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療養病床の人員配置標準、緩和を6年延長―社保審・医療部会(1)

2017.11.24.(金)

 療養病床に関する医療法上の人員配置標準などを緩和する経過措置の期限を、来年(2018年)3月末から2024年3月末へと6年間延長する。また、この経過措置の対象病院が介護医療院への転換を前向きに考えられるように、地域医療介護総合確保基金などで転換支援を行う―。

 社会保障審議会・医療部会は11月24日、厚生労働省が示したこうした方向性を、おおむね了承しました。この経過措置は、病院が配置する看護職員の員数について、本来であれば「療養病床の入院患者4人に対して1人(4対1)以上」としなければならないところを、「6人に対して1人(6対1)以上」と緩めるほか、廊下幅の基準を緩和しているものなどです。

 ただし、6年後に再び延長することになるのを防ぐために厚労省では、病院・診療所の介護療養病床の介護医療院などへの転換に向けた協議を、地域医療構想調整会議で2021年3月末までに行うよう都道府県に求めていく方針です。

11月24日に開催された、「第56回 社会保障審議会 医療部会」

11月24日に開催された、「第56回 社会保障審議会 医療部会」

療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置

 病院や診療所の療養病床に要介護者を長期入院させ、必要な医療を提供する介護療養病床には、「病床の役割としてふさわしくない」といった指摘があり、廃止が決まっています。具体的には、設置期限が来年(2018年)3月末と定められていましたが、介護療養病床の入院患者の受け入れ先(廃止される介護療養病床の転換先)となる「新しい介護サービス」が必要なため、来年(2018年)4月に介護医療院を創設した上で、転換期間を6年設けることになりました。つまり、現存する介護療養病床には事実上「2024年3月末まで存続が認められる」ことになっています(改正介護保険法:地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。

 一方、医療法では病院や診療所に対し、「都道府県が条例で定める員数」の看護職員(看護師と准看護師)の配置を義務付けています。その員数の標準を厚労省は、「療養病床の入院患者4人に対し1人」(4対1)以上と定めていますが、▼介護療養病床の指定を受けている▼看護配置4対1に満たない―などの病院・診療所に対しては、来年(2018年)3月末までに限って「6対1」以上に緩める経過措置が設けられています。

2018年3月末で期限を迎える「医療法施行規則上の経過措置」の⼀覧。これらの延長が了承された

2018年3月末で期限を迎える「医療法施⾏規則上の経過措置」の⼀覧。これらの延長が了承された

 この経過措置が予定通り終了すると、介護療養病床(看護配置「6対1」以上)の存続は、来年(2018年)4月から認められなくなってしまい、上記の改正介護保険法と矛盾します。また、医療保険が適用される医療療養病床のうち、看護配置「6対1」(診療報酬の基準は常時配置「25対1」以上)を「病棟単位」で満たせば算定できる【療養病棟入院基本料2】の、2018年度診療報酬改定での取り扱いにも影響を及ぼします。

 そのため、看護職員の人員配置標準の経過措置を延長するのかどうか、などが注目されていました(関連記事はこちら)。

新設の療養病床などは経過措置の対象外

 11月24日の医療部会で厚労省は、▼医療法施行規則における人員配置標準の経過措置を2024年3月末まで延長する▼経過措置の対象は2012年までに届け出ていた病院・診療所のみで、新たに増やさない―という考えを示しました。

 現在、人員配置標準の経過措置はそもそも、「介護療養病床がある」「看護配置が薄い」ことなどを都道府県に届け出た病院・診療所のみに適用されています。その届け出の期限(所定期日)は原則2012年6月末で、計1677施設(1269病院と408診療所)が該当します。このうち、今年(2017年)10月時点で「4対1」以上の看護配置を満たさないのは計400施設弱(山梨・石川・福井3県を除く44都道府県で計377施設)と考えられます。

 そうした実情を踏まえ、新設の療養病床などを経過措置の対象としない厚労省の案に対して、医療部会の委員から明確な反対意見は出ていません。

6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり

 ただし、2024年4月以降の経過措置の取り扱いをめぐっては、委員らの意見に隔たりが見られました。井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)は「6年間の中で確実に、病院も診療所も転換を図ってほしい」、伊藤彰久参考人(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男委員:日本労働組合総連合会総合政策局長の代理出席)は「延期がないように、高齢化の時代を乗り切れるように取り組んでほしい」と述べ、「6年限りの延長」だと強調しました。

 これに対して中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「経過措置の延長が良くないことのように聞こえるが、地域医療を混乱させない観点から考えると延長は決して悪いことではない」と主張。さらに「6年間延長以上でも以下もない。そうしてほしい」と述べ、2024年4月以降に「再延長を検討する」選択肢を残す必要性を指摘しています。

再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援

 厚労省は、2024年3月末まで6年間延長してはどうかと提案した理由を、「診療報酬・介護報酬の同時改定かつ、医療計画・介護保険事業計画の改定を行うタイミング(2024年度)で再度検討を行うことが必要」だからだと説明しています。

 とはいえ、2024年4月以降の再延長を黙認したわけではありません。厚労省は、看護配置「4対1」を満たさない病院・診療所がなくなるように、介護療養病床などの介護医療院への転換を促進する必要性を指摘。その具体案として、(1)遅くとも2021年3月末までに、地域医療構想調整会議において、各区域における療養病床の転換について協議を行うこととする(2)2021年度を「ひとつの目処」として、地域医療介護総合確保基金などを活用した転換支援を行う―考えも示しています。

 このうち、(1)に対しては、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が「期限を設けるのは違和感がある。『遅くとも』ではなく『原則』にしてほしい」と要望しましたが、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、▼今年(2017年)6月に閣議決定された骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)で、地域医療構想調整会議での「2年程度での集中的な検討」が促されている▼地域医療構想調整会議での検討は、主として【高度急性期機能】や【回復期機能】について行われることが多いが、【慢性期機能】を含めてしっかり議論してもらいたい―なとど説明し、「遅くとも2021年3月末まで」と期限を設けることへの理解を求めています。

 ちなみに(2)の地域医療介護総合確保基金には医療分(毎年度904億円)と介護分(同724億円)がありますが、介護医療院への転換のうち、医療療養病床からの転換は医療分、介護療養病床からの転換は介護分の基金で支援されるようです。

 

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