2017年5月の後発品割合70.7%、第1目標クリアするも、依然伸び悩み―協会けんぽ
2017.9.20.(水)
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽでは、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合が今年(2017年)5月時点で70.7%(数量ベース、新指標)となった―。
こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が9月15日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。主に大企業の従業員らが加入する健康保険組合でも、今年に入って概ね「70%以上」をクリアできています(関連記事はこちら)。
協会けんぽの後発品使用割合、安定して「70%以上」をクリアできてはいるが
医療費の伸びを国民が負担できる範囲に抑えるために、「効果が同じで価格が安いジェネリック医薬品(後発品)」の使用促進が重要施策の1つとなっています。政府は、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2018年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする(塩崎恭久前厚生労働大臣は2020年9月と明言)(第2目標)―という2段階の目標値を設定しています。
協会けんぽを運営する全国健康保険協会では、以前から加入者に対し「後発品に切り替えた場合には、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出しているほか、毎月の後発品使用割合を公表などしています。今年(2017年)5月の状況を見ると、数量ベースで70.7%(新指標、調剤分)となり、過去最高記録を更新しました。
2016年度診療報酬改定以降の、後発品割合の動向を見てみると、▼2016年4月:66.8%(0.3ポイント増)→▼5月:67.1%→(0.2ポイント増)→▼6月:67.3%→(0.2ポイント増)→▼7月:67.5%→(0.4ポイント増)→▼8月:67.9%→(0.4ポイント増)→▼9月:68.3%→(0.5ポイント増)→▼10月:68.8%→(0.6ポイント増)→▼11月:69.4%→(0.4ポイント増)→▼12月:69.8%→(0.8ポイント増)→▼2017年1月:70.6%→(0.1ポイント減)→▼2017年2月:70.5%→(0.1ポイント減)→2017年3月:70.4%→(0.2ポイント増)→▼2017年4月:70.6%—(0.1ポイント増)→▼2017年5月:70.7%となっています。安定して「70%超」を達成できていることが分かります。
しかし、今年(2017年)に入ってから後発品使用割合は伸び悩んでおり、第2目標の「80%以上」達成に向けて、どのような取り組みを行っていくのか、今後の展開に注目が集まります。
70%以上クリアできていないのは14都府県
協会けんぽ全体では第1目標についてクリアできています(調剤分)が、都道府県別に見ると大きなバラつきがあります。
今年(2017年)5月に後発品割合が低いのは、▼徳島県:59.7%(前月から増減なし)▼山梨県:62.8%(同0.4ポイント増)▼高知県:65.0%(同0.5ポイント増)▼和歌山県:67.3%(同0.2ポイント減)▼香川県:67.7%(同0.1ポイント減)▼大阪府:67.8%(同0.2ポイント増)▼京都府:68.3%(同0.1ポイント減)▼広島県:68.3%(同0.1ポイント減)▼東京都:68.7%(同0.1ポイント増)▼大分県:68.9%(同0.2ポイント増)▼神奈川県:69.1%(同増減なし)▼愛媛県:69.5%(同0.2ポイント減)▼茨城県:69.6%(同0.2ポイント増)▼奈良県:69.9%(同0.3ポイント減)—の14都府県です。とくに徳島県では目標まで10ポイント以上の開きがあり、前月から増加していないことなどを考えると、一層の取り組みが求められると言えるでしょう。
これら以外の33道県では70%以上の第1目標をクリアしており、沖縄県では81.7%となりました(同0.3ポイント増)。
なお、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の78.0%(同0.3ポイント増)、去たん剤の74.6%(同0.5ポイント増)、消化性潰瘍用剤の66.5%(同0.4ポイント増)など、逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の3.0%(同0.3ポイント増)、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の10.9%(同0.6ポイント減)などとなっています。
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