2017年7月の後発品割合70.1%、前月から0.8ポイントもダウン―協会けんぽ
2017.11.21.(火)
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は今年(2017年)7月時点で70.1%となり、前月(70.9%)から0.8ポイントも低下してしまった―。
こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が11月21日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。
2017年に入ってから明らかな伸び悩み、6から7月にかけて0.8ポイントも低下
医療費が40兆円を超えて増加し続けていますが、我々国民の負担能力を超えて増加すれば医療保険制度が破たんし、世界に冠たる国民皆保険制度が崩壊してしまいます。このため医療費の伸びそのものを抑える医療費適正化対策が進められています。その一環として「効果が同じで価格が安いジェネリック医薬品(後発品)」の使用促進が重視されており、政府は、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定しています。
協会けんぽを運営する全国健康保険協会でも、以前から「後発品に切り替えた場合には、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を個別加入者に宛てて発出しているほか、毎月の後発品使用割合を公表などしています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら)。今年(2017年)7月の状況を見ると、数量ベースで70.1%(新指標、調剤分)となりました(関連記事はこちらとこちら)。
政府の掲げる第1目標はクリアできていますが、前月(2017年6月)から0.8ポイントも低下してしまいました。グラフから明らかなように、今年(2017年)に入ってから後発品使用割合の伸び悩んでおり、ついに「前月からダウン」しています。第2目標の「80%以上」達成に向けて、これまで以上に効果的な対策の立案・実行が早急に必要です(関連記事はこちら)。
80%以上をすでにクリアしている沖縄県でも、前月から1.0ポイント減
また後発品使用割合を、都道府県別に見ると大きなバラつきがあります。
今年(2017年)7月に後発品割合が低い(70%をクリアできていない)のは、▼徳島県:59.6%(前月から0.5ポイント減)▼山梨県:62.8%(同0.5ポイント減)▼高知県:64.7%(同0.4ポイント減)▼和歌山県:66.8%(同0.6ポイント減)▼広島県:67.3%(同1.2ポイント減)▼大阪府:67.3%(同0.8ポイント減)▼香川県:67.4%(同0.8ポイント減)▼京都府:67.9%(同0.7ポイント減)▼大分県:68.2%(同0.9ポイント減)▼東京都:68.2%(同0.7ポイント減)▼神奈川県:68.6%(同0.6ポイント減)▼愛媛県69.0%(同1.0ポイント減)▼茨城県:69.0%(同0.9ポイント減)▼奈良県:69.3%(同0.8ポイント減)▼岐阜県:69.4%(同0.7ポイント減)▼兵庫県:69.6%(同0.7ポイント減)▼岡山県:69.6%(同0.9ポイント減)▼栃木県:69.8%(同1.0ポイント減)▼千葉県:69.9%(同1.0ポイント減)▼福岡県:69.9%(同1.0ポイント減)—の20都府県です。愛媛や奈良、福岡などは前月には70%をクリアできていましたが、2017年7月には目標値を割ってしまっています。また、後発品使用割合がすでに80%を超えている沖縄県でも、前月に比べて1.0ポイント低下してしまいました。この原因がどこにあるのかを早急に突き止め、改善の手を打つことが求められます。
また、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の78.4%(同0.2ポイント増)、去たん剤の74.6%(同増減なし)、消化性潰瘍用剤の66.7%(同0.2ポイント増)など、逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の11.2%(同5.0ポイント増)、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の12.5%(同1.3ポイント減)などとなっています。
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