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がん診療や相談支援に携わる人材の不足・偏在の解消が急務、D to P with D等も含めた総合的対策が必要不可欠—がん対策推進協議会(2)

2022.10.20.(木)

がん予防・医療・共生の「基盤」となる、研究開発や人材育成、デジタル化なども、2024年度からの次期がん対策推進基本計画にしっかりと位置付けていく必要がある—。

人材育成については、「全体としての不足」とともに「地域間・病院間の偏在」が大きく、これを緩和するために「オンライン診療を活用したD to P with D」などを含めた総合的な対応を検討していかなければならない—。

また、インターネットなどにある「がん情報」の4割は有害出るなどの研究もあり、「正しい情報」の普及啓発が極めて重要である—。

10月13日に開催されたがん対策推進協議会で、こういった議論も行われています。

がん情報の4割は有害、国立がん研究センター中心に「正しい情報」提供進める

第4期がん対策基本計画の策定論議が、極めてタイトな日程の中で精力的に進められています(関連記事はこちらこちら)。10月13日の会合では、「がん医療の充実」と「基盤整備」を議題としました。本稿では「基盤整備」に焦点を合わせます(がん医療に関する議論の記事はこちら)。

がん対策における「基盤整備」とは、予防・医療・共生などの諸施策を支える▼研究・開発▼人材育成▼がん教育・知識の普及啓発▼がん登録▼患者・市民参画▼デジタル化—を意味します。

第3期がん対策基本計画の中間評価、専門家による研究・分析、これまでの議論などを踏まえ、厚生労働省は例えば次のような検討の視点を提示しました。

【研究・開発】
▽「がん研究10か年戦略中間評価報告書」(厚労省サイトはこちら(中間報告))も踏まえ、次期10か年戦略に盛り込むべき視点を検討する(例えば、小児・AYA世代のがんに対する治療薬開発、小児・希少がん領域におけるドラッグラグ解消、他分野と連携した研究)
▽がんゲノム医療の推進に向け「全ゲノム解析等実行計画」の着実な実行も盛り込む
▽基本計画見直しの中で指摘された各分野の政策課題の解決に資する研究を推進する
▽適切な臨床研究等の情報提供のあり方を検討し、拠点病院等を中心に展開する

【人材育成】
▽とりわけがん診療連携拠点病院等において、専門的な人材の育成、専門的な配置を進める(高度化するがん医療現場を担う人材、患者・家族ケアを実践する医療従事者、創薬、ビッグデータの活用等のがん医療・研究を支える学際的専門職など)
▽関係団体・文部科学省との連携、人材の効率的な活用等を含め、引き続き検討する
▽評価については、現況報告書や各研修修了者数等を用いる
▽専門的な人材に関する質的な評価については患者体験調査等を用いる

【がん教育・知識の普及啓発】
▽文部科学省と連携して、小学校・ 中学校・高等学校の各段階に応じた教育を実施する
▽医療従事者やがん患者等の外部講師も積極的に活用いただけるよう周知を進め、オンラインも活用した取り組みを推進する

【がん登録】
▽引き続き、質の高い情報収集に資する精度管理に取り組む
▽利活用の推進について、がん登録推進法等の規定整備を含めた現行の課題の克服に向けた議論を、がん登録部会に おいて引き続き進める

【患者・市民参画】
▽がん対策に関する計画作成過程から、引き続き多様ながん患者等の参画を求める
▽様々な分野から参画できる仕組みを検討する
▽がん研究分野での患者・市民参画の状況も踏まえ、他分野に展開していく
▽医療者側にも十分な理解が得られるよう啓発等に取り組む

【デジタル化】
▽予防・医療・共生の各分野でデジタル技術の活用等を検討する(予防ではPHR(Personal Health Record)の推進、検診受診勧奨・申し込みのオンライン化など、医療では現況報告書のオンライン化、連携医療機関とのオンライン会議など、共生では談支援のオンライン化、効果的な情報提供など)
▽個人情報保護の観点に十分留意する



まず【研究・開発】は、患者や家族が「早期の実現」をもっとも切望している事項の1つと言えます。中釜斉会長代理(国立がん研究センター理事長)はがんゲノム医療や創薬などの広範な分野について「最新の研究状況」を整理するとともに、研究推進に付随する「倫理面での対応」「個人情報保護」「差別対応」にも積極的に取り組んでいる現状を報告しています。例えば、ある患者について、遺伝子解析の結果、「がんになる遺伝的要素が強い」ことが判明したとき、それが漏洩すれば就学・就職・婚姻など様々な場面で「差別的な対応」を受けかねません。そうした点にも配慮しながら研究を進めていきますが、配慮が研究の足を引っ張ってしまっても困ります。両者を十分考慮していく考えを中釜会長代理は強調しています。

なお、「薬価制度が頻繁に変わるために、我が国の医薬品市場の魅力が低下し、優れた医薬品が我が国に上市されない(保険適用申請すらされない)」という事態(新たなドラッグ・ラグ)が生じています(関連記事はこちら)。中釜会長代理は、この点にも言及し「我が国で治験を行ってもらえるよう、企業を呼び込めるような環境を整えることも重要である」とコメントしています。



また【人材育成】は、予防・医療・共生、さらには教育、情報発信、基礎研究のすべての場面で重要となります。この点について石岡千加史委員(東北大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学分野教授、東北大学病院腫瘍内科長、日本臨床腫瘍学会理事長)は▼全体としての人材不足▼領域間・地域間・病院間の偏在—に注目。例えば、抗がん剤治療の中心となる「腫瘍内科医」については、日本全国で不足が生じており、それが大きな「都道府県間の腫瘍内科医配置の格差」「拠点病院間の腫瘍内科医配置の格差」を招いています。石岡委員は「格差の要因を詳細に分析した的確な対応を行う」とともに、「オンライン診療を活用した地域間・病院間の格差緩和を早急に図る」ことなどが必要と訴えています。

がん薬物療法における人材の格差(1)(がん対策推進協議会(2)1 221013)

がん薬物療法における人材の格差(2)(がん対策推進協議会(2)2 221013)

がん薬物療法における人材の格差(3)(がん対策推進協議会(2)3 221013)



例えば、人員配置が比較的潤沢な都道府県拠点病院と、人員配置が薄くなっている地域拠点病院などととをオンラインで結び、「都道府県拠点病院の専門医が、地域拠点病院における医師-患者間の診断・治療をサポートする」、いわゆる「D to P with D」のような仕組みを設けることで、医師の地域・病院間偏在を一定程度緩和できると期待されます。さらに安定した高速通信技術網が整備されれば「ロボット手術支援機器を用いて、はるかな遠隔地の患者に対する外科手術も行える」時代が到来すると期待されます。

医師に限らず、看護師、薬剤師、リハビリ専門職、栄養士などの多職種で同様の課題があり、総合的な視点に立った「人材育成・確保」策を策定・実施していくことが求められます。



さらに、こうした「基盤」の「基盤」ともなるのが「デジタル化」でしょう。効率的かつ効果的に研究を進めていくためには「十分な量と、精度の高さを併せ持ったデータベース」構築が極めて重要です。人材確保で重要となるオンライン診療のベースは、述べるまでも泣くデジタル技術が必要不可欠となります。今後、がん対策に向けて、産業界とも連携したデジタル化を強力に進めていく必要があります。ただし、その際には「個人情報の保護」や「デジタル化から零れ落ちる人(高齢者など)の救済」にも十分な留意が必要となることは述べるまでもありません。



なお、がん対策において「患者・国民が正しい情報にアクセスできる」環境を整備することが極めて重要です。しかし、インターネット網が整理される中で、情報があふれ、中には「怪しげな民間療法サイトにたどり着いてしまい、正しい治療を受ける機会が阻害されてしまう」患者も決して稀ではありません。この点ついて若尾文彦参考人(国立がん研究センターがん対策情報センター長)は「我が国のがん情報の4割は『有害』である(役に立たないではなく、有害である)の研究結果がある」ことを紹介。国がんにおいて「正確な情報」提供を行うとともに、「民間を含めた正しい有益な情報へのリンク」を進めていることも報告しました。



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