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地域医療支援病院の承認要件見直しへ議論開始―厚労省・検討会

2017.12.18.(月)

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」は12月15日、地域医療支援病院の承認要件の見直しに向けた検討に着手しました。現行要件は、主に「かかりつけ医との連携体制」などに着目して設定されていますが、「地域医療を支える病院」に求められる役割を見つめ直して、より適切な要件を探っていきます。地域医療支援病院の実態調査を年明けに行い、実態を把握した上で議論を進めます。

12月15日に開催された、「第14回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」

12月15日に開催された、「第14回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」

地域医療を支える病院に、どのような役割が求められるか

 地域医療支援病院は、「医療は、患者に身近な地域で提供されることが望ましい」という観点から、必要な病診連携などを推進する目的で、1997年の第3次医療法改正で創設されました。名称の通り、「第一線の地域医療を担うかかりつけ医」を支援する能力を備えた、原則200床以上の病院を、都道府県知事が承認しています(2016年10月時点で543病院)。

 具体的な役割としては、主に、(1)かかりつけ医から紹介された患者を治療し、治療後には、かかりつけ医に逆紹介する(2)院内の医療機器などを開放し、かかりつけ医らが共同利用できる体制を確保する(3)救急医療を提供する(4)地域の医療従事者に研修を実施する―の4つを担います。これらを踏まえて現在、次のような要件が設けられています。

【1】「紹介率80%超」「紹介率65%超かつ逆紹介率40%超」「紹介率50%超かつ逆紹介率70%超」のどれかを満たす
【2】施設や設備を地域の医師・歯科医師に開放し、共同利用に関わる運営規程を明示するなどして利用を促す
【3】年間救急搬送患者数が「1000人以上」「救急医療圏人口の0.2%以上」のどちらかを満たす
【4】地域の医療従事者に対する研修を年12回以上主催する

 こうした要件は前述のとおり、「地域医療を支える病院には、かかりつけ医を支える役割が必要ではないか」という観点から設定されています。しかし、地域医療支援病院に求められる主な役割が、今なお「かかりつけ医を支えること」であるかは、検討の余地があると厚労省は考えているようです。

 例えば、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、回復期や慢性期の医療ニーズが増大していきます。これからの医療提供体制の整備では、2025年時点の医療ニーズに対応できる体制への再編が重要なテーマとなり、再編後には、異なる医療機能を持つ病床間の連携も強く求められます。

 こうした方向性を踏まえて地域医療支援病院の在り方を考えれば、かかりつけ医との連携だけでなく、「病院同士の連携の評価」も重要ではないかと厚労省は指摘しています。新たな承認要件を固めるために、まずは「地域医療支援病院に求められる連携」を具体化していく必要があります。

へき地への医師派遣も論点に

 加えて厚労省は、「へき地の医療機関への医師派遣」といった観点からも、承認要件の在り方を検討してはどうかと提案しています。

 この点、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」と下部組織の「医師需給分科会」では現在、「医師の地域偏在や診療科偏在の解消に向けて早期に実行に移す具体策」の一環として、「医師派遣機能などを持つ地域医療支援病院に、経済的インセンティブを与える仕組みづくり」が検討されています(関連記事はこちら)。

 より具体的には医師派遣機能のほか、「派遣された医師が診療に不安を感じずに済むように、研修・指導などでサポートする機能」も持つ地域医療支援病院が、経済的インセンティブの対象病院として挙げられています。

 このような、地域医療支援病院が「経済的インセンティブによって評価されるべき医師派遣機能」と、「承認要件として課されるべき医師派遣機能」との関係は、今のところ明らかになっていませんが、今後、両者がリンクする可能性もあります(例えば、年間一定回数以上の医師派遣がインセンティブの要件となり、一定の経過期間を経て承認要件となる)。

 「経済的インセンティブを付与する仕組みづくり」を含む偏在解消策については、地域医療支援病院の承認要件よりも早くから検討されてきており、早ければ12月18日に取りまとめられます。その後の、具体化に向けた議論の行方を注目すべきでしょう。

 ちなみに、医師派遣を実施している地域医療支援病院は現状、少数にとどまります。例えば、地域医療支援病院のうち「へき地医療拠点病院」(へき地の医療確保に取り組む病院)でもある83施設に限って医師派遣の状況を見ても、50施設(60.2%)では派遣実績がありません(医師の派遣日数が「0日」)。地域医療支援病院全体では、派遣実績ゼロの割合がさらに高いと考えられます。

 医師派遣ができない個別の理由は定かでありませんが、医師派遣に関する承認要件を設ける場合には、こうした実情を踏まえる必要があります。また、「医師派遣の実績を承認要件に加えるべきだが、既存の地域医療支援病院がすぐに満たすのが困難」と考えられる場合には、一定の経過措置も求められます。このため厚労省は後述のとおり、地域医療支援病院の実態調査を行う方針です。

地域医療支援病院や都道府県の調査を年明けに実施

 厚労省は、地域医療支援病院数に地域格差があることや、上記4つの役割の実績に差(病院間格差)が見られる点も論点に挙げています。前者については、二次医療圏ごとの地域医療支援病院数を見ると、大阪府の「大阪市医療圏」(12病院)や兵庫県の「神戸医療圏」(11病院)、福岡県の「福岡・糸島医療圏」(同)など6医療圏で10病院以上が承認されている一方で、1病院もない医療圏が、全医療圏の32.3%(111医療圏)を占めます。

 そもそも地域医療支援病院には、「全医療圏に1つ以上必要」のような整備目標がありません。地域に医療を確保する上で必要な場合に、都道府県が独自に「地域医療支援病院を設置する目標」を医療計画の中で掲げることになっており、例えば長野県や静岡県が具体的な目標を設定しています。

 長野県では、「地域医療支援病院がある二次医療圏数」(現状は10医療圏中7医療圏)を、今年度(2017年度)末までに増やす目標を掲げています。しかし、地域医療支援病院がない医療圏は、中山間地域などに位置します。そもそも医療機関の数が少ないために病診連携が行われず、紹介率・逆紹介率の低さが、承認する上でのネックになっています。

 そこで山本英紀構成員(長野県健康福祉部長)は、「中山間地域等に限り、病院が救急医療を実施していれば、紹介率の要件を満たさずとも地域医療支援病院として取り扱ってはどうか」などと提案。また、地域医療支援病院に関する意見を、他の都道府県からも募ってほしいと要望しています。

 一方、後者の病院間格差は、地域医療支援病院が都道府県に毎年提出する業務報告書である程度把握できています。ただし、実際に果たしている「医療機能や地域での役割」までは分からず、厚労省は、地域医療支援病院に対するアンケート調査を、年明けに実施し、実態把握を目指す方針を示しています。

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