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2018年度、1000万円以上の超高額レセプトが増加、1か月の医療費最高額は血友病A患者の9058万円―健保連

2019.9.24.(火)

 昨年度(2018年度)において、1か月当たり医療費が1000万円以上となった高額レセプトは728件あり、1か月当たり医療費の最高額は血友病A患者で9058万1510円であった―。

 健康保険組合連合会が9月24日に公表した昨年度(2018年度)の「高額レセプト上位の概要」から、こういった状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら)(2017年度に関する記事はこちら、2016年度に関する記事はこちら)。

1000万円以上2000万円未満のレセは前年度から40%増加、2000万円超も14%増

 健康保険組合(健保組合)は、主に大企業の従業員とその家族が加入する公的医療保険です。健保組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)では、毎年度のレセプトから「1000万円以上の高額レセプト」を抽出し、分析しています。

 高額レセプトは昨年度(2018年度)には728件発生し、過去最高を更新しました。ここ数年度の状況を見ると、▼2013年度:336件→(36件減)→▼2014年度:300件→(61件増)→▼2015年度:361件→(123件増)→▼2016年度:484件→(48件増)→▼2017年度:532件→(196件増)→▼2018年度:728件―となっており、概ね増加傾向にあることが分かります。

 
 また40万円以上のレセプトが増加してきているのか、減少してきているのかを経年で見てみると、▼1000万円以上2000万円未満(前年度から40.43%増)▼2000万円以上(同13.89%増)▼500万円以上1000万円未満(同11.93%増)―といった高額レセプトの増加率が大きく、かつ「2016年度から17年度にかけての増加率」よりも「2017年度から18年度にかけての増加率」が非常に大きくなっていることも分かりました。

 
健保連では、前年度と同様に、例えば2015年11月には、造血幹細胞移植後の急性GVHD(移植片対宿主病)治療薬「テムセルHS注」(収載時の薬価は1バッグ当たり86万8680円)が、2016年5月にはライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病)治療薬「カヌマ点滴静注液20㎎」(同10ml1瓶当たり127万7853円)が、さらに2017年8月には脊髄性筋萎縮症治療薬「スピンラザ髄注」(12mg5mL1瓶当たり932万424円)が保険収載されていることを紹介しており、「高額な医薬品の保険収載が高額レセプト増加の大きな要因になっている」と考えていることが伺えます。

 
 なお、昨年度(2018年度)における最高額のレセプトは、血友病Aの患者で1か月当たり9058万1510円でした。また▼第2位:血友病A患者(5625万470円)▼第3位:血友病B患者(3091万7610円)▼第4位:コレステロールエステル蓄積症患者(3068万1790円)▼第5位:特発性拡張型心筋症(3048万5250円)―と続きます。2017年度に続き、昨年度(2017年度)も「月額1億円を超えるレセプト」は出現していません。

 上位100件の高額レセプトを疾病別に見てみると、循環器系疾患がもっとも多く48件、次いで血液疾患14件、先天性疾患1件、その他37件で、悪性腫瘍はゼロ件でした。

 
 ところで、こうした高額レセプトが発生した場合、健保組合の財政が一時的に苦しくなることも考えられます(とくに小規模な健保組合で)。そこで健保連では、いわば「再保険」とも言える仕組みを用意しています。具体的には保険料の一部をプールし、高額レセプト(2018年度は一般疾病では120万円超、血友病などの特殊疾病では40万円超)が発生した健保組合に対して、基準額(同)を超過した分が交付されます(高額医療交付金交付事業)。

 
 
 

 

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