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総合診療医の養成・確保で「地域に必要な領域別専門医」数を抑制可能、医師需給分科会で総合診療医の在り方等を議論

2020.2.14.(金)

医師養成課程の中での医師偏在対策は、▼大学医学部における「地域枠の設定」(地域偏在・診療科偏在対策)▼初期臨床研修における「地域偏在対策」▼新専門医制度における「地域偏在・診療科偏在対策」▼総合診療医の養成―の4本柱で進めることが重要であり、総合診療医の在り方や必要数なども医師需給分科会で議論を進めていく―。

2月13日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった議論が行われました。

医師需給分科会では、こうした「偏在対策」論議と、2022年度以降の「医師養成数」(医学部入学定員の考え方)論議とを並行して進めていくことになります。

2月13日に開催された、「第33回 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」

「2022年度以降の医学部入学定員の在り方」を医師需給分科会で固める

医師需給分科会は、名称どおり「医師の需要と供給について科学的な分析を行い、医師養成数を考える」検討会です。人口減少が進む我が国においては、将来的に医療需要がどう変化するのかを科学的に推計し、ニーズに対し過不足なく医療サービスが提供されるように医師養成数(つまり医学部入学定員)を調整していく必要があるのです。

医学部入学定員の考え方は「2021年度の入学者」分までは決まっていますが、その後(つまり2022年度の入学者以降)については未確定で、今後、「医師需給のマクロ推計」「医師の働き方改革」「後述する医師偏在対策の状況」などを総合的に勘案して検討していくことになります。2022年度の医学部入学を目指す人は、現在「高等学校2年生」であり、どれだけ遅くとも、今夏(2020年夏)には「2022年度の医学入学定員」を明らかにしておく必要があり(進路決定を「高等学校2年の秋まで待て」と求めるのは、余りにも酷である)、今春(2020年春)に向けて議論を詰めていくことになります。

総合診療医の在り方、必要数を医師需給分科会で正面から議論

ところで、医師需給のマクロ推計を議論する過程で「我が国では、地域別・診療科別の医師数に大きな偏りがある」(医師偏在)ことが問題視され、「医師偏在対策」もセットで検討していくことが医師需給分科会で確認されました。

医師の偏在を放置したままでは、「地域医療構想の実現」や「医師の働き方改革」を進めることができないためです(例えば、医師が極めて少ない地域では、1人1人の医師に負担が集中し、働き方改革が進められない。また十分な医療提供体制を確保できず、地域医療構想の実現も不可能となる)。この議論が2018年の医療法・医師法改正に繋がり、さらに2018年秋から19年春にかけて、具体的な偏在対策として「都道府県に医師確保計画・外来医療計画の作成を求め、段階的に医師偏在を解消していく」方向が打ち出されました(現在、各都道府県で計画を作成中)。

ただし、都道府県の計画作成・実行だけで医師偏在が解消するわけではありません。医師確保計画に実効性を持たせるため、さらにより効果的に医師偏在対策を進めるために、さまざまな対策を取らなければなりません。

この点、厚労省はまず、医師養成課程の中で医師偏在対策を、「医師需給分科会」と「医道審議会の部会(臨床研修部会、専門研修部会)」とで連携して進める考えを次のように整理しました。

(1)医学部入学・学生時点での、地域枠の設定による地域偏在・診療科偏在対策
▽医師需給分科会→▽都道府県

(2)初期臨床研修(卒後2年以上)時点での、臨床研修制度における地域偏在対策
▽医師需給分科会→▽臨床研修部会→▽都道府県

(3)専門研修時点での、新専門医制度における「地域偏在・診療科偏在対策
▽医師需給分科会→▽専門研修部会▽日本専門医機構→都道府県

(4)総合診療医の養成

医師需給分科会と医道審議会・部会とで連携し、医師養成課程を通じた医師偏在対策を進めていく(医師需給分科会1 200213)

医師養成課程を通じた医師偏在対策の全体像(医師需給分科会2 200213)



4番目の「総合診療医の養成」について、医師需給分科会で議論が行われることが明確にされた点に注目が集まります。言わば患者の頭から爪先までを診療し、必要に応じて各分野の専門医につなぐ役割を担う総合診療医の養成によって、効果的かつ効率的な医療提供体制が構築できると期待されます(分野別専門医の地域での必要数が抑制される)。

このため、「総合診療医は全国でどの程度必要なのか、また地域(各都道府県)でどの程度必要なのか」の見通しを明らかにする必要があり、その前提として「総合診療医とは何か、どのような医師か」を明らかにすることが求められるのです。総合診療医には、新専門医制度で位置付けられた「総合診療専門医」はもちろん、内科系の医師、さらには「地域で総合的な役割を果たす外科系医師」なども含まれると考えられます。小川彰構成員(岩手医科大学理事長)は、「同じ脳外科医であっても、都市部では『脳動脈瘤などしか診ない』というケースがあるかもしれないが、地方では高齢者の肺炎も診なければならない」という事例を紹介。例示された「高齢者の肺炎も診る脳外科医」は、専門は脳外科であっても、総合的な役割を果たしている、つまり「総合診療医である」と言えるかもしれません。

今後、医師需給分科会で時間をかけて「総合診療医とは何か」を議論し、共通認識を構築したうえで、「地域に、日本全国にどの程度必要となるのか」を検討していくことになります。

この方向には構成員の多くから「賛同」「歓迎」の声が出されました。また関連して福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)からは「総合診療医の必要数を考えるうえで、どの程度の地域をカバーするのかも十分に議論する必要がある」との、神野正博構成員(全日本病院協会副会長)からは「総合診療医は、資格ではなくマインドを重視すべき」との、北村聖構成員(東京大学名誉教授)からは「地域に総合診療医を根付かせるために、産科や小児科などと同様に『総合診療医の配置』を地域に義務付ける工夫を考えてはどうか」との意見も出ています。総合診療医の議論に多くの構成員が期待を寄せていることが再確認できます。



なお、羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は「少なくとも専門研修までは偏在対策と切り離し、研修の質向上を目指してはどうか」という旨の考えを示しましたが、厚労省医政局医事課の佐々木健課長は「これまで、医学部入学から専門医制度、さらに生涯を通じて医師偏在対策を総合的に進めていく方向で、長い時間にわたって議論を積み重ねてきた。医師を都会に集め(「偏在対策と切り離す」というコメントにはその意味合いが強い)、地方に医師を派遣する手法は、まったくの新しい提案である。地方の医療体制、ひいては住民生活が『割を食う』こともやむを得ないとの意図であるのか」と強い不快感を示しました。

地域で医師数が一定程度あっても、病院勤務医は大きく不足している状況

ところで、医師偏在対策を議論する際の基礎データの1つに「都道府県別・診療科別の必要医師数」があります。

「代表的な疾患をどの診療科の医師が診ているのか」をDPCデータをもとに把握したうえで、日本全国の患者(疾患)ベースで「現時点でどの程度の医師が診療科毎に必要なのか」を推計。これを将来人口を踏まえてスライドさせて「将来時点(2025年・2030年・2036年)でどの程度の医師が診療科毎に必要なのか」を推計。これを都道府県別に割り振ることで「都道府県別・診療別の必要医師数」を把握できます。

この「都道府県別・診療別の必要医師数」と「現在の都道府県別・診療科別の医師の実数」(医師・歯科医師・薬剤師調査で把握可能)との差が「不足している」、つまりこれから養成しなければならない医師数となります。

この「都道府県別・診療別の必要医師数」については、最新データ等を踏まえた再計算が行われ、さらに「病院の勤務医について、都道府県別・診療科別にどの程度の医師が必要となるのか」の推計も別途行われることが前回会合(1月31日)で固められました。

都道府県別・診療科別の必要医師数の最新データを踏まえた見直しの考え方(医師需給分科会5 200213)



2月13日の医師需給分科会には、構成員のみに都道府県別・診療別の必要医師数の▼最新データ版▼病院勤務医版―が示されました。厚労省医政局医事課の担当者は「数字は、今後の議論を踏まえて修正が行われる。修正前の数字が独り歩きすることは避けたい」と述べ、確定後の最新データ版・病院勤務医版の双方を公表する考えを示しています。

後者の「病院勤務医版」は、都道府県別・診療別の必要医師数について「病院勤務医の生残率」を加味したものです。生残率とは、臨床研修を終えた医師(遺跡登録後3年目から)が病院での勤務をスタートし、1年後、2年後、3年度・・・にどの程度の割合で病院勤務を続けているかを、診療科別・性別にみたものです。

男性の病院勤務医の診療科別生残率(医師需給分科会3 200213)

女性の病院勤務医の診療科別生残率(医師需給分科会4 200213)



この病院勤務医版のデータを、全体版データと見比べると、「病院勤務医について、より医師不足が顕著である」ことが分かるようです。ここから、地域全体で医師数が一定程度確保されていたとしても、クリニック開業医が多く、「病院勤務医が不足している」状況が伺えます。「診療所を自由に開業できる仕組みが、病院勤務医不足を招いている」との指摘も根強くあり、今後、「診療所の開業制限」議論が再燃する可能性もありそうです(これまでの議論では、まず「外来医療計画」を都道府県で作成して、クリニックの開業状況の可視化から始めることとなっている)。


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