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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

3月から【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】を保険収載、救命救急入院料など届出る病院で処置実施可―厚労省

2019.3.5.(火)

 厚生労働省は2月28日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、3月1日から新たに保険収載された2つの医療機器の使用に関する留意事項を示しました(厚労省のサイトはこちら)。

 
 1月16日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、次の2種類の新たな医療機器を保険収載することが認められました(関連記事はこちら)。

(A)「ABTHERA ドレッシングキット」(新機能・新技術、保険償還価格は1キット(4189平方cm)当たり10万536円)

(B)「RFAシステム」と「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」(特定保険医療材料として価格設定をせず、新規技術料にて評価)

 3月1日から保険収載されており、今般の通知は、これら機器を用いた保険診療上の留意事項などを明確にするものです。

 
 前者(A)の「ABTHERA ドレッシングキット」は、腹部臓器の露出を伴う腹部開放創のうち「一次縫合による閉腹が困難なもの」に対し、腹腔内臓器を覆い、管理された陰圧をかけることで▼外界からの保護▼効率的なドレナージ▼炎症の抑制▼浮腫の軽減―をはかり、早期の筋膜閉鎖を可能とするもので、3月1日から保険収載。特定保険医療材料の新機能区分として、前者(A)に対応する【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】が設けられています。

 まず【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】による処置等は、保険診療上、▼A300【救命救急入院料】▼A301【特定集中治療室管理料】▼A301-4【小児特定集中治療室管理料】▼A302【新生児特定集中治療室管理料―のいずれかの施設基準を届け出ている医療機関でのみ実施できることが明らかにされています。

 これらの医療機関で【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】を用いた処置等を行うにあたっては、▼入院中の陰圧閉鎖処置または手術室以外で材料交換のみを実施した場合にはJ003【局所陰圧閉鎖処置(入院)】の点数を▼手術室で材料交換のみを実施した場合にはK000【創傷処理】の点数を―準用して算定します。その際、関連学会(日本救急医学会)の定める「腹部開放管理における専用ドレッシングキットの適正使用指針」に沿って使用することが必要です。

 J003【局所陰圧閉鎖処置(入院)】は、通常、局所陰圧閉鎖処置用材料で被覆すべき創傷面の広さに応じて、1日につき(1)100平方cm未満:1040点(2)100平方cm以上200平方cm未満:1060点(3)200平方cm以上:1100点―を算定できます。【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】を用いた場合には、「保護レイヤ部分の面積」に応じて前述の点数を算定することになります。

 また通常は、初回の貼付に関して、同じく創傷面の広さに応じて、(1)1690点(2)2650点(3)3300点―の【初回加算】を上乗せで算定できますが、【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】を用いた処置の場合には、この【初回加算】を算定できないことが示されました。

このほか、【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】を用いてJ003【局所陰圧閉鎖処置(入院)】を算定する場合、▼算定は10日を限度とする▼処置開始日をレセプトの摘要欄に記載する―ことも明確にされました。

 
一方、【腹部開放創用局所陰圧閉鎖キット】について「手術室で材料交換のみを実施した場合」には、K000【創傷処理】の点数を算定し、その際、創傷の長さ等に応じて(1)筋肉、臓器に達するもの(長径5cm未満):1250点(2)筋肉、臓器に達するもの(長径5cm以上10cm未満):1680点(3)筋肉、臓器に達するもの(長径10cm以上)「ロ その他のもの」:2400点―のいずれかの点数を準用して算定することが今般の通知で明確にされています。

 
 
また、後者(B)の「RFAシステム」と「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」は、無心体双胎における無心体への血流遮断を目的として、超音波ガイド下で経皮的に電極のカニューレ部を子宮腔内まで刺入し、無心体の臍帯付着部周囲を穿刺しラジオ波で凝固・焼灼し、ポンプ児から無心体への血流を遮断するものです。特定保険医療材料としての価格設定はなされず、K910-2【内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術】(4万点)を準用して評価することになりました。

 今般の通知では、「無心体双胎に対するラジオ波焼灼術」を行った場合、▼K910-2【内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術】(4万点)を準用して算定する▼無心体双胎に対する十分な経験を有する医師の下で行われた場合に算定する▼無心体双胎に対する治療は、関連学会(日本周産期・新生児医学会)の適正使用指針に従って使用した場合に算定できる―ことを示しています。
 

 
 
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