Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

2018年度診療報酬改定、医療機能の分化などが引き続き重点課題―第57回社保審・医療部会(2)

2017.12.7.(木)

 来年度(2018年度)の診療報酬改定では、「地域包括ケアシステムの構築」や「医療機能の分化・強化、連携」の推進を重点課題に位置付ける。報酬改定のたびに対応している「医療従事者の負担軽減」には、専門職配置の柔軟化など「働き方改革」と併せて取り組む―。

 社会保障審議会・医療部会は12月6日、こうした内容で2018年度診療報酬改定の基本方針をまとめることを大筋で了承しました。

 2018年度診療報酬改定の基本方針は、社保審・医療保険部会での審議結果も踏まえ、両部会の連名で、近く取りまとめられる見通しです。

12月6日に開催された、「第57回 社会保障審議会 医療部会」

12月6日に開催された、「第57回 社会保障審議会 医療部会」

重点課題の機能分化を進めるため、入院医療は「医療機能と患者の状態」で評価

 12月6日までの医療部会での議論を踏まえれば、2018年度診療報酬改定の基本方針では、次の4つの基本的視点に立つことを求め、さらに具体的な改革の方向性を例示します。

(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(重点課題)
(2)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

 このうち(1)では例えば、入院医療の評価を「医療機能」や「患者の状態」に応じたものへと見直したり、「大病院受診時の定額負担」の見直しなどで、大病院と中小病院、診療所の外来医療の機能分化を進めたりすべきだと指摘します。

 基本方針の審議と並行して、2018年度診療報酬改定の内容を議論している中央社会保険医療協議会(中医協)では、急性期から慢性期までのほとんどの入院基本料の評価体系を、「基本部分」(医療機能など)と「実績部分」(患者の状態など)の組み合わせに再編するという大規模な見直し案が浮上しています。

 また、紹介状を持たずに「大病院」を受診した外来患者らが支払う定額負担の制度をめぐっては、「大病院」の範囲を広げる方向で、医療保険部会の意見がまとまりつつあり、具体的な見直し内容は今後、中医協で検討されると考えられます。

 (2)では、▼客観的な評価(第三者評価やアウトカム評価)を推進する▼患者が適切な情報を基に、納得して主体的に医療を選択できる仕組みを目指して、データ収集などを進める―ことなどを求めます。「遠隔診療の適切な活用」も促します。

 (3)では、医療の安全などを損なわないように配慮しながら、柔軟な働き方を可能にする環境整備と、医療従事者の負担軽減とをセットで進めるよう促します。例えば、「専門職の柔軟な配置」や「業務の移管を含むチーム医療の推進」がキーワードになります。

 (4)では、医薬品・医療機器の価格設定方法の見直し(薬価制度の抜本改革など)に加えて、「治療効果が相対的に低くなった技術(検査など)」への評価の適正化や、病院の門前や同一敷地内にある薬局の評価適正化を求めます。

院内調剤と薬局調剤の報酬差、中医協で議論か

 12月6日の医療部会では、こうした方向性が大筋で了承されました。しかし、「院内調剤の報酬を引き上げるなどして、薬局調剤との差を縮める」方向性の追記をめぐり、さまざまな意見が出ました。

 中川俊男委員(日本医師会副会長)や山崎學委員(日本精神科病院協会会長)は、薬局の報酬(調剤報酬)を引き下げて財源をつくり、医療機関での薬剤の一包化などを新たに評価すべきだと訴え、報酬差の解消を目指す方向性を基本方針に追記するよう求めました。

 また邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は、院内調剤と薬局調剤の報酬の差が「薬剤師の給与の差」を生み、病院の薬剤師不足を招いていると指摘。「病棟での服薬指導が大事だが、できない。非常に困っている」とコメントしています。

 一方で、森昌平参考人(日本薬剤師会副会長、安部好弘委員:日本薬剤師会常務理事の代理出席)は、基本方針への追記に反発し、「複数の医療機関の処方を一元的に管理し、重複投薬を解消する」といった薬局の役割への理解を求めています。

 追記の是非は永井良三部会長(自治医科大学学長)に一任されましたが、厚労省保険局医療課の矢田貝泰之・保険医療企画調査室長は、「院内・院外の調剤の問題をどうしていくかは、医療部会での意見を踏まえて、中医協で議論することだと考えている」と述べています。

 基本方針は改定内容の方向性を示すものであり、「医科と調剤の財源配分」といったテーマは社会保障審議会の所掌から外れ、中医協マターとなります。中川委員らの発言には、それを踏まえた上で「中医協論議に先鞭をつける」狙いがあるのかもしれません。近く中医協で「調剤報酬」がメインテーマとなり、この議論が再燃することになるでしょう。

病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

【関連記事】

医師の宿直、待機場所が病院に隣接していなくても免除―第57回社保審・医療部会(1)
療養病床の人員配置標準、緩和を6年延長―社保審・医療部会(1)
介護医療院の方向性固まる、「1年限りの加算」で転換促す―介護給付費分科会(1)
介護医療院、一部転換の場合には現在の病院名をそのままを表記可—社保審・医療部会(1)
介護医療院で「●●病院」を名乗れるが、利用者が誤認しないようなルール設ける—社保審・医療部会(1)
介護医療院、介護療養などからの転換は総量規制に含めず、新設は含める―厚労省
介護医療院、報酬設定論議始まる!医療療養からの転換を危惧する声も—介護給付費分科会(1)
2018年8月から高所得者の介護サービス利用料を3割に、介護療養からの新転換先「介護医療院」を創設

介護療養病床など、医療・介護に「生活機能」を備えた新たな介護保険施設などヘの転換を了承―療養病床特別部会
介護療養などの新たな転換先、転換準備期間と新設制限期間が争点に―社保審・療養病床特別部会
介護療養などからの新たな転換先、移行期間は3年か6年か―社保審・療養病床特別部会
介護療養に生活機能をプラスアルファした施設類型を、新たな介護保険施設の1つに―社保審・療養病床特別部会
介護療養病棟などの移行先となる「新類型の医療施設」、議論は煮詰まってきている―社保審・療養病床特別部会
介護療養などの転換先候補、「機能強化型Aの人員・報酬水準の維持」を求める意見―社保審・療養病床特別部会
介護療養からの「新たな移行先」、議論スタートするも「介護療養の再延長」求める声も―社保審・療養病床特別部会
25対1医療療養や介護療養の新たな移行先、社保審に特別部会を設置し年内に取りまとめ
25対1医療療養などの新たな移行先として3案を決定、社保審で改正法案論議へ―療養病床検討会
25対1の医療療養などの新たな移行先、3つのサービスモデルを厚労省が提示―療養病床検討会
25対1医療療養の新移行先、「医療内包施設」と「住まいと医療機関の併設型」の2類型―療養病床検討会