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大規模な院内感染を引き起こすCDI、鑑別診断のための検査法を2019年4月から保険収載—厚労省

2019.4.3.(水)

 CDI(クロストリジオイデス・ディフィシル感染症)の診断補助を行うために、糞便中の「クロストリジオイデス・ディフィシルのトキシンB遺伝子検出」を、D23【微生物核酸同定・定量検査】の1項目として保険収載する―。

厚生労働省は3月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら(通知)こちら(中医協資料))。今年(2019年)4月1日から保険適用されています。

感染防止対策加算1等の取得医療機関において、新検査の実施を保険診療上認める

 CDI(Clostridioides difficile infection)は高齢者に多い感染症で、▼下痢▼腹痛▼発熱▼白血球増多―などを症状とし、重篤になれば▼中毒性巨大結腸▼イレウス▼消化管穿孔―により死に至ることもあります。抗菌薬適正使用を含めた感染管理が充分に行われていない医療現場で頻繁に認められ、しばしば大規模な院内感染を引き起こすこともあります。

このため的確な鑑別診断が重要となりますが、今般、糞便中の「クロストリジオイデス・ディフィシルのトキシンB遺伝子検出」より、良好にCDIの鑑別診断が行えることが中央社会保険医療協議会総会(3月27日開催)で確認され、保険収載が認められました(関連記事はこちら)。

具体的には、以下の基準の「すべて」を満たす入院患者に対し、日本化学療法学会・日本感染症学会の定める指針(Clostridioides(Clostridium)difficile感染症診療ガイドライン)に基づいてクロストリジオイデス・ディフィシルのトキシンB遺伝子検出を行った場合、D023-12【微生物核酸同定・定量検査】の「12」のうちの「ブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子検出」の所定点数(450点)に準じて検査料を算定することが可能となります。本検査の実施にあたっては、▼下痢症状▼本検査を行う前の「CD抗原」「CDトキシン」の検査結果―を、診療録に記載することが求められます。

▽Clostridium difficile(CD)感染症を疑う場合で、D012【感染症免疫学的検査】の12「クロストリジウム・ディフィシル抗原定性検査」によって、「CD抗原陽性」かつ「CDトキシン陰性」である

▽2歳以上で、Bristol Stool Scale5以上の下痢症状がある

▽24 時間以内に3回以上、または平常時より多い便回数がある

 
また本検査は、D026【検体検査判断料】のうち、▼検体検査管理加算(II)▼検体検査管理加算(III)▼検体検査管理加算(IV)―のいずれか、およびA234-2【感染防止対策加算】の1「感染防止対策加算1」の施設基準を届け出ている保険医療機関でのみ実施することが認められ(当該施設基準を届け出ていない場合、本検査を実施しても検査料を請求することができない)、多くの医療機関において適切な感染防止体制を順次構築していくことが期待されます。

例えば、院内に感染防止対策部門を設け(院内安全管理部門都の重複可能)、そこに▼感染症対策経験3年以上の専任の常勤医師▼感染管理従事経験5年以上で、「感染管理に係る適切な研修」を修了した専任の看護師▼病院勤務経験3年以上の感染防止対策にかかわる専任の薬剤師▼病院勤務経験3年以上の専任の臨床検査技師―で構成される「感染制御チーム」を設置し(医師または看護師のうち1名は専従)、感染防止に係る日常業務を実施したり、チームによる定期的な感染管理の院内研修を実施することなどが必要です。

 
 なお、本検査とD023【微生物核酸同定・定量検査】の15「細菌核酸・薬剤耐性遺伝子同時検出」(1700点)を併せて測定した場合には、それぞれの点数が算定可能です。
 
 
 
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