医療従事者の新型コロナ感染、必要性を認めた場合には積極的に検査実施を―厚労省
2020.4.1.(水)
医療機関内での新型コロナウイルス院内感染が増加している状況を踏まえ、ハイリスク者に接触する可能性の高い医療従事者に対し、新型コロナウイルス感染検査が必要と考えられる場合には、積極的に検査を実施してほしい―。
適切な感染対策が講じられている医療機関については、各都道府県で感染対策の状況を確認したうえで「帰国者・接触者外来と同様の機能を持つ」医療機関として認め、新型コロナウイルス感染検査の体制を充実してほしい―。
厚生労働省は3月30日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について」を示し、こうした点を各医療機関・都道府県等に要請しました。
「帰国者・接触者外来と同様の機能を持つ医療機関」を指定し、PCR検査体制充実を
中華人民共和国武漢市で発生したとみられる新型コロナウイルスが本邦でも猛威を振るい、各地で患者クラスター(集団感染)が生じ、残念なことに死亡例も発生しています。
3月6日には新型コロナウイルス感染の鑑別を補助するPCR検査「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出」が保険適用されました。ただし、院内感染防止・検査の精度管理の観点から、当面は▼帰国者・接触者外来▼帰国者・接触者外来と同様の機能を持つと都道府県が認めた医療機関―においてPCR検査を実施することが可能です。
これに伴い、厚労省は3月4日付で通知「新型コロナウイルス核酸検出の保険適用に伴う行政検査の取扱いについて」を発出。そこでは、必要な検査体制を確保するために、▼外来、入院を問わず、「帰国者・接触者外来」と同様に、疑い例が新型コロナウイルス感染症以外の疾患の患者と接触しないよう、可能な限り動線を分ける(少なくとも診察室は分ける)▼必要な検査体制を確保する▼医療従事者の十分な感染対策を行う―などの適切な感染対策が講じられている医療機関を、各都道府県の判断で「帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関」と認め、PCR検査の実施を可能としています(関連記事はこちら)。
今般の事務連絡では、このような適切な感染対策が講じられた医療機関では、▼保健所と連携し、速やかにPCR検査を行うこと▼保険適用によるPCR検査を行える体制を整える―ことが望まいとし、さらに各都道府県に対し、このような適切な感染対策が講じられた医療機関から申し出があった場合、速やかに「適切な感染対策がとられている」旨を確認したうえで、「帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関」として認め、保険適用に伴う手続きを行うよう求めています。さらなる検査体制の充実を目指すものと言えます。
医療従事者の新型コロナ感染の有無、積極的に検査実施を
さらに現在、医療機関において新型コロナウイルスの院内感染例が増加している状況を踏まえ、「医療従事者に対して検査が必要と考えられる場合には、積極的に検査を実施する」よう依頼しています。院内感染の拡大を早急に防止する必要性が高いためです。
なお、「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」(国立感染症研究所)には、「原則として、健康観察期間中である無症状の濃厚接触者は、新型コロナウイルスの検査対象とはならない」「しかし、濃厚接触者が医療従事者など、ハイリスクの者(高齢者、基礎疾患がある者、免疫抑制状態である者、妊娠している者)に接する機会のある業務に従事し、検査が必要と考えられる場合、クラスターが継続的に発生し、疫学調査が必要と判断された際には検査対象とすることができる」とされている点に留意が必要です。
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