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患者申出療養の計画変更を了承、ただし「野放図な期間延長」などは好ましくない―患者申出療養評価会議

2020.9.25.(金)

3番目の患者申出療養である「難治性天疱瘡患者へのリツキシマブ静脈内投与療法」について、新規患者が参加を希望していることを踏まえ、実施期間は変更せず(2023年3月まで)、予定症例数を10症例から20症例に拡大する―。

1番目の患者申出療養である「腹膜播種・進行性胃がん患者へのパクリタキセル腹腔内投与および静脈内投与ならびにS-1内服併用療法」について、治療継続している患者がいることを踏まえ、実施期間を「今年(2020年)10月まで」から「来年(2021年)10月まで」に延長する―。

9月25日に開催された患者申出療養評価会議(以下、評価会議)で、こういった点が了承されました。ただし、「安易に計画を変更し、野放図に試験治療を継続することは許されない」との指摘が構成員から多数出ている点に留意が必要です。

9月24日に開催された、「第23回 患者申出療養評価会議」(新型コロナウイルス感染防止のために構成員の一部はオンラインで参加)

天疱瘡患者へのリツキシマブ静脈内投与、実施期間は延長せず「症例数」を拡大

患者申出療養は、2016年4月1日からスタートした新たな保険外併用療養制度で、傷病と闘う患者の「海外で開発された未承認(保険外)等の医薬品や医療機器を使用した治療を受けたい」といった希望・申し出を起点として、当該医療技術(未承認の医薬品等)に一定の安全性・有効性があることを評価会議で確認した上で、保険診療との併用を可能とするものです。

これまでに、次の10種類の患者申出療養が認められています。
(1)腹膜播種・進行性胃がん患者への「パクリタキセル腹腔内投与および静脈内投与ならびにS-1内服併用療法」
(2)心移植不適応な重症心不全患者への「耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法」(関連記事はこちら
(3)難治性天疱瘡患者への「リツキシマブ静脈内投与療法」(関連記事はこちら
(4)髄芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍または非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍患者への「チオテパ静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与およびエトポシド静脈内投与ならびに自家末梢血幹細胞移植術の併用療法」(関連記事はこちら
(5)ジェノタイプ1型C型肝炎ウイルス感染に伴う非代償性肝硬変患者への「レジパスビル・ソホスブビル経口投与療法」(関連記事はこちら
(6)進行固形がん(線維芽細胞増殖因子受容体に変化を認め、従来治療法が無効、かつインフィグラチニブによる治療を行っているものに限る)患者への「インフィグラチニブ経口投与療法」(関連記事はこちら
(7)早期乳がん患者への「ラジオ波熱焼灼療法」(関連記事はこちら
(8)遺伝子パネル検査でactionableな遺伝子異常を有すると判断された固形腫瘍に対する「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」(関連記事はこちらこちら
(9)HER2陽性の手術不能または再発の乳房外パジェット病患者に対する「トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ点滴静注用)静脈内投与療法」(関連記事はこちら
(10)ROS1融合遺伝子陽性の進行性小児脳腫瘍患者に対する「エヌトレクチニブ(販売名:ロズリートレクカプセル)の経口投与療法」(関連記事はこちら



ところで、患者申出療養は「個別患者からの申し出」を起点としますが、最終的にはその医療技術を保険収載することを目指しており、「臨床研究」として実施することになります。評価会議では、「当該医療技術を保険収載するに相応しい臨床研修計画が適切(有効かつ安全)に作成されているか」といった視点で審査が行われるのです。

臨床研究計画(実施計画)には、▼技術の内容▼適応症▼対象患者(患者要件)▼使用する医薬品・医療機器・再生医療等製品▼実施医療機関・協力医療機関▼実施期間▼予定症例数―などが明記され、これに基づいた実施が必要となります。

この点、9月25日の評価会議では、(1)の腹膜播種・進行性胃がん患者への「パクリタキセル腹腔内投与および静脈内投与ならびにS-1内服併用療法」と(3)の難治性天疱瘡患者への「リツキシマブ静脈内投与療法」の2技術について、「臨床研究計画の変更」を認めるか否かが議題となりました。

まず(3)の技術については、「予定10症例」のところ、「11例目の申請」があったことから、実施期間を据え置いたまま「予定20症例」への拡大を認めてほしい、などの変更申請が実施医療機関である慶應義塾大学病院からなされました(「これから症例数を増やしたい」という変更申請)。

構成員からは、「11例目の追加は認めるべきだが、そこでいったん終了すべきではないか。20症例まで増やさなければならないような事態が生じているのか?」といった厳しいものから、「実施期間の延長を求めるものではない。患者申出療養の性格上、予定症例数は必ずしも厳密に設定されたわけではない。症例数が増えることは好ましい」という好意的なものまで、さまざまな意見が出されました。結論として、「実施期間の延長はなく、技術の保険適用に向けたロードマップに変更はない。症例数の拡大を認めてよい」こととなりました。ただし、「技術の保険適用に遅れが生じないか、製薬メーカーも含めてしっかり確認すべき」との条件が付けられています。

胃がんへのパクリタキセル腹腔内投与等療法、実施期間を延長し「治療継続」を可能に

また(1)の技術については、今年(2020年)6月末時点において「12症例で試験治療が継続」されています。臨床研究計画では「実施期間は今年(2020年)10月までとする」こととなっていますが、当該12症例について「計画どおりに試験治療を終了してしまうと、腫瘍が進行する可能性がある」ことを踏まえ、当該12症例に限り「実施期間を来年(2021年)10月まで延長する」こととなりました(本技術も、複数施設で同時に実施したことなどから予定症例数を上回ってしまっており(予定100症例のところ111症例に増加)、この点については既に臨床研究計画が変更されています)。

計画策定時には想定しきれなかった事象が生じえることから、「臨床研究計画の変更」そのものは否定されません。しかし構成員からは「野放図に、だらだらと実施期間が延長されることは好ましくない」(当該技術の保険適用スケジュールに遅れも生じてしまう)との意見が出ている点には留意が必要です。

なお、(1)の技術に類似した「がん患者へのパクリタキセル腹腔内投与および静脈内投与ならびにS-1内服併用療法」については、先進医療技術(これも保険診療と保険外診療との併用を認める仕組み)の中でも実施されており、これまでに「比較技術と比べて統計学的な有意差が見られない」(つまり有効性が確認されない)というデータも出ています。このため有識者からは「患者申出療養のほうでも継続されているが、生煮えのような状態で続いており、どこかできちんと薬事承認の方向に向けて舵を切るべき」との指摘もなされています。

天野慎介構成員(全国がん患者団体連合会理事長)はこうした状況も踏まえ、「改めての現状報告・中間報告を求めるべき」と要請しました。患者の期待が大きな治療法だけに「効果が見込めるのか」を明確にすべきとの指摘と言えます。厚生労働省は実施医療機関である東京大学医学部附属病院に中間報告を求める考えです。

患者申出療養の評価、「実施症例について有効か、安全か」を軸に実施

上述の通り、患者申出療養は「保険適用を目指す臨床研究計画」として実施されるため、計画に沿った試験治療が終了した後に「安全性や有効性の評価」を行うことが必要です。

ただし、「患者の希望・申し出を起点とする仕組み」であることから、▼臨床研究計画の作成(とりわけ症例数の計画など)が難しい▼事後の有効性・安全性の評価が難しい―という側面もあります。例えば数例しか実施されなかった技術について、「従来技術と比べて有効性や安全性は優れているか」を判断することは非常に困難です。

このため評価会議では、有効性・安全性の評価を「当該技術を実施した個別患者(実施症例)について有効と考えられるか、安全であったかなどを評価する」ことに改める方向で議論。9月24日の会合では、総括評価表の記載変更内容を決定しています(関連記事はこちらこちら)。

患者申出療養の総括評価表の見直し内容(抜粋)(患者申出療養評価会議 200924)



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