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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

看護必要度で内科系疾患の評価充実を、看護配置のみでない入院料の評価を検討せよ—日病協

2017.4.28.(金)

 2018年度の次期診療報酬改定では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について「内科系疾患の評価を充実」すべきである。また、入院料の設定は看護配置のみでなく、患者の状態像や病棟の機能をも加味してなされるべきであるが、この点については2018年度の次期改定にこだわらず検討すべきである—。

 日本病院団体協議会(日病協)の代表者会議は28日、このような内容の改定要望8項目を決定しました。原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長、4月から新議長に就任)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、4月から新副議長に就任)が、5月の連休明けに、厚生労働省保険局の鈴木康裕局長に宛てて提出する予定です。

4月から日本病院団体協議会の新議長に就任した原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)。4月28日の記者会見で、2018年度に向けた8つの要望項目を発表した。

4月から日本病院団体協議会の新議長に就任した原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)。4月28日の記者会見で、2018年度に向けた8つの要望項目を発表した。

4月から日本病院団体協議会の新副議長に就任した山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)。入院料の新たな評価基準導入に向けた考えなどを、4月28日の記者会見で説明した。

4月から日本病院団体協議会の新副議長に就任した山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)。入院料の新たな評価基準導入に向けた考えなどを、4月28日の記者会見で説明した。

病棟群の改善や、DPC重症度係数見直しなど8項目を第1弾として要望

 日病協は、全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など13の病院団体で構成される協議会で、主に診療報酬に関する要望活動を行うために、各病院団体の足並みを揃える議論を定期的に実施しています。

 2018年度には診療報酬・介護報酬の同時改定が行われますが、▼控除対象外消費税(いわゆる損税)▼人件費の高騰—により病院経営が厳しい中で、「正しい医療を行う病院が適切に評価される」(山本副議長)診療報酬体系を構築する必要があるとし、28日の会議で次の8つの要望項目を決定しました。今回は第1弾の要望で「総論的」な内容にとどまりますが、10-11月頃に行う第2弾の要望では、より個別・具体的な内容を盛り込むことになります(関連記事はこちら)。

(1)入院基本料の評価基準見直しと、病棟群単位の入院基本料届け出の改善

(2)重症度、医療・看護必要度の評価における「内科系疾患」の評価充実

(3)DPCにおける重症度係数の妥当性確保と、他の係数の適切な評価

(4)療養病床の方向性の早期決定と、医療区分の見直し

(5)精神疾患の特性を踏まえた在宅移行の在り方と高齢化対策

(6)特定入院料における包括範囲の見直し

(7)診療報酬の簡素化

(8)ICT推進に向けた診療報酬上の適切な評価

病院団体も「患者の状態像や病棟機能を勘案した入医料」の導入に動き出した

 このうち(1)の前段にある「評価基準の見直し」では、「看護配置だけでなく、患者の状態像や病棟の機能をも加味した評価」を要望する構えです。ただし原澤議長は「では患者の状態像をどう評価するかという対案を検討してきた。例えば、手術直後には高度急性期であろうが、その後、患者が回復してくる状況を踏まえてどう入院料として設定するべきか。また疾患名で状態像を規定しようとしても、同じ疾患でも軽症から重症までさまざまである。対案を病院団体で固めることは難しく、厚生労働省で検討すべきテーマとも考えている。もっとも時間がかかるので、2018年度の次期改定で新評価基準を導入することは現実的には難しいかもしれない。」とし、要望書の中には「2018年度の次期改定にこだわらず、抜本的な見直しを検討すべき」旨が規定されます。

 なお、この日病協の見直し方針は、財政制度等審議会・財政制度分科会で示された考え方とも共通します。また米国では、看護配置をベースとする入院報酬は存在せず、患者の状態像や提供された医療内容に応じて入院報酬が支払われています(関連記事はこちら)。病院団体が、こうした考え方を積極的に導入しようと動き始めている状況に鑑みれば、そう遠くない将来、7対1・10対1といった看護配置をベースとする入院料は廃止され、「どのような患者を受け入れ、どのような医療を提供しているか」を勘案する入院料が導入されると考えられます。これまで以上に、「病院の実力」が報酬に反映されることになるでしょう。

25対1医療療養、介護医療院などへの円滑な移行のため「最低6年間」の延長を

 また(2)の看護必要度については、耳鼻科や皮膚科を抱える地域の総合病院で、7対1入院基本料の施設基準にある「看護必要度の基準を満たす患者(重症患者)割合25%以上」を満たせないところが出てくるので、内科系疾患の評価見直しを求める考えです。

 (4)の療養病棟については、懸案となっている「25対1医療療養」(療養病棟入院基本料2)について、「20対1」(療養病棟入院基本料1)や「介護医療院」(新たに創設される介護保険施設)への円滑な移行・転換に向けて、「介護療養病棟と同じく、最低6年間の経過措置延長が必要である」と要望することになります(関連記事はこちらこちらこちら)。

 さらに、(5)の精神医療に関しては、「精神病床入院患者の地域移行をあまりに推進するあまり、社会適応能力などが不十分なまま早期退院を余儀なくされ、結果として病状が悪化し再入院となるケースが多い」ことや、「長期入院患者の多くは高齢者で、認知症や他の合併症を発症している」ことなどを踏まえ、▼「精神疾患患者の個別性を踏まえた地域移行」を実現するための診療報酬上の配慮▼医療・福祉・介護の各分野における精神保健福祉法の切れ目ない支援体制整備―が求められる見込みです。

 また(8)のICT化については、すでにメディ・ウォッチでもお伝えしているとおり、安倍晋三内閣総理大臣などが提唱する「遠隔診療の評価」よりも、▼医療の質向上▼医療情報共有—に不可欠なICT化(例えば電子カルテの整備や維持・更新など)について診療報酬による評価の充実を求めていく考えです。

 

 なお、前述のとおり秋に行う第2弾要望では、より個別・具体的な項目として「病院における薬剤師業務の評価充実」などが盛り込まれる見込みです。原澤議長は、日病協の代表者会議において「院内調剤と院外処方では大きな点数の隔たりがある。薬剤師の初任給が、病院と保険薬局では15万円ほど違う地域もあり、病院薬剤師の確保が困難になっている。2018年度の次期改定で、病院内の薬剤師業務の評価充実を求める声が多い」ことを紹介しています。

 
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