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GemMed塾 看護モニタリング

胃がん内視鏡検診、費用対効果からは▼50歳開始▼75歳・80歳終了▼3年間隔―が最適—国がん

2020.9.16.(水)

胃がん内視鏡検診、現行ガイドラインの▼50歳開始▼終了年齢なし▼3年間隔―での実施よりも、▼50歳開始▼終了年齢75歳または80歳▼3年間隔―での実施のほうが、費用対効果評価の面では優れている—。

国立がん研究センターと東京大学医学系研究科は9月14日に、「胃がん内視鏡検診における受診対象の最適条件を推定」を公表し、こうした点を明らかにしました(国がんのサイトはこちら)。

もっとも検診の対象者・受診頻度は「費用対効果のみ」で判断するものではなく、他の要素も総合的に勘案する必要があることから、ただちにガイドラインの見直しが行われるものではありません。

ガイドラインよりも費用対効果に優れるが、それだけで対象者・受診頻度は決められない

我が国の死因第1位を独走する「がん」については、早期発見・早期治療が極めて重要となります。国がんが定期的に公表する「がんの3年・5年・10年生存率」では、ステージの若いがんほど、予後が良い(2020年のデータでは、ステージIの前立腺がん・乳がんの5年生存率は100%)ことが明確になっています。

早期発見のためには定期的な健診・検診受診が重要ですが、相応のコストが発生するため、最適な検診受診頻度を考える必要があります(受診頻度を高めすぎればコストが嵩みすぎ、コストを考慮して受診頻度を低くしすぎれば早期発見が妨げられてしまう)。



そこで国がんと東大では、シミュレーションモデルにより「胃がん内視鏡検診における受診対象の最適条件」を検討しました。

具体的には、日本人における胃がんリスク(喫煙状況、ヘリコバクター・ピロリ感染率)・死亡率を反映したシミュレーションモデルを構築し、胃がん内視鏡検診の▼開始年齢(40歳、45歳、50歳)▼終了年齢(75歳、80歳)▼受診間隔(2年毎、3年毎)―の組み合わせについて費用対効果により評価。

費用対効果については、新規医療技術(医薬品・医療機器)の保険適用時と同様に「増分費用効果比」で判断しています。質調整生存年(完全な健康での1年生存を1質調整生存年とし、疾病で健康度が下がると質調整生存年も低下する)を1年延ばすために、どれだけの費用がかかるかを見るものです。



その結果、▼開始年齢50歳▼終了年齢75歳または80歳▼3年毎―の胃がん内視鏡検診シナリオが最適であることが明らかになっています。

国がんでは、「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」2014年度版を発行しており、そこでは胃がん内視鏡検診を▼50歳開始▼終了年齢なし▼3年間隔―で実施することを推奨していますが、「より費用対効果に優れたシナリオ」が明らかになった格好です。

胃がん検診の対象年齢・受診頻度の「費用対効果」に関するシミュレーション結果



ただし、国がんでは、がん検診の対象年齢や受診間隔は、費用対効果分析だけでなく、▼利益・不利益のバランス▼医療資源の利用可能性▼検診実施主体の実施可能性▼他の保健・医療政策との整合性▼対象者への受診勧奨や情報提供のあり方―など「総合的な観点から検討を進める必要がある」と述べ、直ちにガイドラインの見直しが行われるものではありません。

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