地域包括ケアシステムでの活躍が期待される自治体保健師、2016年度は3万3901人に―厚労省
2016.10.27.(木)
今年(2016年)5月1日時点の地方自治体における常勤保健師数は前年に比べて1.7%増加して3万3901 人になり、統括的な役割を担う保健師は全都道府県のうち91.5%に、全市町村のうち48.4%に配置され、昨年度に比べて71自治体増加している―。
厚生労働省が21日に公表した2016年度の「保健師活動領域調査(領域調査)」の結果から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら、より詳しいデータはこちらとこちら)(関連記事はこちら)。
統括的な役割を担う保健師、9割超の都道府県・5割弱の市区町村に配置済
厚労省は、毎年5月1日時点の自治体における保健師の配置・活動状況を調べ、公表しています(2016年度は配置状況を把握する領域調査のみ)。要介護度が高くなっても、住み慣れた地域での生活を可能にすることを目指す「地域包括ケアシステム」の構築が急がれており、そこでは健康維持や疾病・介護予防で大きな役割を果たす保健師への期待がますます高まっています(関連記事はこちら)。
今年(2016年)5月1日の配置状況を見ると、次のようになっています。
(1)地方自治体における常勤保健師数の合計は、前年に比べて569人・1.7%増加し3万3901 人となった(都道府県に4999人・14.7%、市区町村に2万8902人・85.3%が在籍)
(2)所属部門別に見ると、都道府県では▼本庁に778・15.6%▼保健所に3660 人・73.2%―、市区町村では本庁に▼9424人・32.6%▼保健所に3165人・11.0%▼市町村保健センターに1万1161人・38.6%―が所属している
(3)統括的な役割を担う保健師は、都道府県では43 自治体・91.5%、市区町村では843 自治体・48.4%に配置されており、昨年度に比べて71自治体・8.7%増加した
(4)統括的な役割を担う保健師数は前年度に比べて127人・11.4%増加して1242人となり、都道府県では▼本庁に51人・20.5%▼保健所に183人・73.5%―、市区町村では▼本庁に426人・42.9%▼保健所に44人・4.4%▼市町村保健センターに348人・35.0%―配置されている
なお(3)と(4)の「統括的な役割を担う保健師」とは、「保健師の保健活動を組織横断的に総合調整および推進し、技術および専門的側面から指導する役割を担う者」をいいます。保健師、統括的な役割を担う保健師の配置は着々と進んでいますが、市町村レベルではまだまだ十分とは言い切れません。さらなる配置の充実に向けて、自治体の自助努力はもちろん、国による支援、日本看護協会らの職能団体による支援など、これまで以上に総合的な取り組みが待たれます。
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