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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

遠隔での死亡確認後、看護師が点滴留置針等抜去や経尿道的尿採取を行ってよい―厚労省

2018.3.15.(木)

 ICTを活用した遠隔死亡診断等において、死亡診断を補助する看護師は、医師と連携の上で▼遺体表面に付着した排池物等の清拭▼点滴留置針等の抜去(死亡確認後)▼薬物分析のための経尿道的な尿採取(同)—などを行って差し支えない―。

 厚生労働省は、3月12日に通知「『情報通信機器(ICT)を活用した死亡診断等ガイドライン』に関するQ&Aについて」を発出し、こういった点を明らかにしました(関連記事はこちら)。

「異状死体の可能性あり」と考えた場合、補助する看護師は直ちに医師に報告を

 高齢化が進展し、我が国はいわゆる「多死時代」も迎えています。さらに価値観の多様化により、「在宅での看取り」を希望する高齢者も増えています。一方で、医師がすべての在宅患者の死亡を直接対面で診断することはが難しくなり、厚労省は規制改革会議の「看護師による確認で、医師が死後24時間経過後も死後診察なしで死亡診断書を交付できるようにすべき」との指示を受け、昨年(2017年)9月に「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」(以下、ガイドライン)をまとめました。

ガイドラインでは、次の5要件をすべて満たす場合に、ICTを活用した死亡診断を行えることを明確にしています。
(1)医師による直接対面での診療(死亡14日前以内)の経過から、「死亡につながる疾患に罹患し、その疾患や合併症により早晩死亡する」ことが予測され、患者や家族、看護師にその旨を説明している
(2)終末期の対応について「積極的な治療・延命措置を行わない」などの事前の取り決めを患者・家族と同意書を用いて共通認識し、医師と看護師との間で「常に電話連絡できる」などの十分な連携が取れている
(3)医師間や医療機関・介護施設間の連携に努めたとしても、医師による対面での死後診察までに12時間以上かかるなど、速やかな対面診断が困難である
(4)法医学などの一定の教育を受け、かつターミナルケア等に十分な経験をもつ看護師が、死の三兆候(▼心停止▼呼吸停止▼対光反射の消失)の確認を含め医師と予め決めた事項など、医師の判断に必要な情報を速やかに報告できる
(5)看護師からの報告を受けた医師が、テレビ電話装置などのICTを活用した通信手段を組み合わせて患者の状況を把握することなどにより、死亡の事実の確認や異状がないと判断できる

 今般、厚労省は医療現場から寄せられた疑義と、それに関する解釈をまとめ「Q&A」として整理しました。

 まず(2)の「終末期の対応に関する患者・家族との同意」については、「直接対面での死後診察を受けさせたい」といった家族(遺族)の感情に配慮して、「患者だけでなく、家族の同意も求めている」点を説明。したがって、家族がいない場合には、「家族の同意」は不要であるが、医師は「その旨を同意書文または診療録に記載しておく」ことが求められます。

 
 また(4)の「法医学などの教育・研修」については、具体的な内容がガイドラインに記載されており、厚労省は研修施設に対して、研修を修了した看護師の▼氏名▼修了年月日▼看護師免許番号▼勤務先▼主として連携する医療機関(遠隔死亡診断等を行うと想定される医療機関)—を記載した一覧表の提出を求めるとともに、研修修了看護師に「修了証を交付する」ことを指示しています。

 
 一方、(4)(5)で、看護師が死亡診断等を補助している際に「異状死体の可能性あり」と認めた場合には、遠隔死亡診断等を実施する医師に対して「異状死体の可能性がある旨を、『直ちに』報告することが必要」と指摘しています。

また、看護師による死亡診断等の補助に際して、▼遺体の体表面に付着した排池物等の清拭▼医師による死亡確認後の、患者の皮下・血管内に留置されている点滴留置針等の抜去▼薬物分析のための、死亡した患者からの経尿道的な尿採取―については、「医師と連携の下、看護師が実施できる」ことを明確にしています。

さらに、看護師1名のみで遺体の翻転等が困難な場合、「介助者の協力を得て、遠隔死亡診断等の補助を行える」ことも明らかにしました。ただし、この場合、遺族の精神的ストレスに配慮し、介助者は「死後診察の手順(遺体を着衣のない状態とし、眼瞼結膜を翻転するなど、ガイドラインで規定する一連のプロセス)について十分に理解した医療従事者や介護従事者等であることが望ましい」と付言しています。

なお、遺族が「遠隔死亡診断時に、遺体に付き添いたい」と希望した場合について、遺族の精神的ストレスに配慮し、▼遺族が死後診察の手順(遺体を着衣のない状態とし、眼瞼結膜を翻転するなど、ガイドラインで規定する一連のプロセス)を十分に理解している▼医師が「遺族を立ち会わせても差し支えない」と判断している―ことを条件に、付き添いが可能としています。

また、遠隔死亡診断を行った場合には、ガイドラインに沿った適切な診断が行われたかを事後に検証する必要があるため、医師は▼ICTを利用した死亡診断等に関する同意書(ガイドライン様式1)のコピー▼ICTを利用した死亡診断等の記録(ガイドライン様式2)のコピー▼遺族に交付した死亡診断書のコピー▼医師が確認した写真すべて▼その他、厚生労働省医政局長が求める資料—について、患者・家族の氏名や住所等を黒塗りにしたうえで(個人特定の防止のため)、厚労省に郵送することが求められます。

 
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