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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

健保組合の保険証発行廃止し、「マイナンバーカードの保険証利用」に一本化を―経済財政諮問会議で有識者議員

2021.4.14.(水)

「マイナンバーカードの保険証(健康保険被保険者証)利用」を進めるため、健康保険組合による保険証発行を廃止し、「マイナンバーカードの保険証(健康保険被保険者証)利用」に一本化すべき

4月13日に開催された経済財政諮問会議で、有識者議員からこうした提言が行われました。

オンライン資格確認等のためにも「マイナンバーカードの保険証利用」は必要だが・・・

公的医療保険制度(健康保険制度)は、加入者(被保険者)が保険料を納めてそれをプールし、病気やケガなどの保険事故に遭遇した際に手厚い給付(年齢や所得に応じて医療費の7-9割を給付、さらに高額療養費制度などによる手厚い給付も行われる)が行われる仕組みです。

医療保険に加入していない人にはこうした給付が行われません(全額自己負担となる)。このため、医療機関や薬局などの窓口で「患者がどの医療保険に加入しているのか」を被保険者証(保険証)で確認します(資格確認)。しかし、「A社に勤務していたサラリーマンが、退職後にも在職中の被保険者証(保険証)を返還せずに使用して診療を受ける」などといったケースが少なからずあります(1か月当たり30万―40万件)。現在、正確な資格確認は「医療機関がレセプト請求を行い、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会)で審査をする時点」でなされるため、こうした「受診時には医療保険加入を確認しきれない」事態が生じてしまうのです。この場合、多くは「その医療保険に加入する他者が分担して負担する」こととなっており、無関係者の医療費負担を押し付けられている格好です。

そこで、医療機関等を受診した時点で、窓口で迅速・簡易かつ正確に「当該患者が医療保険に適切に加入しているか」を確認できる【オンライン資格確認等システム】が導入されます。資格確認は例えば次のような流れで行われます。

▼患者が、健康保険被保険者証機能を持つ「マイナンバーカード」を医療機関等窓口のカードリーダーにかざす

▼医療機関等のパソコン端末から、オンラインで社会保険診療報酬支払基金(支払基金)・国民健康保険中央会(国保中央会)のデータに「当該患者がどの医療保険(健康保険組合や国民健康保険など)に加入しているのか」を照会し、回答を得る

オンライン資格確認における本人確認の仕組み(医療保険部会4 191225)

2021年3月からオンライン資格確認等システムが導入される(健康・医療・介護情報利活用検討会1 200615)



当初は「2021年3月下旬からのオンライン資格確認等システムを本格導入する」予定でしたが、▼医療機関等の準備遅れ(カードリーダーシステムの生産遅れ、専用パソコンの調達遅れ、システム改修の遅れなど)▼データ精度上の問題—などがあり、政府は「遅くとも2021年10月までに本格運用を開始する」と予定を後ろ倒しすることを決定しました。

この点に関連して4月13日の諮問会議では、民間議員(竹森俊平議員:慶應義塾大学経済学部教授、中西宏明議員:日立製作所取締役会長兼執行役、新浪剛史議員:サントリーホールディングス代表取締役社長、柳川範之議員:東京大学大学院経済学研究科教授)から、「2022年度中にほぼ全国民にマイナンバーカード配布する」という政府目標を実現するため、「マイナンバーカードを健康保険証として使える措置は既に開始しているが、多くの医療機関で使えるように、読み取り機の普及を急ぐべき。各企業の健康保険組合において、単独の健康保険証交付をとりやめ、マイナンバーカードと健康保険被保険者証の完全な一体化を実現すべき」と提言しました。

「保険証」(健康保険被保険者証)と「マイナンバーカード」との双方が利用可能な状況が続けば「マイナンバーカードの普及が進まない」との考えに立った提言を考えられます。

公的医療保険の適正利用のためには「オンライン資格確認等システム」の本格運用が必要であり、オンライン資格確認等システムを有効活用するためには、できる限り多くの国民が「マイナンバーカードの保険証利用」を進め、できる限り多くの医療機関で「保険証利用が可能なマイナンバーカードでの保険診療受診」が可能となることが必要です。民間議員の提言は、こうした点を見据えたものと言えます。



ただし、医療機関等の準備が完全に進まない段階で「保険証(健康保険被保険者証)を廃止し、マイナンバーカードに一本化」した場合には、保険診療の提供に支障が出ることも考えられ、同時に「医療機関等の準備」促進も重要テーマとなります。この点、「世界的な半導体不足に伴うパソコン調達の遅れ」といった外的要因もあり、医療機関等での準備には一定の時間がかかると考えられることから、「状況を見ながら、『保険証からマイナンバーカードへの切り替え』を進めていく」ことが重要でしょう。



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