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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

医療・介護等データの利活用に向け、標準規格設定などの環境整備を―規制改革推進会議

2019.6.12.(水)

 NDBや介護DBなどの保健医療データを、民間も含めて利活用し、医療の質向上等を図る必要がある。そのために異なるシステムでも利活用できるように「標準規格」を設定するなどの環境整備を進める必要があり、今年度(2019年度)から順次検討し、期限を定めて措置すべきである―。

 規制改革推進会議が6月6日、こういった内容を盛り込んだ「規制改革推進に関する第5次答申―平成から令和へ―多様化が切り拓く未来―」を取りまとめました(内閣府のサイトはこちら)。

医療・介護等のデータの連結・解析が可能となるよう、環境整備を急げ

 規制改革推進会議(以下、推進会議)は、内閣総理大臣の諮問機関として2016年9月に発足(従前は規制改革会議、2017年7月に改組)。各省庁の制度・規制について、地方自治体や民間の視点も踏まえ「見直しが行えないか」を検討し、提言を行っています。今般の第5次答申では、「すべての規制は 必要性があって作られるが、技術革新など経済社会の環境が変化するにつれて、その必要性が変化する。必要性を失った規制が残れば、産業の活力低下やイノベーションの阻害、価格の高止まりなどの弊害が生じ、日本経済の底力が損なわれていく」ことを再確認し、▼第4次産業革命が、金融・通信・教育・医療・農業など、様々な分野で革新的なイノベーションをもたらしている▼我が国が直面する最大の課題「少子高齢化」に関連して、働きながら子育て・介護を行いやすい環境の構築が急がれる▼地方創生を力強く進める必要がある―点を踏まえた規制の見直しが必要と強調しています。

 医療・介護に関連する事項としては、(1)データ利活用の促進(2)患者による医薬品情報へのアクセス改善(3)日本医療研究開発機構の研究開発に係る各種手続の簡素化(4)社会保険診療報酬支払基金に関する見直し―などを検討しています。提言内容は膨大なため、目立つものをピックアップしてみましょう。

 まず(1)のデータ利活用促進に関しては、次のような改革を行うよう求めています。様々な場所に、異なる形式で格納されているデータを連結・解析等することで、医療・介護サービスの質が飛躍的に高まることが期待されており、推進会議では、連結・解析等の環境整備を迅速に進めるよう要請しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

▽健診情報データの利活用の必要性や活用方針を明確にし、公表する。データ利活用の目的や契約の類型に応じて、契約条項例や条項作成時の考慮要素等をガイドライン等で示す(2019年度に検討し、2020年度上期に結論を得て措置する)

▽全国の医療機関や保険者が医療データを共有し、様々なシステムが相互に連携可能となるよう、「医療分野における標準規格」の基本的な在り方を検討し、公表する。併せて医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの改定素案を策定する(2019年度に検討し、結論を得て、措置する)

▽全国の医療機関や薬局間で患者の医療情報を結ぶ「保健医療記録共有サービス」、国民に対する健診・薬剤情報提供を目的とした「総務省のマイナポータルを活用したPHRサービス」の開始に向け、「最低限必要となる標準規格」を検討し、ガイドライン等の形で公表する(2019年度に検討し、2020年度上期に結論を得て措置する)

▽▼救命医療における患者情報の医療機関共有▼セカンドオピニオン取得▼自らの健診情報の取得・管理―など国民のニーズが高いと思われる具体的なケースについて、「個人が自らの健診情報を利活用するための環境整備」「データ利活用のための標準規格確立」などのデータ利活用のための包括的な環境整備に向けた検討を開始し、結論を得る(2019年度に検討し、2020年度上期に結論を得る)

▽地域医療連携ネットワークにおける地域医療圏の取組等の支援に当たり、「国際基準に準拠した傷病名マスターの採用」原則とし、傷病名を含む「包括的な医学用語集」(AI活用や外国人向けの医療自動翻訳などで不可欠)の構築に向けて、優先度の高い領域について検討に着手する(2019年度に検討を開始する)

▽地域医療連携ネットワークにおける「個別同意の取得」負担軽減のため、「利用目的を院内掲示等で公表し患者から明示的に留保の意思表示がないことを確認する」方法を採り得るかを含めて検討し、結論を得る(2019年度に検討し、結論を得る)

▽NDBデータの「公益性のある民間利用」(新薬開発や安全評価等の医療品質の向上など)が可能となるよう、審査基準・手続等のガイドラインを公表する。また、NDB・介護DB等の連結データの民間提供に向けた審査基準・手続等を検討し、ガイドラインを公表する(2019年度に検討し、2020年度上期に結論を得て措置する)

▽患者本人の診療録等、個人情報の開示請求に当たり、高額の手数料などで請求が不当に制限されないよう、ガイドライン等で「医療機関における開示手数料の算定に係る推奨手続」を明らかにする(2019年度に検討し、結論を得て、措置する)

支払基金の改革計画達成に向けたスケジュール、早急に、具体的に示せ

 
 また、かねてより懸案事項となっている(4)の支払基金改革に関しては、次のような取り組みを行うよう、極めて具体的な要請を行っています(関連記事はこちら)。

▽「審査事務局におけるレセプト事務点検業務等を、全国地域に10程度の審査事務センターへ集約する」計画について、具体的な工程を明らかにし、公表する(2019年度に検討し、結論を得て、措置する)

▽コンピュータチェックルールの本部集約による「支部間の不合理な差異の解消」、及びコンピュータチェックルールの公開に関する実績・効果等について、実施状況を確認し、公表する(2019年度に検討し中間報告を行い、2020年度上期に結論を得て措置する)

▽支払基金と国保中央会の審査支払機能の効率的な在り方について、各都道府県の審査委員会の役割と必要性、審査支払システムの整合的・効率的な運用の可能性に留意しつつ、具体的な方針・対象業務・工程を明らかにし、公表する(2019年度に検討し、結論を得て、措置する)

 

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