」「高齢者救急ニーズの増加」「人口変動の地域間での大きなバラつき」が重要な視点、考慮ポイントとなる▼構想区域の見直しが必須であり、例えば在宅医療や医療・介護連携に関しては「2次医療圏よりも狭いエリア」を、がんや周産期医療などに関しては「2次医療圏よりも広いエリア」を考えていく必要がある▼基準病床数・病床の必要量などの見直しが必須である▼人口の多い地域(都市部等)と、人口の少ない地域とでは、分けて考えていく必要がある▼これまで高度急性期・急性期・回復期・慢性期という「病床の機能」を考えてきたが、「病院の機能」を考える必要がある▼入院医療だけでなく、外来・在宅・医療介護連携など非常に幅広いテーマを、地域医療構想調整会議でどのように検討・協議していくのかを考える必要がある▼高齢者救急のニーズが増加する中で「ACP普及」も重要な視点となる—など、さまざまな意見が出されたことが仲井議長・望月副議長から報告されました。

今後の検討会で、これらも含めてどういった議論が行われるのか注目が集まります。



なお、前回(7月26日)の日病協・代表者会議では「今夏にコロナ感染症患者が再び増加しているが、コロナ入院患者は『重症度、医療・看護必要度』の基準を満たさないケースも多く、急性期一般1などの施設基準クリアが難しい場面も出てくる。この9月で経過措置も切れ、10月からは新基準が適用されるため、急性期医療現場では厳しい状況に陥ることもある」との声が出され、▼急性期一般1などの施設基準クリア(=病院経営の安定)▼コロナ患者の積極的受け入れ—とを両立するために、「重症度、医療・看護必要度に関する臨時特例措置」の検討を厚労省に相談する方針を固めました。

この方針に基づいて仲井議長・望月副議長らが厚労省保険局医療課に相談したところ、「重症度、医療・看護必要度は、中央社会保険医療協議会において公益裁定を経て決定されている。現時点では、臨時特例を設けなければならないほどの大流行にはなっていない」旨の考えが示されていることも報告されています。なお、今夏(2024年夏)のコロナ感染症患者増はピークアウトしたと見られており、「すぐさま臨時特例を設けなければならない」状況とは言えないようです。



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