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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

一般病床、平均在院日数短縮の中で「空床対策」の効果は十分に現れず―病院報告、16年12月分

2017.4.5.(水)

 ここ数年における12月分の平均在院日数・病床利用率を比較すると、「平均在院日数」は緩やかな減少を続けている一方で、「病床利用率」は明確な上昇傾向が見られず、多くの病院で「空床対策」に苦労している―。

 このような状況が、厚生労働省が4日に発表した2016年12月分の病院報告から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

前月に比べて一般病床の病床利用率は15.6%と大幅に減少したが、例年と同じ動き

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―について集計し、「病院報告」として公表しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

 (1)の1日平均患者数は、昨年(2016年)12月には病院全体で入院124万2703人(前月比9324人・0.7%減)、外来134万8630人(同4万8026人、3.4%減)で、入院・外来とも減少しています。

 病院の一般病床を見てみると、入院患者数は66万6328人で、前月に比べて9534人・1.4%減少しました。また病院の療養病床では、入院患者数は28万7891人で、前月に比べて985人・0.3%の微減となっています。

2016年12月、前月に比べて病院の患者数は入院・外来ともに減少した

2016年12月、前月に比べて病院の患者数は入院・外来ともに減少した

  

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.1日で、前月から0.1日短縮しました。病院の病床種別に見ると、▼一般病床16.0日(前月比0.2日短縮)▼療養病床141.9日(同4.0日短縮)▼介護療養病床291.1日(同11.5日短縮)▼精神病床270.6日(同増減なし)▼結核病床63.3日(同4.5日短縮)―となり、ほとんどの病床種別で平均在院日数が短縮しています。

2016年12月、一般病床の平均在院日数は短縮している

2016年12月、一般病床の平均在院日数は短縮している

 

 (3)の月末病床利用率を見ると、病院全体では71.5%で、前月に比べて8.9ポイントと大幅な減少となりました。病院の病床種別に見ると、▼一般病床60.8%(前月から15.6ポイント減)▼療養病床87.5%(同0.2ポイント減)▼介護療養病床90.5%(同0.2ポイント減)▼精神病床85.6%(同0.1ポイント上昇)▼結核病床31.0%(同2.5ポイント低下)―という状況です。一般病床の15.6ポイント減が気になりますが、例年、11月から12月にかけて一般病床の利用率が2桁の減少となるため、それほど驚く数字ではありません。「年末年始は自宅に戻りたいという患者の要請に応えているなどの背景があると考えられます。

例年、12月末の病床利用率は前月(11月)末から大幅に下がる

例年、12月末の病床利用率は前月(11月)末から大幅に下がる

  

 なお一般病床の平均在院日数(12月分)を5年前から見てみると、▼2011年:17.4日→(0.2日減)→▼2012年:17.2日→(0.3日減)→▼2013年:16.9日→(0.7日減)→▼2014年:16.2日→(0.3日減)→▼2015年:15.9日→(0.1日増)→▼2016年:16.0日―となり、徐々に短縮している状況が伺えます(厚労省のサイトはこちら)。

 一方、病床利用率は、▼2011年:62.0%→(0.6ポイント減)→▼22012:61.4%→(1.1ポイント減)→▼2013:60.3%→(0.6ポイント増)→▼2014年:60.9%→(1.4ポイント減)→▼2015年:59.5%→(1.3ポイント増)→▼2016年:60.8%―という状況です。

 メディ・ウォッチで何度もお伝えしていますが、病院経営において「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の上昇」を同時に達成することが極めて重要です。平均在院日数の短縮は、例えばDPCII群要件の1つである「診療密度」向上に大きく寄与するほか、院内感染やADL低下のリスクを低く抑えることができます。この点、12月分の比較では緩やかな減少傾向が把握できます。

 一方、在院日数短縮は「空床を生む」原因の1つであり、短縮と同時に「新規入院患者の獲得」などの対策をとる必要があります。この点、12月分の経年比較からは明確な傾向が見いだせず、全体としては集患対策が必ずしも十分な効果を生んでいないようです。もっとも、少子化により地域の患者数が減少モードに入っている中では、近隣の医療機関との連携強化や、救急搬送患者の積極的受入れなどの「空床」(増患)対策には限界もあります。「ダウンサイジング」や「近隣病院との再編・統合」といった選択肢も検討する必要があります(関連記事はこちら)。

  
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