2017年10月の後発品割合71.1%、「伸び悩み」から脱せず―協会けんぽ
2018.2.27.(火)
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は昨年(2017年)10月時点で71.1%。前月から0.1ポイントダウンしており、明らかに「伸び悩みから脱せない」状況となっている―。
こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が2月24日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。
2020年9月に80%以上、という第2目標達成に向けた方策の検討・実行が必要
国民の負担能力を超えて医療費が増加すれば医療保険制度が破たんし、世界に冠たる国民皆保険制度が崩壊してしまいます。「保険証1枚あれば、低廉な自己負担で高水準の医療を受けられる」仕組みが崩壊すれば、我が国の健康水準も大きく低下してしまいます。
そこで医療費の伸びそのものを抑える医療費適正化対策が進められています。その一環として「効果が同じで価格が安いジェネリック医薬品(後発品)」の使用促進が重視されており、政府は▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定しています。
協会けんぽを運営する全国健康保険協会では、以前より「後発品に切り替えた場合には、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を個別加入者に宛てて発出しているほか、毎月の後発品使用割合を公表などしています(関連記事はこちら)。昨年(2017年)10月の状況を見ると、数量ベースで71.1%(新指標、調剤分)となりました。
グラフから明らかなように、後発品使用割合は昨年(2017年)1月に70.6%に達した後、増減を繰り返しており、前月(2017年9月)にはこれまでで最も高い「71.2%」を記録しましたが、2017年10月には0.1ポイントダウンしていました。
第2目標の「80%以上」との間に9ポイント程度の開きがあります。2017年1月から10月までで、単純計算で0.5ポイント増加しており、計算上は18か月で「80%以上」を達成できることになります。しかし、2017年1月以降の「増減」を見ると、70%超過後の増加には相当の困難が伴うことが予想されます。「伸び悩み」脱却に向けて、どういった方策がとれるのか、さらなる検討・実行が必要でしょう。
大都市で後発品使用割合が伸び悩み
また後発品使用割合を都道府県別に見ると、依然として大きなバラツキがあることが分かります。
昨年(2017年)10月に後発品割合が低い(70%をクリアできていない)のは、▼徳島県:62.3%(前月から0.4ポイント増)▼山梨県:63.5%(同0.7ポイント減)▼高知県:65.1%(同0.6ポイント減)▼和歌山県:68.2%(同0.2ポイント増)▼香川県:68.4%(同0.1ポイント増)▼大阪府:68.4%(同増減なし)▼広島県:68.6%(同0.1ポイント減)▼京都府:68.7%(同0.2ポイント減)▼東京都:69.2%(同増減なし)▼大分県:69.5%(同0.1ポイント増)▼神奈川県:69.5%(同0.2ポイント減)—の11都府県です。
東京都、大阪府をはじめとする大都市で後発品使用割合が伸び悩んでおり、他道県を参考にした「後発品使用促進策」を改めて進めるとともに、大都市で後発品使用割合が伸びない原因の究明(若人が多く後発品使用に関心が薄いのか、後発品への信頼性に疑問を持つ人が多いのか、など)を真剣に行う時期に来ていると言えるでしょう。
なお、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の79.3%(同0.3ポイント増)、去たん剤の75.1%(同0.2ポイント増)、消化性潰瘍用剤の67.2%(同0.2ポイント増)など、逆に後発品使用割合が低いのはホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の13.2%(同0.3ポイント増)、代謝拮抗剤の19.5%(同2.2ポイント増)、などとなっています。
また金額ベースでは、血管拡張剤の67.0%(同0.3ポイント増)、去たん剤の59.9%(同0.4ポイント増)、抗生物質製剤のうち「主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの」の43.3%(同増減なし)など、逆に後発品使用割合が低いのは、後ウイルス剤の5.3%(同増減なし)、抗パーキンソン剤の6.5%(同増減なし)、などとなっています。
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