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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

がん医療体制の均てん化はもちろん、機能を踏まえた集約化も推進!正しく分かりやすい情報提供を推進!—がん対策推進協議会(1)

2022.10.14.(金)

次期の「第4期がん対策推進基本計画」においては、がん診療提供体制の「均てん化」とともに、「機能に応じた集約化」も併せて進めいてく必要があるのではないか—。

また、希少がん・難治性がん対策、小児・AYA世代のがん医療、高齢者のがん医療等、それぞれの特性に応じた対策を進めるとともに、「正しく分かりやすい情報提供」を推進していく必要がある—。

10月13日に開催されたがん対策推進協議会で、こういった議論が行われました。

がん診療提供体制、「地域間、拠点病院間の格差是正」も重要な視点

第4期がん対策基本計画の策定論議が、精力的に進められています(関連記事はこちらこちら)。我が国のがん対策のベースとなる極めて重要な計画ですが、「年内に協議会意見を取りまとめる」という非常にタイトな日程の中で審議が進められています。

10月13日の会合では、「がん医療の充実」と「基盤整備」を議題としました。本稿では「がん医療」に焦点を合わせ、基盤整備(研究や人材育成など)は別稿で報じます。

後者の「がん医療の充実」に関しては、前回行われた専門家(委員・参考人)によるプレゼンテーションや委員からの意見を踏まえて(関連記事はこちら)、次のような検討の視点が厚生労働省から示されました。

【がん診療提供体制等の充実】
(1)がん診療提供体制

▽均てん化に加えて、がん診療連携拠点病院等の役割分担を踏まえた「集約化」を推進する

▽新興感染症の拡大時等においても必要ながん診療を提供できるよう、平時における準備等の対応を含め地域の実情に応じた連携体制を整備する

▽がんゲノム医療を一層推進する観点から、がんゲノム医療中核拠点病院等を中心としたこれまでの取組を引き続き進める

(2)各治療法の充実
▽標準的治療の提供に加えて、科学的根拠に基づく高度な治療法の提供についても、医療機関間の連携体制の整備等を進める

▽科学的根拠に基づく治療法に関する情報提供・普及啓発を推進する

(3)チーム医療の推進
▽拠点病院等において、地域の医療機関との連携も含めたチーム医療提供体制の整備を進める

▽都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会において「拠点病院等と地域医療機関との多職種連携体制」を議論し、構築していく

(4)支持療法
▽多職種による相談支援体制の整備や医療従事者への研修の実施等を進める

▽支持療法提供の実態把握を進め、「科学的根拠に基づく支持療法」が実施されるよう、関係団体等と連携し、専門的なケアが受けられる体制を整備する

(5)リハビリテーション
▽拠点病院等を中心に「がんのリハビリテーション研修」を実施するとともに、研修内容も必要に応じて見直す

▽研修を受講した医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の拠点病院等への配置を推進する

(6)妊孕性温存療法
▽がん診療と生殖医療の連携の下、情報提供と意思決定支援のための人材育成等の体制整備をさらに推進するとともに、研究促進事業を通じたエビデンス創出に引き続き取り組む

(7)がん診療提供体制充実の評価
▽▼現況報告書▼患者体験調査—などを引き続き用いるが、デジタル化議論も踏まえ効率的な情報収集手法を検討する

【希少がん・難治性がん対策】
▽拠点病院等での対応状況や、医療機関間の連携体制等について、患者・家族等の目線に立った分かりやすい情報提供を進める

▽がんゲノム医療等の高度かつ専門的な医療へのアクセシビリティをさらに向上させるため、拠点病院等の役割分担に基づく連携体制を整備する

▽適切な診断に基づく治療提供のため、病理診断に係る「希少がん中央機関と拠点病院等との連携体制」を整備する

▽地域の実情に応じた診療提供体制を整備する観点から、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会において「希少がん・難治性がんの診療に係る連携体制」を議論する

▽評価については、▼現況報告書▼患者体験調査—などを引き続き用いるが、デジタル化議論も踏まえ効率的な情報収集手法を検討する

【小児がん・AYA世代のがん対策】
▽小児がん拠点病院と、がん診療連携拠点病院等や地域医療機関、かかりつけ医等との連携を含め「地域の実情に応じた小児・AYA世代のがん診療提供体制」を整備する

▽小児がん拠点連絡協議会において、引き続き「地域ブロックを超えた連携体制の整備を含め、小児・AYA世代のがん診療提供体制」を議論する

▽小児がん拠点病院等における対応状況や、医療機関間の連携体制等について、患者・家族等の目線に立った分かりやすい情報提供を進める

▽小児がん拠点病院と地域医療機関、かかりつけ医等の連携を含め「地域の実情に応じた小児がんの長期フォローアップのあり方」を検討していく

▽小児がん領域における薬剤アクセス改善に向けて、小児がん中央機関等と関係学会等が連携し研究開発を推進する

▽評価については、▼現況報告書▼患者体験調査—などを引き続き用いるが、デジタル化議論も踏まえ効率的な情報収集手法を検討する

【高齢者がん対策】
▽高齢がん患者が、それぞれの状況(合併症あり、介護施設入居など)に応じた適切ながん医療を受けられるよう、「拠点病院等と地域医療機関、介護施設等との連携体制」を整備するとともに、都道府県がん診療連携協議会において「高齢がん患者に係る診療提供体制」を議論する

▽高齢がん患者に対する適切な治療・ケアを提供するため、高齢者がん診療の実態を把握するとともに、関係団体等と連携し更なるガイドラインの充実を進める

▽高齢がん患者が適切な意思決定に基づき治療等を受けることができるよう、高齢がん患者・家族等の意思決定支援に係る取り組みを推進する

▽評価については、▼現況報告書▼患者体験調査▼遺族調査—などを用いるが、デジタル化議論も踏まえ効率的な情報収集手法を検討する



こうした方向に「反論」は出ていませんが、例えば次のような提案・意見が数多く出ています。「より良いがん医療」の推進向けた建設的な提案ですが、予算や人材などの制約というジレンマもあります。年末に取りまとめる報告書の中に、どのように提案・意見を盛り込んでいくのか、今後の議論に注目が集まります。

例えば、がん診療連携提供体制全体については、石岡千加史委員(東北大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学分野教授、東北大学病院腫瘍内科長、日本臨床腫瘍学会理事長)から「地域間、さらには拠点病院等間で、医療人材の確保や治療成績などに大きな格差があり、この縮小を進めていかなければならない」との強い訴えがありました。都道府県拠点病院の間でも「一定の格差」があり、地域拠点病院では「非常に大きな格差」があることが分かっており、今後ベンチマークをしながら「格差の縮小」に向けて関係者が一丸となって取り組むことが重要です。

この点、Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティングジャパンでは、全国から100を超えるがん診療連携拠点病院などが集い、自院のデータを持ち寄って比較分析することで、がん医療の質向上を目指す「CQI研究会」(Cancer Quality Initiative研究会、代表世話人:望月泉:八幡平市病院事業管理者・岩手県立病院名誉院長)において、DPCデータに基づく診療内容・実績の分析を担当しています(関連記事はこちら、2021年の第15回研究会の記事はこちら2019年の第14回研究会の記事はこちらこちら)。

CQI研究会では、DPCデータを用いて拠点病院等の診療内容を実名で比較。例えば、同じがん種について同じ手術・治療を行った場合でも、拠点病院間で▼件数▼術式割合(開腹か、内視鏡か、ロボット支援下か)▼在院日数▼術後抗生剤投与・銘柄▼血液凝固阻止剤投与▼栄養食事指導―などが相当程度異なっており、産科病院では「他院の状況を見て、自院の取り組みを改善させる」取り組みを常に行っており、これが「格差の縮小」や「拠点病院等全体での医療の質の底上げ」につながると期待されています。

●CQI研究会の詳細はこちら



また、黒瀬巌委員(日本医師会常任理事)は「がんに関する地域包括ケアシステムの構築」を提唱しています。がん診療連携拠点病院等以外で、がん診断・治療を受ける患者も少なくありません。こうした患者にも適切ながん診断・医療提供が行われるよう、地域全体での「がん対策推進」が求められています。一方、拠点病院等には、さまざまな機能・役割が求められ、極めて多忙になっていることから「負担軽減」も重要テーマとなります。この点、例えば、いわゆる「かかりつけ医」が基本的な相談対応や情報提供、日常的な医学管理を行うことで、拠点病院の負担軽減を実現できるでしょう。もっとも、その際に「拠点病院等と、地域医療機関との密接な連携」が必要かつ重要であることは述べるまでもありません。このため、黒瀬委員は「がんに関する地域包括ケアシステム」を地域で構築し、予防・検診・診断・治療・長期フォロー・緩和ケア・看取りまでを一気通貫で行える仕組みとすべきと訴えています。そこに「予算の確保」が加われば、地域で「有益な取り組み」を独自に行うことも可能となることでしょう。非常に魅力的な提案であり、今後の関係者の動きに期待が集まります。



このほか、▼外来でのがんリハビリが進むよう、【がん患者リハビリテーション料】(205点)を外来でも算定可能となるよう働きかけるべき(木澤義之委員:筑波大学医学医療系緩和医療学教授、日本緩和医療学会理事長)▼新たな「小児がん連携病院1A」を設けられない地域が16県ほど出ると思われる。地域の特性を踏まえた小児がん拠点病院・小児がん連携病院・地域医療機関による連携体制の構築を進めるべき(大賀正一委員:九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野教授、日本小児・血液がん学会理事長)▼情報提供については「正しさ」が重要なことは述べるまでもないが、さらに「患者・家族の視点、患者・家族への分かりやすさ」も重視する必要がある(大井賢一委員:がんサポートコミュニティ事務局長)—などの提案・意見も出ています。診療報酬や医療計画なども巻き込んだ、総合ていな「がん診療提供体制の充実」がさらに進むと期待されます。



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