2017年4月から医療費助成の対象となる指定難病を24疾病追加を正式了承―疾病対策部会
2017.1.18.(水)
先天異常症候群や先天性肺静脈狭窄症、遺伝性自己炎症疾患、無虹彩症など24疾病を2017年度から指定難病に追加し、一定の重症度基準などを満たした患者について医療費助成を行う―。
18日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会で、こういった内容が了承されました。今後、2017年度予算の成立を待って、24疾病などについて告示を行い、4月から医療費助成が開始される予定です。
患者団体からは「難病制度についての更なる普及啓発」の要望
指定難病に新たに追加される24疾病をおさらいすると次のとおりで、下部組織である指定難病検討委員会が昨年(2016年)12月12日に固めた内容と同一です(関連記事はこちら)。
(1)カナバン病(関連記事はこちら)
(2)進行性白質脳症(関連記事はこちら)
(3)進行性ミオクローヌスてんかん(関連記事はこちら)
(4)先天異常症候群(関連記事はこちら)
(5)先天性三尖弁狭窄症(関連記事はこちら)
(6)先天性僧帽弁狭窄症(関連記事はこちら)
(7)先天性肺静脈狭窄症(関連記事はこちら)
(8)左肺動脈右肺動脈起始症(関連記事はこちら)
(9)爪膝蓋骨症候群(ネイルパテラ症候群)/LMX1B関連腎症(関連記事はこちら)
(10)カルニチン回路異常症(関連記事はこちら)
(11)三頭酵素欠損症(関連記事はこちら)
(12)シトリン欠損症(関連記事はこちら)
(13)セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症(関連記事はこちら)
(14)先天性グルコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症(既存の指定難病との整合性を図るため、先天性GPI欠損症から名称変更)(関連記事はこちら)
(15)非ケトーシス型高グリシン血症(関連記事はこちら)
(16)β-ケトチオラーゼ欠損症(関連記事はこちら)
(17)芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症(小児慢性特定疾患の疾病名との整合性を図るため、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症から名称変更)(関連記事はこちら)
(18)メチルグルタコン酸尿症(関連記事はこちら)
(19)遺伝性自己炎症疾患(関連記事はこちら)
(20)大理石骨病(関連記事はこちら)
(21)特発性血栓症(遺伝性血栓素因による)(関連記事はこちら)
(22)前眼部形成異常(関連記事はこちら)
(23)無虹彩症(関連記事はこちら)
(24)先天性気管狭窄症(関連記事はこちら)
▼発病の機構が明らかでない▼治療方法が確立していない▼希少な疾病で、患者数がおおむね人口の0.1%以下(当面は約18万人未満とする)▼長期の療養を必要とし、日常生活・社会生活に支障がある▼客観的な診断基準や、それに準ずるものが確立している―という要件を満たす疾病については、「指定難病」として医療費助成の対象とする(ただし一定の重症基準を満たすことが必要)ことが、2015年1月から施行されている「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)で定められています。これまでに306の疾病が「指定難病」に指定されており、今般の24疾病とあわせて330疾病が医療費助成の対象となります。
24疾病の追加について疾病部会で異論は出ていませんが、森幸子参考人(日本難病・疾病団体協議会)が患者の立場で次のような点を要望しています。
▼狭き門であり患者・家族には「どうすれば指定難病に指定されるのか」との思いもある。指定難病制度について(どのような要件を満たさなければ指定難病に指定されないのか、など)より国民に周知してほしい
▼「疾患群」として、いくつかの疾病をまとめて指定している難病もあるが、医師ですら個別疾病が指定難病に該当するのか不明な場面もあるという。漏れのないような工夫を検討してほしい
▼平地では歩行できるが、わずかでも勾配があれば歩行できない患者もいる。患者の生活実態も踏まえた基準を検討してほしい
こうした要望について厚生労働省健康局難病対策課の平岩勝課長は、「指定に当たっては学術的な観点で検討している」点などを説明した上で、今後も医師や国民に向けて普及啓発を行っていく方針を強調しています。
また千葉勉委員(京都大学大学院総合生存館思修館特定教授)は「指定難病の索引などを設け、一覧にしてはどうか」と提案。また指定難病委員会の委員である大澤真木子副部会長(東京女子医科大学名誉教授)は「診断書を作成する段階で、専用のホームページで詳しい情報を参照できるので、(漏れる)心配はあまりない」と説明しています。
今後、2017年度予算の成立を待って、24疾病などについて告示を行い、4月から医療費助成が開始される予定です。
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