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在宅医療の推進阻む課題を収集、中長期目標を設定―全国在宅医療会議ワーキンググループ

2017.12.13.(水)

 在宅医療提供体制の整備が、関係団体の連携の下で円滑に進むように、2025年に向けた長期目標と、2020年に向けた中期目標を設定する。そのために、まずは関係団体から「他団体と連携を進める上で感じる課題」などの意見を募る―。

 12月8日に開催された全国在宅医療会議ワーキンググループでは、こうした方向が確認されました(関連記事はこちら)。各団体が感じる課題を解決して、在宅医療提供体制の整備を進めるための目標を、来年(2018年)3月までに固める方針です。

12月8日に開催された、「第5回 全国在宅医療会議ワーキンググループ」

12月8日に開催された、「第5回 全国在宅医療会議ワーキンググループ」

在宅医療推進に向けた重点分野は2つ

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となり、在宅医療のニーズが増大します。具体的には高齢化の影響で、訪問診療を受ける患者数は現在の60万人程度から100万人程度に増えると推計されています。さらに、「地域医療構想」による入院医療提供体制の見直しに伴い、外来・在宅の医療ニーズが計30万人分ほど生じると見込まれています。

少子高齢化などの影響で、在宅医療のニーズは2025年までに増大する

少子高齢化などの影響で、在宅医療のニーズは2025年までに増大する

 ただし、「患者が入院し続ける場合と、在宅医療に切り替える場合とで、どちらの医療の質が高いか」を客観的に示すデータはほとんどなく、医師も患者も難しい選択を迫られています。また、「そもそも在宅医療の提供が不十分で、選択できない」地域もあり、2025年に向けた在宅医療の提供体制整備が求められています。

 そこで厚生労働省は、在宅医療の関係団体(職能・事業者)や学術団体、行政機関(自治体)の代表者で構成する「全国在宅医療会議」を立ち上げ、在宅医療の推進に向けた「重点分野」について協議。今年(2017年)3月に、(1)在宅医療に関する医療連携、普及啓発モデルの蓄積(2)在宅医療に関するエビデンスの蓄積―の2つを「重点分野」と定めています。

 このうち(1)は、在宅医療提供体制をこれから整備する自治体の参考になるように、「医療機関同士の連携をどのように進めるべきか」や「在宅医療の長所・短所を、住民に正しく理解してもらうために、どのような普及啓発が有効か」といった先行事例の情報を集め、整理するものです。

 ただし、「在宅医療にどのような長所があり、短所があるか」を示すエビデンスが確立していないため、病院側も患者側も、入院・在宅のどちらを選択すべきか判断しづらいケースがあります。そこで(2)では、関係団体と学術団体の協力関係の下で研究を進めることとしています。

 全国在宅医療会議ではその後、下部組織の全国在宅医療会議ワーキンググループを定期的に開催。これらの重点分野を踏まえた取り組みの進捗状況を、各団体が報告し合っています。

重点分野と連動した中長期目標を3分野に分けて検討

 在宅医療推進会議では今般、上記重点分野に関する取り組みを、各団体が連携しながら計画的に進めるため、「2025年までの長期目標」と「2020年までの中期目標」を設定することにしました。中長期目標は重点分野と連動させ、(a)在宅医療に関する医療連携モデルの構築(b)在宅医療に関する普及啓発モデルの構築(c)在宅医療に関するエビデンスの構築―の3分野で定めます。

中長期目標は、「医療連携モデルの構築」「普及啓発モデルの構築」「エビデンスの構築」の3分野に関して設定される

中長期目標は、「医療連携モデルの構築」「普及啓発モデルの構築」「エビデンスの構築」の3分野に関して設定される

 具体的な目標の検討は、全国在宅医療会議ワーキンググループで進められています。まずは、各団体が感じている課題を収集し、「その解決のためにどのような目標を立てるべきか」を年明けから話し合います。在宅医療の推進に向けた課題は多様で、例えば介護分野に関するものも想定されますが、今回は、(a)(b)(c)と関係する課題に限って募集します。

 厚労省医政局地域医療計画課の松岡輝昌・在宅医療推進室長は、「例えば、各団体が実際に取り組んでいる中で、『ここが乗り越えられないからうまくいかない』とか、『他団体とこう連携できたらうまくいく』ということ」を把握し、解決につなげるイメージだと説明しています。

在宅医療の「エビデンス」は、従来と意味が異なる

 ところで、全国在宅医療会議ワーキンググループの新田國夫座長(全国在宅療養支援診療所連絡会会長)の下には、「在宅医療推進に向けて集積すべきエビデンスはどのようなものか」といった点を整理するための小グループが設置されています。12月8日には、飯島勝矢構成員(日本老年医学会代議員)が、この小グループで次のような議論が行われたことを明らかにしています。

▼「在宅医療のエビデンス」は、患者のQOL(生活の質や治療の満足度、人生の満足度)などに着目して蓄積すべきで、従来の「エビデンス」(例えば、「ある治療が、特定の状態の患者に対して●●という結果をもたらす」)とは意味が異なることに注意を払うべきである

▼在宅医療を軸とした研究を推し進める場合には、「病院側」と「在宅医療の実践側」(かかりつけ医が中心だが、在宅医療専門の診療所も含む)がサポートし合う「水平連携」を意識した研究デザインが必要となる

▼具体的には、「病院から在宅へ」や「在宅から病院へ」といった一連の流れを横断的に見るデザインが求められる

▼「在宅医療のエビデンス」の蓄積により、患者の「安心ある在宅療養」を推進・継続するための、「多様性に対応できるモデル」の構築を目指すべきである

 こうした小グループでの検討は、「在宅医療に関するエビデンスの構築」に関する中長期目標に反映される見込みです。

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