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平成28年度診療報酬改定検証 大規模な民間病院、大学病院では大幅減収

2017.2.1.(水)

 2016年度診療報酬改定から約1年が経過し、経過措置が終了した10月以降のDPCデータが出揃ってきたため(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)が保有するDPCデータを使用して改定の影響について分析を行いました。その結果、大規模な民間病院や、大学病院では改定後に大幅な減収となっています(関連記事はこちらこちら)。

病床規模別母体別 合計収益変化

 今回は、改定前の2015年10月-12月、改定後の16年10月-12月の両期間にデータがある354病院を対象に、対象期間における診療実績を該当月数で除して「月当たりの影響」を算出し、比較しています。

 病院の合計収益に与える要素として、下記の7項目があげられます。それぞれの改定前後の変化を見てみましょう。

 1.症例数

 2.DPC病床の延べ在院日数

 3.総病床の延べ在院日数

 4.係数加味の包括DPC収入

 5.入院期間Ⅲ超のDPC収入

 6.DPC病床での出来高収入

 7.DPC外病棟での収入

病院経営に大きな影響を与える7つの要素について、規模別に2016年度改定前後の変化を見てみた

病院経営に大きな影響を与える7つの要素について、規模別に2016年度改定前後の変化を見てみた

 

1.症例数

 急性期の病院だけでなく、回復期、慢性期の病院でも在院日数短縮圧力が強まり、患者の抱え込みが予測される。また、外来化学療法、外来手術の推進も入院患者減少に影響を与えていると予測される。

2.DPC病床の延べ在院日数

 実患者数の減少、重症度・1日単価対策としての在院日数短縮、地域包括ケア病棟などDPC外病棟設置による短縮が考えられる。1月25日の中医協では「7対1入院基本料届け出病床は対前年で約7000床しか減っていない」ことが報告された、今年度は病床稼働低下により病棟閉鎖、ダウンサイズを検討する病院が出てくることも予想される。

3.総病床の延べ在院日数

 重症度対策の一環などで地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟を設置し、ポストアキュート、サブアキュートと幅広い患者を受け入れ、在院日数短縮へのインセンティブをかわすことができる病床を抱えることで、DPC病床の在院日数は減少しても、病院全体としての延べ在院日数は維持、増加している病院も見られた。

4.係数加味の包括DPC収入

 入院期間Ⅲが延長されたことによる包括DPC収入の伸びが顕著である。しかし、入院期間Ⅲ超部分の組み入れによる包括DPC収入の伸びは、1日単価低下も招いており、単純に喜ぶことはできない。

5.入院期間Ⅲ超のDPC収入

 入院期間Ⅲが延長されたことにより、今まで出来高収入となっていた部分がDPC包括収入へ移行することにより大幅な収入減少となっている。従前は出来高算定であったことから高額な薬剤、検査などが使用できていた期間が、包括支払いになることでこれらを算定できなくなり実収入も少なくなっている。

6.DPC病床での出来高収入

 手術、リハビリ、高額薬剤、各種加算の影響がある。ケースミックスによって影響度は異なるが、手術、高額薬剤の変化によりDPC病床での出来高収入が減少している病院がみられる。

7.DPC外病棟での収入

 地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟などを増床、新設した病院では、DPC病床での減収幅をカバーできている。ただし、DPC病棟とDPC外病棟の病床管理がうまくいっていないために恩恵を享受できていない病院も見受けられる。

【更新履歴】

 100床未満の病院についてサンプル数が少なかったため、200床未満として合算し、図表を差し替えました。本文の内容に変更はありません。

解説を担当したコンサルタント 湯原 淳平(ゆはら・じゅんぺい)

yuhara 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。看護師、保健師。
神戸市看護大学卒業。聖路加国際病院看護師、衆議院議員秘書を経て、入社。社会保障制度全般解説、看護必要度分析、病床戦略支援、地域包括ケア病棟・回リハ病棟運用支援などを得意とする。長崎原爆病院(事例紹介はこちら)、新潟県立新発田病院(事例紹介はこちら)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「週刊ダイヤモンド」(掲載報告はこちらこちら)、「日本経済新聞」(掲載報告はこちら)などへのコメント、取材協力多数。

 

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