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2020 診療報酬改定セミナー 2020 診療報酬改定セミナー 運営会社 GLOBAL HEALTH CONSULTING

2020年度診療報酬改定に向け、「入院時食事療養費」の引き上げを求める声も―社保審・医療部会

2019.11.20.(水)

入院時食事療養費については20年以上、金額が据え置かれ、病院において食事提供が非常に厳しい状況になっている。2020年度の次期診療報酬改定において引き上げを検討すべきである―。

11月18日に開催された社会保障審議会・医療部会では、診療報酬改定基本方針策定論議が進んでおり、その中ではこうした意見も出ています。

11月18日に開催された、「第70回 社会保障審議会 医療部会」

入院時食事療養費、20年以上金額が据え置かれ、病院での給食提供に支障が出ている

2020年度の次期診療報酬改定に向けて、社会保障審議会の医療部会・医療保険部会で「改定基本方針」策定論議が進められています。かつての中央社会保険医療協議会を舞台とした汚職事件への反省を踏まえ、▼改定基本方針を社保審の医療部会・医療保険部会で策定する(12月上旬)▼改定率を内閣が予算編成過程で決定する(12月中から下旬)▼改定内容を中医協で議論する―という役割分担が行われているものです。

11月18日の医療部会には、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の山下護課長から、これまでの議論(関連記事はこちらこちら)を踏まえた基本方針の骨子案が提示されました。(1)改定に当たっての基本認識(2)改定の基本的視点と具体的方向性(3)将来を見据えた課題―の3部構成です。

まず(1)の基本認識では、「団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年度に向けて医療ニーズが急速に増大していく」こと、その後「2040年度にかけて現役世代人口が急速に減少し、医療保険の基盤が極めて脆くなっていく」こと、「医師をはじめとする医療従事者の働き方改革の推進が求められている」こと、さらに「そうした中でも質の高い医療を確保する必要がある」ことなどを確認。

こうした基本認識の下、(2)では▼医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革▼患者・国民にとって身近で、安心・安全で質の高い医療の実現▼医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進▼効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4つの柱を打ち立てるとともに、「医師等の働き方改革」を【重点課題】に据える考えを改めて示しました。

また(3)では、診療報酬について「一部の医療関係者のみが理解し、多くの国民にとっては『遠いところの話』と思われているが、実は『非常に身近』で『生活に直結する』ものであること」から、「診療報酬を分かりやすくするための取り組みを進める」「住民、医療提供者、行政、民間企業等の関係者が、それぞれの役割を自覚しながら保健・医療にかかわることが重要である」ことを強調しています。

こうした骨子案について「異論なし」とする声が多数ですが、河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事)からは「団塊の世代が後期高齢者になり始める2022年度に向けて、医療保険制度の持続可能性こそ喫緊の課題である。『医師の働き方改革』の重要性は十分に認識するが、そこだけを重点課題に据えることは、いまだに理解できない。『働き方改革』が重要となるのは、急性期医療現場が主であり、そこに限定した記載とすべき」などとの意見が改めて出されています。

これに対し今村聡委員(日本医師会副会長)は、「『医師の働き方改革』は、勤務医の労働時間の上限を設け、超過した際には罰則をつけるという、これまでと次元の異なるテーマである。医師の労働時間減らすためにタスク・シフティングを行えば、看護師や薬剤師など他職種の新たな負荷がかかり、すべての医療スタッフに影響が出る。また『働き方改革』は国民生活に大きな影響が出る。フランスでは『医師の働き方改革』により救急患者の受け入れ制限が行われたとも聞いた。こうした点を理解してほしい。また重点課題に据えられたからといって、そこに財源が重点的に配分されるものでもない」と述べ、河本委員に理解を求めました。

また相澤孝夫委員(日本病院会会長)は「働き手が減少し、各スタッフの給与水準が高騰していることを十分に認識しなければならない。ICTやAIの活用といった努力も進めなければならないが、給与水準に高騰で病院経営は非常に厳しい」と病院の実情を説明しています。

山下医療介護連携政策課長も、「『医療従事者の働き改革』について、診療報酬だけですべて対応するわけではなく、総合的に医療改革を進め、患者への『上手な医療のかかり方』なども進めていく。また、勤務医の時間外労働上限規制は2024年4月からスタートし、患者も含めて医療を守ることを考えなければならない。こうした点を総合的に考慮して、『医師の働き方改革』を重点課題に据えている」旨を改めて説明しています。

河本委員は、こうした説明に対するコメントをしていませんが、今後の中医協論議を含めて「医師の働き方改革を診療報酬でどうサポートするか」は非常に大きな論点となることでしょう。



なお山崎學委員(日本精神科病院協会会長)と加納繁照委員(日本医療法人協会会長)からは、「入院患者の食事」に関する意見が強く示されました。入院時食事療養費(I)については、1997年の消費税率引き上げ(3%→5%)に伴う臨時の診療報酬プラス改定において「1900円→1920円」(1日当たり)に引き上げられましたが、その後「1日当たり→1食当たりに見直す」「患者負担を引き上げる」という見直しが行われているものの、金額自体は20年以上据え置かれています。両委員は「入院時食事療養費で、食材費・調理費はもちろん、光熱費等も賄わなければならない」「物価が上がる中で、入院時食事療養費は据え置かれている」状況の中で「食事提供の維持が極めて困難になっている。引き上げを検討してほしい」と強く訴えました(四病院団体協議会でこの件について議論されており、その際の記事はこちら)。

この点、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、「入院時食事療養費の増額は財政影響が極めて大きく、慎重に検討しなければならない」点を説明したうえで、「負担軽減と効率化の視点から、給食関係の事務の簡素化などを、現場の意見を踏まえて検討している。要件や金額については今後、中医協で検討してもらう」との考えを示しています。

医療部会では、12月上旬の基本方針策定に向けて、さらに議論を深めていきます。

地域医療構想の実現に向け、「民間病院の診療実績データ」をどう提供していくべきか

11月18日の医療部会では、「医師働き方改革」「地域医療構想の実現」に向けた最新動向、さらに「看護職員需給分科会の中間とりまとめ」に関する報告も受けました。

このうち「地域医療構想の実現」に関しては、厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長から「地域医療構想に関する地方との意見交換」の状況が報告されました。424の公立・公的病院等について「機能分化やダウンサイジングなど含む再編統合の再検証」が要請されますが、自治体や病院サイドからは「唐突であり、現場や住民は混乱している」「評価の指標が偏っている」などの意見が相次ぎ、厚労省幹部が地方に赴き「地域医療構想実現の必要性」「424病院の考え方」(機械的に再編統合を求めるものでない旨など)を詳しい説明がなされています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

この点、「地域の医療提供体制の将来像を全体として考ええる必要があり、民間病院のデータも提示する必要がある」との強い意見も出ており、厚労省も「民間病院に関する必要なデータ」を都道府県や地域医療構想調整会議に積極的に提供していく考えを明確にしています。

ただし、「多くの民間病院は、公立の基幹病院と異なり、一部機能に特化し地域密着型の医療提供を行っている。424病院とは異なる、民間の病院の実態を踏まえた評価指標(424病院については、がん医療や心疾患、脳疾患等をベースにした診療実績を評価指標とした)を検討すべき」(猪口雄二委員:全日本病院協会会長、釜萢聡委員:日本医師会常任理事)、「民間病院について別の指標を設けて評価を行うのであれば、公立・公的病院等についても、同じ指標で評価をしなおすべきである。公立病院の中にも、比較的規模が小さく、地域密着型で、地域に欠かせない病院も少なくない」(小熊豊委員:全国自治体病院協議会会長)といった意見も出ております。

また民間病院のデータの公表について「公表の次期や公表内容などを十分に考え、混乱が生じないようにする必要がある」との意見も多数出ており、今後、どういった形で民間病院データが提供・公表されるのか、厚労省の動きに注目が集まります。



「医師の働き方改革」に関しては、960時間を超える時間外労働が可能とするB・C水準指定の要件である「評価機能」受審(医師労働時間短縮計画の内容や進捗状況等を審査する)について、山崎委員や今村委員らから「適正な受審料設定と、公費による支援」を求める声が多数出されています。今後、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」でもさらに議論が深められることでしょう(検討会でもすでに受審料の議論が行われており、その際の記事はこちら)。

また「看護職員需給分科会」の中間とりまとめでは、2025年度において、看護職員の需要が「188-202万人程度」と推測される一方で、供給数は「175-182万人程度」にとどまっており、「2025年度時点で6-27万人程度の不足」が生じることが明らかとされました。また地域差も大きく、▼新規養成▼復職支援▼定着促進―策を地域の実情も踏まえて充実・強化していくことになります。

 
 

 

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「医師の働き方改革」を診療報酬でどうサポートするか、基本方針策定段階でも激論―社保審・医療部会
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424の公立病院・公的病院等の再編統合再検証、厚労省が地方に出向き趣旨等を丁寧に説明―国と地方の協議の場
機能分化やダウンサイジング等の必要性を改めて検証すべき424公立・公的病院等を公表―地域医療構想ワーキング
多くの機能で「診療実績が少ない」「類似病院が近接している」病院、再編統合を検討―地域医療構想ワーキング
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入院患者のポリファーマシー対策、減薬の成果だけでなく、減薬に向けた取り組みも評価してはどうか―中医協総会(1)
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2040年にかけて人口が70%減少する地域も、医療提供体制の再構築に向け診療報酬で何ができるのか―中医協総会
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2020年度診療報酬改定に向け、「医師働き方改革」等のテーマ別や患者の年代別に課題を議論―中医協総会



中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
ICU、看護必要度とSOFAスコアを組み合わせた「新たな患者評価指標」を検討せよ―入院医療分科会(2)
A項目1点・B項目3点のみ患者、療養病棟で該当患者割合が高いが、急性期の評価指標に相応しいか―入院医療分科会(1)
病院病棟への「介護福祉士配置とその評価」を正面から検討すべき時期に来ている―入院医療分科会(3)
ICUの「重症患者」受け入れ状況、どのように測定・評価すべきか―入院医療分科会(2)
DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会