デュロキセチン塩酸塩、変形性関節症の疼痛にも効能追加されたが、リスクを考慮した投与を―厚労省
2016.12.21.(水)
精神神経系の副作用がある『デュロキセチン塩酸塩』(販売名:サインバルタカプセル)について、「変形性関節症に伴う疼痛」に対する効能が19日に承認されました(関連記事はこちら)。
これを踏まえて厚生労働省は、▼変形性関節症に伴う疼痛に用いる場合、3か月以上疼痛がある患者にのみ投与を考慮する▼本剤を漫然と投与しない―ことなどを求める(関連記事は通知「デュロキセチン塩酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について」)を発出しました。
デュロキセチン塩酸塩製剤、自殺企図や敵意、攻撃性などの副作用も
デュロキセチン塩酸塩製剤は、もともとうつ病やうつ状態の治療薬として承認されました。その後「慢性腰痛症に伴う疼痛」、さらに今般「変形性関節症に伴う疼痛」に対する効能が認められたものです。ただし、本剤には▼自殺念慮▼自殺企図▼敵意▼攻撃性―などの精神神経系の重篤な副作用が発現するリスクもあります。
そのため厚労省は、本剤を変形性関節症患者に用いる場合にも、こうしたリスクを十分に考慮する必要があるとして、使用上の留意事項を次のように明確にしているものです。変形性関節症患者の治療にあたることの多い整形外科では、十分、ご注意ください。
▼変形性関節症に伴う疼痛に用いる場合、最新の診断基準を参考に変形性関節症と診断された患者にのみ、本剤の投与を考慮する
▼変形性関節症に伴う疼痛に用いる場合、3か月以上疼痛を有する患者にのみ、本剤の投与を考慮する
▼疼痛に対して本剤を投与する場合は、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性などの精神症状の発現リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断する
▼変形性関節症に伴う疼痛に対する本剤による治療は対症療法であり、本剤を漫然と投与しない(疼痛の原因があればその治療を併せて行い、薬物療法以外の療法も考慮する)
なお、製造販売業者は変形性関節症に伴う疼痛に対して本剤を処方するすべての医師などを対象に適正使用情報の周知を行う必要があり、処方医は安全対策の主旨を理解した上で処方を開始する必要があります。また製造販売業者から精神科医(心療内科医を含む)に対して、「変形性関節症に伴う疼痛での処方医からの相談」に対応するよう協力依頼もなされており、十分な連携をとることも重要です。
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