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GemMed塾診療報酬改定セミナー2026

医師偏在是正策の強化に向け「都道府県・大学医学部・大学病院の連携」をこれまで以上に強化せよ—医師偏在対策検討会

2026.2.26.(木)

改正医療法を踏まえ、今後、各都道府県において医師確保計画を見直していくことになるが、その中では「医師養成過程での偏在対策」、つまり医学部の地域枠設定、臨床研修制度における広域連携型プログラムの活用促進、専門研修制度における連携プログラムの活用促進なども重要となってくる―。

その際、「都道府県・大学医学部・大学病院の連携」をこれまで以上に強化して、各種の取り組みを進めることが重要である―。

2月25日に開催された「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」(以下、偏在対策検討会)で、こうした意見が大筋でまとめられました。今後、構成員意見を踏まえて、遠藤久夫座長(学習院大学長)と厚生労働省で文言の最終調整を行ったうえで、「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」でも議論が進んでいる次期「医師確保計画策定ガイドライン」につなげられます。

2月25日に開催された「第13回 医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」

医師確保計画における「医師養成課程での偏在対策」の規定を強化する

検討会では、名称どおり「医師養成過程を通じた医師の偏在対策」を議論しており、 2024年には(1)臨床研修の「広域連携型プログラム」の制度化(2)総合的な診療能力を有する医師の育成・リカレント教育(3)医師偏在に配慮した医学部臨時定員の漸減(4)診療科間の医師偏在対策の検討—方針を固め、年末(2024年)の「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」に盛り込まれ、医療法改正に繋げられています。

あわせて、医師偏在対策のベースとなる「医師確保計画」についても、こうした制度改革を踏まえた見直しを行う必要があります(「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」でも議論が進んでいる、関連記事はこちら)。

医師確保計画による医師偏在対策の大枠は、▼医師偏在指標(人口10万対医師数をベースに、他の要素も勘案して、都道府県・2次医療県別に「医師の多い・少ない」をランキング化したもの)が下位3分の1となる医師少数県・医師少数区域を設定する→▼医師少数県・医師少数区域で「医師確保」を強力に推進する―ことを「3年を1期」として繰り返し、医師偏在指標の縮小を図るものです。

医師確保計画に基づく医師偏在対策の大枠(地域医療構想・医師確保計画WG3 220511)



このため、医師確保計画には医師偏在指標の考え方や医師少数区域・多数区域の設定方法、さらに医師確保に向けた具体的な取り組みなどを記載しますが、このほかにも「医師養成課程を通じた医師確保策・医師偏在是正策」として、大学医学部への地域枠(医師免許取得後、当該県での9年以上勤務などを義務づける)設定などを盛り込むこととなっています。

もっとも、「医師養成課程を通じた医師確保策・医師偏在是正策」としては、「地域枠設定」のほかにも「臨床研修制度での対応」「専門研修制度での対応」「総合的な診療能力を持つ医師の育成」などもあり、医療法改正を受けた次期「医師確保計画」策定ガイドラン(国(厚労省)がガイドラインを示し、このガイドラインに基づいて各都道府県が医師確保計画を策定する)の中に、こうした点も盛り込むべきではないか、との議論が行われてきました(関連記事はこちら)。

医師確保計画策定ガイドラインの概要



2月25日の偏在対策検討会では、これまでの議論を踏まえた「議論の整理案」が厚労省から提示されています。そこでは(1)地域枠等に関する取り組み(2)臨床研修制度に関する取り組み(3)専門研修制度に関する取り組み(4)必要な診療科の医師の育成・確保に関する取り組み―の4点について、具体的にどういった取り組みを行うべきか(医師確保計画策定ガイドラインに記載するべきか)が提案されています。提案内容は膨大なため、ポイントのみピックアップしてみます。

●医師確保計画策定ガイドラインの見直しに向けた医師養成過程の取組に係る議論の整理(案)はこちら(今後、内容の修正が行われます)とこちら(関連資料)



(1)地域枠等に関する取り組み
【全都道府県が取り組むべき対策】

▽当該都道府県内の18歳人口や医学部定員数、医師の年齢構成を踏まえた将来的な管内の医師数の推移など「各都道府県の置かれた状況」を把握、分析したうえで、医師の養成過程を通じた取り組みを講じる

▽都道府県・大学医学部・大学病院との連携を強化する
文部科学省の「大学病院機能強化推進事業」(地域で大学・自治体等の関係機関のトップが参画する協議の場を設け、大学病院と自治体等との連携深化方策に関する意見交換を行い、今後の方針を示すなど)を契機として、必要な協議を進めることが考えられる

【各都道府県の状況に応じた対策】
▽地域枠等「以外」の医師についても、「地域への定着」を促す取り組みを推進する
▽地域の医療機関で臨床研修・専門研修を受ける医師を増やす取り組みを推進する(魅力のある研修プログラムを都道府県・大学医学部・大学病院と連携して設計するなど)
▽必要な地域枠等を設置する場合は、「原則として恒久定員内で設置する」ことについて検討を進める(都道府県と大学とで時間をかけて協議し、厚労省の地域医療介護総合確保基金の「医師派遣事業、恒久定員内地域枠設置促進事業」なども活用することが重要)
▽都道府県と大学とが連携し、「当該都道府県内の大学医学部卒業生」がどこの医療機関に勤務しているのかを把握し、「当該都道府県内の医療機関での勤務」を働きかける
→地域枠出身医師について、義務年限終了「後」も地域に定着してもらうことや、非常勤なども含めた様々な形で地域貢献を促していくことが重要である

▽医師少数県や地理的条件その他の事情からやむを得ない事情のある都道府県においては「医学部臨時定員」の活用も考慮する



(2)臨床研修制度に関する取り組み
▽広域連携型プログラム(大都市の病院で臨床研修を受ける医師が、24週以上、医師少数県の病院でも研修を受ける仕組み、2026年度からのスタート)の活用を推進する
→都道府県がリーダーシップを発揮して、研修医の受け入れ病院に働きかけリスト化するほか、研修医のフォローを行うことなどが重要

▽広域連携型プログラムを通じて「医師少数県の病院で研修を受ける」研修医が、将来的に当該県に定着するために「当該県病院の専門研修プログラムに関する情報提供」「魅力ある研修プログラムの設定」などの取り組みを進める



(3)専門研修制度に関する取り組み
▽各領域の研修プログラムの状況、専攻医の採用状況、指導医の勤務状況、連携プログラムによる都道府県外の専攻医の受け入れ状況等を把握する
▽都道府県内の専門研修プログラムの「紹介」を都道府県が後押しする
▽「指導医の確保」等を含む研修環境の整備を通じて、魅力ある研修プログラムの作成を都道府県が後押しする
▽連携プログラム(医師が比較的多い都道府県の病院で研修を受ける医師が、研修期間のうち1年以上を、医師の少ない都道府県の病院で研修を受ける仕組み)を積極的に受け入れる(自県での勤務の魅力に気付いてもらえる絶好の機会である)
▽専攻医・指導医に対する支援を行い、自県への定着を促す



(4)必要な診療科の医師の育成・確保に関する取り組み
【若手医師に向けた取り組み】

▽地域枠等の入学者を含む医学生や若手医師を対象に「総合診療の魅力」を情報提供する(セミナー開催など)
▽総合診療や総合内科のローテーションを含むプログラム、地域医療研修において総合診療に従事できるプログラムなど、「総合的な診療能力を有する医師の養成」を強化するプログラムの充実に向けた支援を行う
▽大学等に設置される総合診療センター等を活用し、総合診療に従事する医師が、キャリアを形成しつつ地域医療に従事しやすい環境づくりを進める

【中堅・シニア世代医師に向けた取り組み】
▽管内の医療機関におけるリカレント教育に関する取り組み状況を把握する
▽都道府県が医師に対しリカレント教育に関する情報を提供する
▽医師の働き方改革を推進・支援する(柔軟な勤務形態の設定、地域間の人的交流の場の設定、地域住民・患者への「適切な医療の受け方」に関する啓発



あわせて、各都道府県における好事例・先進事例も併せて紹介されており、各都道府県で十分に参考にすることが期待されます。



こうした内容は、これまで重ねてきた議論を整理したものと言え、内容に関する特段の異論・反論は出ていません。

ただし、「今後、検討すべき事項」に関する要望も含めた注文も付いています。例えば、▼医師確保に向けた都道府県の役割が大きくなるが、都道府県によって取り組み状況に大きなバラつきもあり、国による支援が重要となる。医師確保計画の作成状況や進捗状況についての「定期的な検証」を行う必要がある(神野正博構成員:全日本病院協会会長、印南一路構成員:医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構副所長)▼今後、医師の増員が難しくなる中では、過疎地などでのオンライン診療の活用等も含めた強力な偏在対策を検討・実施すべき(神野構成員)▼医師の偏在是正も重要であるが、地方では「医師が少ない、医師が不足している」点への対応が求められていることにも留意すべき(印南構成員)▼「医師の少ない地域(地方)」から「医師の多い地域(大都市)」への医師移動(流入)を是正する方策なども今後検討していく必要がある。指導医の地域定着策の検討なども進めてほしい(木戸道子構成員:日本赤十字社医療センター副院長・第一産婦人科部長)▼総合診療に携わる医師のキャリア形成に関連して、「総合診療専門医のサブスペシャリティ領域」についての検討を早急にまとめる必要がある。また地域枠医師について「義務年限が明けた後の状況」(どこの医療機関に勤務するのか)などがそろそろ見えてくるので、きちんとデータを把握し、次の検討に繋げられるようにすべき(國土典宏構成員:国立健康危機管理研究機構理事長)▼都道府県・大学によって熱意や取り組み状況に大きな差がある。より強い調子で取り組みを促していくべき(前田嘉信構成員:国立大学病院長会議理事)▼医師の地域偏在是正について、「1人の医師に、永久に地方で勤務してほしい」と要請するのではなく、様々な形(非常勤や期間限定なども含めて)で地方勤務に協力してもらえるように、医師の流動性を高める方策を検討すべき。これが、最も困難な「診療科偏在」対策において非常に重要である(今村英仁構成員:日本医師会常任理事)—など、多様な意見が出ています。

今後、遠藤座長と厚労省とで「議論の整理に盛り込み、ガイドラインにすぐに反映すべき意見」、「将来の検討課題であり、偏在検討会や別の場での議論に付すべき意見」などに整理し、「議論の整理」を確定。

その後、「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」でも議論されている事項(医師偏在指標、医師多数区域・医師少数区域の設定など)と合わせて、次期「医師確保計画策定ガイドライン」につなげられます。



なお、「地域枠医師の義務年限明けの勤務状況」に関して、文科省と全国医学部長病院長会議とが連携して、調査・把握する仕組みも設けられますが、例えば新潟県などでは「極めて定着率が高い」(9割程度)ことが知られており、その取り組みを参考にした横展開などが進むことに期待が集まります。



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

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