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2022年度以降の医学部入学定員、5月までに「地域枠等の在り方」も整理して決定―医師需給分科会

2020.3.17.(火)

2022年度以降の医学部入学定員について、「日本全国における医師の需要と供給の推計」「地域枠等の在り方」「地域枠等出身医師の定着促進策」などを議論したうえで、今年(2020年)5月までに決定する―。

3月12日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった議論が行われました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

3月12日に開催された、「第34回 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」

科学的な分析を行ったうえで、「医学部入学定員」を設定

医師需給分科会は、名称どおり「医師の需要と供給について科学的な分析を行い、医師養成数を考える」検討会です。人口減少が進む我が国においては、将来的に医療需要がどう変化するのかを科学的に推計し、ニーズに対し過不足なく医療サービスが提供されるように医師養成数(つまり医学部入学定員)を調整していく必要があるのです。

医学部入学定員の考え方は「2021年度の入学者」分までは決まっていますが、その後(つまり2022年度の入学者以降)については未確定です。今後、「医師需給のマクロ推計」「医師の働き方改革」「医師偏在対策の状況」などを総合的に勘案して検討していくことになりますが、2022年度の医学部入学を目指す人は、現在「高等学校2年生」であり、進路決定のために「今年(2020年)5月までに結論を出す」ことが確認されました。

このうち「医師需給のマクロ推計」に関しては、「主にこれまでのロジックを踏襲したうえで、医師・歯科医師・薬剤師調査などのベースを最新の数値に置き換えていき、そこに『海外医学部出身医師』や『医師の働き方改革の推進動向』を勘案する」ことを決定しています。医師の供給数(何人の医師が養成され、どの程度の業務を行うのかなどを勘案)と、医師の需要(高度急性期、急性期、回復期、慢性期等でそれぞれ何名の医師が必要となるのかなどを勘案)とをそれぞれ計算し、「どの時点で供給過剰となるのか」を分析することになります。ちなみに、2021年度までの大学医学部入学定員を定める際に行った推計(中位)では、「このままでは2028年頃を過ぎると医師の供給数が需要数を上回り、供給過剰になる」ことが明らかになっています。



なお、医師の働き方改革や医師偏在対策、地域医療構想が動いており、遠い将来までの医師の需給を見通すことは極めて困難です。このため、医師需給分科会では「近い将来の医学部入学定員」を設定するにとどめ、定期的に見直しを行っていくことになります。

日本全国における「医師の需要と供給」を改めて推計

マクロ需給推計の結果はまだ示されていませんが、人口減少社会に入った我が国では医療需要は将来的に減少していくことから、「いずれ医師供給数過剰になる」ことは確実でしょう。この点を考慮すれば「医学部入学定員を抑制していく」ことが必要になります。将来、確実に需要が減っていくにもかかわらず、医師養成を増やしていけば、「働き場のない医師」が数多く生まれてしまう可能性もあるためです。

医学部の入学定員は、▼恒久定員(下図の青色の部分)▼臨時定員(医師確保が必要な地域・診療科のための「暫定増」(下図の黄色の部分)、地域枠などを設定するための「追加増」(下図の赤色の部分))—に分けられますが、こうした「将来の供給過剰」を考慮して「2022年度以降は、一度、臨時定員をリセットし、その必要性を改めて考えていく」ことが決まっています。

当面の医学部入学定員



もっとも「地域単位(ミクロ)でみれば依然として医師が少数で、需要に応えられない」ところもあります(マクロでは供給過剰でも、ミクロでは供給不足)。このため、各都道府県で総合的な医師確保計画を進める(2020年度から稼働)こととなっており、その1方策として「地域枠・地元枠の設定」があます。両者は、大枠では次のように考えていきますが、都道府県・大学の一部には異論もあり、今後、さらに詳細に調整を進めていきます。

▽医師の供給過剰を抑制するために「臨時定員」(黄色、赤色部分)を一度リセット(廃止)する

▽医師偏在の是正に向けて「地域枠・地元枠」が必要であり、これは「恒久定員」(青色部分)の中で設定する

▽もっとも、「恒久定員」の半数程度を「地域枠・地元枠」としても、まだ医師が不足すると考えられる地域(都道府県)については、新たに「臨時定員」での「地域枠・地元枠」の設定を検討する(この場合、当該都道府県・大学では恒久定員よりも多くの医師養成が可能となる)

地域枠・地元枠の定義を明確化、ただしここから外れる大学独自の選抜枠設定も可能

ところで「地域枠・地元枠」と一口に言っても、さまざまな形態があります。これらを峻別せずに臨時定員での設定を認めれば「不公平」が生じ、また「地域枠・地元枠」の乱立による医師供給過剰を招きかねません。

そこで医師需分科会では、▼まず「地域枠・地元枠の定義」を明確化する → ▼次いで「地域枠・地元枠の設定数」や「地域枠・地元枠出身医師の定着促進策」などを探る―という形で議論を進めていきます。

3月12日の医師需給分科会には、次のような定義案が厚生労働省から示されました。

【地域枠・地元枠共通】
大学医学部が設定する選抜枠のうち、▼一般枠とは区別して選抜する(別枠方式)▼地域医療対策協議会で協議をした上で設定する―もの

【地域枠】
▼各都道府県のキャリア形成プログラムで定める「医師不足の地域で一定期間従事する」ことにより奨学金返還義務を免除する▼地域枠学生として志願時に、上記条件で診療にあたることを都道府県と本人・保護者が書面同意している▼都道府県境を超えて設定可能である―もの

【地元枠】
「当該都道府県内に一定期間居住していた、もしくは、当該都道府県内の高校を卒業した(見込みを含む)学生を対象とする」もので、各都道府県はキャリア形成プログラムの適用について、学生の同意を得て適用するよう努めることが求められる

地域枠は「卒業後に一定期間、都道府県の指定する地域の医療機関・診療科で従事する」ことが求められるもの、地元枠は「地元出身者の優先入学枠」(もともと地域に定着しやすい)というイメージです。

この定義に対し、明確な反論・異論はなかったものの、「奨学金貸与を要件とするように見えるが、奨学金貸与されずとも、地域医療を志す医学生はいる」(今村聡構成員:日本医師会副会長)、「地域医療対策協議会で何を協議するのかを明確にすべき」(山口育子構成員:ささえあい医療人育成センターCOML理事長ら)などの注文がついています。

また権丈善一構成員(慶應義塾大学商学部教授)は、「地域枠という名称は、いわゆる地域枠と地元枠の上位概念として定着している。その上位概念と、地域での一定期間勤務を義務付ける枠とか混同されないよう、名称を考慮しなおすべきではないか」とも指摘しています。権丈構成員は、「地域枠」の中に、▼地域で一定期間勤務を義務付ける枠(新名称が必要)▼地元出身者の優先枠(地元枠)―を設置することが、過去の経緯とも整合するとの考えを示しています。

こうした点を踏まえて厚労省は、上記の定義案を精緻化(例えば、「奨学金貸与ありの地域枠」「奨学金貸与なしの地域枠」などに区分けした定義設定など)を行う考えを示しました。



ところで、地域枠・地元枠の定義が明確化されると、「地域枠・地元枠には合致しない大学医学部独自の選抜枠」が出てきます(現在でも、地域従事要件などを課さない選抜枠がある)。医師需給分科会では、これらは禁止しないものの、▼臨床研修における補助金(地域枠医師が地域従事規定を遵守しなかった場合に減額等を行う)▼専門研修における採用制限(地域枠出身医師を指定地域以外で採用することを禁じる)―は適用しない(各種施策のメリットは受けられない)ことも確認しています。



今後、専門研修部会では地域枠・地元枠定義の精緻化を行ったうえで、「地域枠・地元枠のミニマム統一基準」(指定地域での勤務年限の最小基準など)や「地域枠・地元枠医師のさらなる地域定着促進策」(入学前のより丁寧な説明、地元出身者がより多く地域枠に応募する入試方法、学部教育の充実、キャリア形成プログラムの改良、地域枠・地元枠医師を対象としたセミナー開催など)を検討していきます。

地域医師偏在の解消、「地方医療機関での勤務」を臨床研修時代に義務付けるべきか

また3月13日の専門研修部会では、医師偏在解消に向けた「臨床研修期間中に、半年間程度の地方勤務を義務付ける仕組み」の是非も議題となりました。全国知事会や全国市長会、全国町村会の連名で「仕組みの創設」が要望を受けた議題で、2月26日に開催された「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」でも提唱されたものです。

医師偏在対策の全体像を医師需給分科会で議論し、具体的な方策は、臨床研修制度や新専門医制度を議論する個別の会議体で検討することとなっているために、本議題が取り上げられました。

この点、構成員からは「9000名を超える臨床研修医を、地方の、特に過疎地の医療機関で受け入れ、適切な指導を行うことは難しいのではないか」(新井一構成員・前全国医学部長病院長会議会長、順天堂大学学長)、「医学部時代に1か月程度、臨床研修時代に1-3か月程度、専門研修時代に半年程度という形での地域医療従事のほうが実効的なのではないか」(北村聖構成員:東京大学名誉教授)などの意見が相次いでおり、要望・専門研修部会の意見ともに臨床研修制度を議論する「医道審議会 医師分科会 医師臨床研修検討部会」に伝えられます。


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