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医師偏在対策の具体策を議論する医師需給分科会に参画させよ―地域医療を守る病院協議会

2017.12.21.(木)

 医師需給分科会などが取りまとめた医師偏在対策は、昨春(2016年)と比べて後退してしまった。対策の具体化に向けた分科会での検討に参画し、医師偏在を解消させたい―。

 ▼全国自治体病院協議会▼全国厚生農業協同組合連合会▼全国国民健康保険診療施設協議会▼日本慢性期医療協会▼地域包括ケア病棟協会—の5団体で構成される「地域医療を守る病院協議会」が12月20日に開いた記者会見で、邉見公雄議長(全国自治体病院協議会会長、赤穂市民病院名誉院長)は、こうした考えを示しました。

12月20日の記者会見には、▼全国自治体病院協議会▼全国厚生農業協同組合連合会▼全国国民健康保険診療施設協議会▼日本慢性期医療協会▼地域包括ケア病棟協会―の役員が臨んだ

12月20日の記者会見には、▼全国自治体病院協議会▼全国厚生農業協同組合連合会▼全国国民健康保険診療施設協議会▼日本慢性期医療協会▼地域包括ケア病棟協会―の役員が臨んだ

偏在対策が後退し、「非常な憤り」

 医師の地域偏在や診療科偏在の是正に向けた対策は、主に、厚生労働省の「医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織、以下、検討会)で検討されています。昨春(2016年)に14項目の対策案が示された後、働き方改革なども踏まえた具体的な議論を行い、今年(2017年)12月18日に「早急に着手すべき対策」を大筋で取りまとめました(第2次中間取りまとめ)

 14項目の対策案の中には、(a)医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)(b)管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)—も含まれていましたが、「第2次中間取りまとめ」では、(a)の「自由開業の制限など」は、将来に向けた検討課題に位置付けられ、(b)の「管理者としての評価」は、地域医療支援病院の一部に限定して導入することに落ち着きました。

 この点について邉見議長は、「偏在問題には従前から関わっている」とした上で、「非常な憤りを持っている。いつになったら解決するのか」といら立ちを隠していません。邉見議長は、親会議である「医療従事者の需給に関する検討会」の構成員ですが、分科会で決まったものを「医療従事者の需給に関する検討会」で議論するにとどまっている点を指摘。具体的な議論を行う分科会への参画が必要であるとし、「われわれ5団体は、医師偏在に困っている地域の住民の代表である。分科会の構成員としてほしい」と要望していく考えを示しました。

医師偏在の度合い「見える化」は高く評価

 邉見議長は、第2次中間取りまとめの個別項目についてもコメントしています。

 例えば、「都道府県が3か年の医師確保計画を策定し、計画期間中の医師確保数の目標を立て、大学病院・医学部と協力して医師の地域定着策や医師派遣などに取り組む」点については、「都道府県は大学に強く要望できず、実効性が乏しい」と指摘。また、医師確保計画は、PDCAサイクルを回して3年ごとに見直されますが、「誰がチェックをするのか。都道府県自身がチェックするのであれば意味がない」との見方を示しました。

 その一方で、医師偏在の度合いを、▼人口▼患者の流出入▼医師数▼交通アクセス—などのデータから「見える化」する対策については高く評価し、「対策を話し合う者の中で共通認識ができる。議論は進んではいないものの、方向性は良い」と述べました。

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