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各都道府県で「新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関」設定など早急に進めよ―厚労省

2020.3.27.(金)

新型コロナウイルス感染患者の爆発的増加可能性があることを踏まえ、各都道府県において「新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関」の設定などを早急に進め、そこでは新規入院の制限など「病床の確保」に努めてほしい。その際には、「感染症病床」「感染症指定医療機関の一般病床」「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるための病床を確保した医療機関」などを優先的に考慮すべきである―。

また、医療資源を新型コロナウイルス感染対策に集中させるために、延期が可能な予定手術・予定入院については「延期」を検討してほしい―。

厚生労働省は3月19日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときに備えた入院医療提供体制等の整備について」を発出、さらに3月26日にこの事務連絡を改訂し、こうした点を各都道府県等に要請しました(厚労省のサイトはこちら(本文)こちら(別添))。

患者数の爆発的増加を見据え、「入院医療体制」の整備を今から進めよ

中華人民共和国武漢市で発生したとみられる新型コロナウイルスが本邦でも猛威を振るい、各地で患者クラスター(集団感染)が生じ、残念なことに死亡例も発生しています。さらに、例えば東京都では「爆発的患者増加」(いわゆるオーバーシュート)の危険性も指摘されています。

厚労省は、こうした事態を以前から想定しており、すでに3月6日に事務連絡「新型コロナウイルスの患者数が大幅に増えたときに備えた医療提供体制等の検討について」を提示。そこでは、▼疫学的関連性が把握できない程度に新型コロナウイルス感染が拡大した時点から、概ね3か月後にピークが到来すると考えられる▼各都道府県ではピークに備えて医療提供体制等を整備する必要がある―との基本的な考えを示し、医療提供体制に関しては、例えば▼一般医療機関のうち「必要な感染予防策を講じた上で、新型コロナウイルス感染症が疑われる方の外来診療を担当する医療機関」を設定する▼新型コロナウイルス感染症患者の入院医療を提供するための医療機関と病床を設定する▼集中治療や人工呼吸器を要する管理が必要な重症患者を受け入れる医療機関と病床を設定する―ことなどを提示しています。

さらに今般、厚労省は患者の大幅増加の可能性が飛躍的に高くなったことを踏まえ、「地域の実情に合わせてより柔軟に対応できる」とした上で、「ピークに備えた入院医療提供体制等の整備を早急に進める」ことを強く要請しています。

なお、今回は「『無症状感染者や軽症者は自宅療養とする』(いわゆる「対策の移行」)との対策をとった後の入院医療提供体制等の整備」の内容が示されているもので、各自治体が「『対策の移行』をさせるべきか否か」(無症状感染者や軽症者を自宅療養とすべきか否か)の検討は別に行う必要があります。



まず新型コロナウイルス感染症に対応した医療提供体制については、病床確保・患者受け入れ調整など「都道府県での対応」が基本となります。その際、▼管下市区町村や隣県との適切な協議▼管下市区町村や隣県への早急な情報提供(患者やクラスター(集団感染)の発生状況、重症度など)―などが極めて重要となることを厚労省は強調しています。

また各都道府県では、「新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関」(以下、重点医療機関)を設定することが求められます。専門性の高い医療従事者を集中的に確保し、十分な院内感染防止策を効率的に実施しやすくするためで、「医療機関単位」または「病棟単位」で新型コロナウイルス感染症患者の入院体制をとれる医療機関を指定することが期待されます。

その際、重点医療機関に入院している「新型コロナウイルス感染症以外の患者」を他医療機関に転院等させる必要も出てくることから、その設定に当たっては、地域の医師会や医療機関、消防機関などの関係者と事前に十分に調整することが求められます。

また、都道府県域内で患者受け入れが基本となりますが、▼「全国の複数地域で同時期に感染者が増大し、全国的に医療需要が増加した場合」には、ECMO(体外式膜型人工肺、extracorporeal membrane oxygenation)が必要となるような患者について「都道府県を超えた広域搬送」も必要となる▼「特定の都道府県で短期的に感染者が急増する場合」には、短期集中的な対応のために、「都道府県を越えた広域搬送」も必要となる―ことから、これらを想定した搬送体制について隣県と調整しておくことも重要です。

都道府県に「患者搬送の調整」などを行う調整本部を設置せよ

厚労省は、こうした基本的な考え方に立った上で、各都道府県において▼調整本部の設置と広域搬送の調整▼シナリオに基づくピーク時の医療提供体制の整備▼医療従事者の確保▼搬送▼医療物資(マスクなど)の適切配分―を行うよう求めています。

患者が大幅に増加した際には、「どの医療機関に患者を入院させればよいか」などを迅速かつ適切に判断する必要があり、その役割を各都道府県の「調整本部」が担うことになります。調整本部には、必要に応じて▼集中治療▼呼吸器内科治療▼救急医療▼感染症医療―の専門家や災害医療コーディネーターなどの参加を求めるとともに、搬送調整の中心となる「患者搬送コーディネーター」を複数名(24時間対応を行う必要がある)配置することが求められます。

また「調整本部」では、上述した「都道府県を越えた広域搬送」を想定し、隣県との調整を行うことも重要な役割となります。その際には厚生労働省が「支援を行う」考えを明確にしています。

ピーク時の患者数を推計し、「病床の確保」を進めよ

ピーク時の医療提供体制を整備に当たって、厚労省は次のステップを踏むことを示しています。

【第1ステップ】
▼入院治療が必要な患者(主に「持続的な酸素投与が必要な肺炎を有する患者」または「入院治療が必要な合併症を有する患者」、以下、入院患者)の数▼重症者(主に「集中治療室等での管理または人工呼吸器管理が必要な患者」、以下、重症者)の数―を推計する(関連記事はこちら

【第2ステップ】
ピーク時の入院患者数・重症者数が受け入れられるよう、医療機関との調整を行う(「医療機関の手上げ」方式、「医療機関への割り当て」方式など)

また第2ステップでは、医療資源の効率化(とりわけ専門性の高い医療従事者の確保)の観点から、前述した重点医療機関(「新型コロナウイルス感染症患者のみを受け入れる医療機関」「ある病棟を新型コロナウイルス感染症患者のみを受け入れる病棟とする医療機関」)の設定を検討することも必要です。

さらに第2ステップにおいて「医療機関への割り当て」「重点医療機関の設定」を行う際の順序として、▼感染症病床▼感染症指定医療機関の一般病床等、および「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるための病床を確保した医療機関」▼新型インフルエンザ患者入院医療機関の中の協力医療機関、公立・公的医療機関(指定(地方)公共機関である国立病院機構・日赤・労災病院など、または大学附属病院・公立病院・済生会病院等▼その他の医療機関―を例示しています(前に記述したものを優先的に割り当て、指定する)。実際の患者受け入れについては、前述の「各都道府県の調整本部」で調整を行うことになります。

ところで、新型コロナウイルスの入院患者・重症者を受け入れる医療機関や病棟を設定したとして、実際に患者が発生した際に「別の入院患者がいるので受け入れはできません」という事態が生じてしまっては意味がありません。そこで、厚労省は「地域の感染状況を確認した上で、今後要請される患者の受け入れに備えて、▼新規入院制限の要請▼「新型コロナウイルス感染患者以外の入院患者」の他医療機関での受け入れ調整―などを行うよう求めています。

また、重症者に適切に対応するために、▼集中治療室での受け入れについて事前に医療機関と十分に調整する▼人工呼吸器等の需要が増加するため、入院医療機関で必要な医療資器材・対応できる人員の確保状況を把握する▼ECMOに関しては、専門性が高く、多くの医療従事者の対応が必要となることに留意した体制整備を検討する▼専門医や重症者治療経験を持つ看護師を中心として、一般の医師や看護師を含めたチームを作り、ピーク時に向けた研修を現時点から実施する―ことなどを強く求めています。

延期可能な予定入院・予定手術は「延期」を検討せよ

医療従事者の確保に関しては、「新型コロナウイルス感染症患者に対応する医療従事者」のみならず、「他の疾患の診療を行う医療従事者」の確保も行うことが重要です。

そこで厚労省は都道府県に対し、「各医療機関における医療従事者の把握」に努めるとともに、▼クリニックなど一般医療機関に勤務している医療従事者の派遣▼医療機関に従事していない医師、看護師、臨床工学技士等の把握と臨時の職務復帰▼ECMO管理経験のある看護師や臨床工学技士等の把握―などを検討するよう求めています。

また、夜間・休日の外来診療体制に関して、▼救急外来を設置していない医療機関にも、診療時間延長や夜間外来の輪番制実施を求める▼在宅医療が可能な方に対しては在宅医療で治療を行う―ことなどを、都道府県と地域の医療機関や医師会等とで連携して詰めていくことが重要です。

なお、医療資源を新型コロナウイルス感染対策に集中させるために、医師の判断で「延期が可能な予定手術・予定入院については、延期を検討する」ことも求めています。患者の院内感染等のリスク低減にもつながるため、非常に重要な視点と言えます。


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