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紹介状なし患者からの特別負担義務拡大は問題点多し、オンライン診療の拡大は慎重に段階を踏んで—日病・相澤会長

2020.10.26.(月)

政府の全世代型社会保障検討会議が求めている「紹介状なし患者からの特別負担(受診時定額負担)」徴収義務の拡大には問題点が多い。病院勤務医の外来負担軽減を目指すのであれば「入院・外来患者の比率」を要件化するなどすれば達成できる—。

日本病院会の相澤孝夫会長は10月26日の定例記者会見で、このような考えを改めて明確にしました。

また、オンライン診療に関しても、医療の質・安全を確保するために、慎重に段階を踏んで拡大していくべきとの考えを強調しています。

10月26日に定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

大病院の「紹介状なし患者」への定額負担導入、問題点の多さを再確認

政府の全世代型社会保障検討会議では、昨年(2019年)末の中間報告において「大病院の外来を紹介状なしに受診する患者」に対する特別負担(現在は初診時5000円・再診時2500円)について、次のような制度拡大(見直し)を行う方針を打ち出しています。

▽特別負担の金額を引き上げる

▽徴収義務対象病院を「200床以上の一般病院」に拡大する

▽増額分について「公的医療保険の負担を軽減する」仕組みとする

▽定額負担を徴収しない場合(緊急その他のやむをえない事情がある場合、地域に他に当該診療科を標榜する保険医療機関がない場合など)の要件を見直す



詳細を社会保障審議会(医療保険部会、医療部会)や中央社会保険医療協議会で詰めることとなっており、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえて、検討期限は「本年(2020年)末」とされています(関連記事はこちら)。



ただし、この問題については、日本病院会をはじめ病院団体では当初から、この方針には例えば次のような大きな問題があることを指摘しています。

▽大病院の定義はなく、意識も異なる(500床以上、1000床以上と考える人もいれば、200床でも大病院と考える人もいる)

▽同じ病床数の病院であっても、地域や施設によってその機能は全く異なる(都市部で医療機関が多数ある場合には「専門機能に特化」することも可能だが、地方で当該病院1つしかないような場合には、規模が大きくても地域密着型の医療提供を行うことになる)

▽外来医療の機能分化について正面からの議論はなされておらず、「かかりつけ医機能」に関する共通認識や定義も存在しない



日本病院会の常任理事会では、こうした点を改めて確認するとともに、「単なる反対」に終わらせず具体的な「代案」を示していく方針を固めています。

全世代型社会保障検討会議による「特別負担(受診時定額負担)拡大」の背景には、▼膨張する医療費について、患者負担を増加させ、国費負担を軽減する▼多忙な病院勤務医を「外来負担」から解放する—などの狙いがあると考えられます。

前者については「数字(例えばベッド数や定額負担額の金額)を変えていけば、国民・患者の負担が大きくなっていく」危険があり、相澤会長は「好ましくない」と指摘しています。

一方、後者の「勤務医の負担軽減」に関しては、相澤会長は、その考え方を否定せず、ただし「別の仕組みでも達成可能」との考えを示しました。例えば「入院・外来の比率」を要件化することを相澤会長は例示しています。例えば、「1年間の総入院患者1に対し、同じく総外来患者はX以下でなければならない」などの基準を設ければ、病院側はこの基準をクリアするために「逆紹介」を積極的に行うことになり、結果として「外来負担の減少」という目的を達成できることになります。

相澤会長は「逆紹介による再来患者の減少は、病院の努力で可能である」と説明したうえで、「特別負担(受診時定額負担)の拡大で、そもそも初診患者の大病院受診を抑制できるのか」とも指摘します。

患者の大病院志向は、はるか以前より問題視されており、例えば1996年の健康保険法改正によって「一般病床200床以上の病院では『紹介状なしの外来患者』から特別負担を徴収できる」こととされ、現在の「特別負担(受診時定額負担)の徴収義務化」に繋がってきていますが、効果が「十分かつ明確か」と問われれば、疑問も生じます。相澤会長は「目的が達せられずに、患者負担だけ大きくなるのでは本末転倒であろう」ともコメントしています。

今後、日病内で「代替案」(上述)や「特別負担徴収を義務化する病院の要件案」などを検討していくことになるでしょう。

「初診は原則として対面で実施すべき」と日病幹部の考えは一致

また菅首相は「オンライン診療を拡大していく」方針も明確化。田村憲久厚生労働大臣は「初診患者からのオンライン診療を解禁し、新型コロナウイルス感染症を踏まえた臨時特例措置でなく、恒久的な新たな診療形態の1つとする。ただし、電話初診は認めず、映像を伴うものを対象とする」などの大きな考え方を明らかにしており、今後、詳細を厚労省検討会(「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」など)で詰めていくことになります。

しかし、日病の常任理事会では、オンライン診療の安易な拡大は「医療の質、医療の安全を確保できなくなる」危険性が大きいとの考えで一致。相澤会長は、「将来、ICT技術が発達してオンライン診療でも対面診療と同等の情報(映像・音声だけでなく、触診を可能としたり、匂いを覚知できたりなど)を得られるようになれば別だが、オンライン診療の拡大は一つ一つ慎重に進めていくべきではないか」との考えを強調しています。

具体的には、「初診」について「新型コロナウイルス感染症が大流行するなど特別な状況に下では、何らかの方法で認められる」としたものの、「通常時には対面が基本である」との考えで日病幹部は一致しています。

また「再診」についても「便利なのでどんどん広げていくのはいかがなものか、基準(例えば実施可能なポジティブリスト)をしっかり定め、医療の安全性、医療の質を担保しながら拡大していくべきである」との考えです。

「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」や中医協などでも、オンライン診療については「医療の質、安全性を確認しながら、段階的に拡大していくべき」との考えで意見がまとまっており、やはり「性急な拡大」に医療現場は大きな違和感を抱いているようです。

ぽんすけ2020 MW_GHC_logo

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