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Gem Med塾 病院ダッシュボードχ ZERO

国民の医療機関選択サポートサイト、不妊治療実施・過去の診療情報を活用した医療提供の有無等の情報追加―医療情報提供内容検討会(1)

2023.1.13.(金)

患者・国民の医療機関等選択を補助することを目的とする「医療機能情報提供制度」について、「不妊治療を行っているか否か」「過去の診療情報を活用した、より質の高い医療提供を行っているか否か」「医療安全確保に向けた研修を院長が受講しているか否か」などの情報を追加する—。

1月12日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方針が概ね了承されました。「地域住民が医療機関選択をする際に、分かりやすい情報を提供する」という目的を踏まえ、厚生労働省内で「分かりやすい内容」へと調整を行い、「本年度中の関係告示改正」を目指します。

なお検討会では、不適切な広告(禁止事項の広告、誇大な広告)への対応も議題としており、別稿で報じます。

1月12日に開催された「第20回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」

医師少数区域での勤務経験ある医師の配置状況などの情報も追加

「医療機能情報提供制度」は、国民による医療機関の適切な選択をサポートすることを目指し、医療機関等(▼病院▼診療所▼歯科診療所▼助産所―)に対し、自院の持つ機能を毎年度、都道府県に報告することを義務付けるものです。都道府県は報告された情報を整理して、ホームページ上で公開しています(厚労省のサイトはこちら(各都道府県のホームページに飛ぶことができる))。



1月12日の検討会では、医療機関等が報告すべき事項について、次のような修正・追加を行う方向を議論しました。いずれも患者・国民の医療機関選択において重要な情報であり、追加・修正内容は了承されましたが、一部、留意を求める意見も出ています。

(1)一般不妊治療、生殖補助医療
(2)オンライン資格確認(マイナンバーカードの 保険証利用)により取得した診療情報を活用し た診療
(3)電子処方箋の発行
(4)医師少数区域経験認定医師
(5)救急救命士、管理栄養士、栄養士
(6)医療安全対策



まず(1)は、2022年度の診療報酬改定で一般不妊治療・生殖補助医療が保険適用されたことを踏まえ、医療機関が▼一般不妊治療(B001の32【一般不妊治療管理料】、K884-2【人工授精】)▼生殖補助医療(B001の33【生殖補助医療管理料】、D008【内分泌学的検査】の「52 抗ミュラー管ホルモン(AMH)」、K890-4【採卵術】、K917【体外受精・顕微受精管理料】および【卵子調整加算】、K917-2【受精卵・胚培養管理料】、K917-3【胚凍結保存管理料】、K884-3【胚移植術】、D006-28【Y染色体微小欠失検査】、K838-2【精巣内精子採取術】)を実施しているか(列挙した診療報酬項目を算定しているか)—の報告を新たに求めるものです(関連記事はこちらこちら)。

この点、幸野庄司構成員(健康保険組合連合会参与)からは「患者・国民が知りたいのは『生殖補助医療の実績はどうなのか、どの医療機関が優れた生殖補助医療等を行っているか』という点であり、より詳細な報告(例えば妊娠に到達した割合など)を求めるべきではないか」との意見が出ました。頷ける部分もある意見ですが、▼他の報告項目とのバランスを考慮する必要がある(生殖補助医療等の実、非常に詳細な報告を求めることが適切かを考える必要がある)▼医療機関サイドの負担も考慮する必要がある(報告項目・内容が詳細になるほど、医療機関サイドの負担は大きくなる)▼中央社会保険医療協議会で「詳細な情報提供」については継続検討課題とされている(妊娠到達率を単純に公表することは誤解を招く危険がある、関連記事はこちら)—などの点を踏まえ、「詳細な報告項目の設定」は継続検討課題に位置づけられました。

生殖補助医療等実施(医療情報提供内容検討会(1)1 230112)



また(2)は病院・一般診療所・歯科診療所に対して「オンライン資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)により取得した診療情報を活用した診療を実施しているか否か」の報告を求めるものです。

Gem Medでも繰り返し報じているとおり、オンライン資格確認等システムのインフラを活用し、患者同意の下で「当該患者の過去の診療情報」(薬剤情報、特定健診情報、検査情報、医学管理情報など)を医療機関が確認・共有し、より質の高い医療提供につなげる取り組みが進められてきています(関連記事はこちらこちらこちら)。

患者・地域住民にとって、この「より質の高い医療提供を行っているか否か」の情報は、医療機関等選択において非常に重要です。

ただし三浦直美構成員(フリーライター/医学ジャーナリスト協会幹事)は「オンライン資格確認という言葉は一般国民には分かりにくい。どういった内容なのかを分かりやすく示す必要がある」と指摘しており、厚労省で「医療に詳しくない一般国民にも分かりやすい表現」を検討することになりました。

過去の診療情報活用(1)(医療情報提供内容検討会(1)2 230112)

過去の診療情報活用(2)(医療情報提供内容検討会(1)3 230112)



また(3)は病院・一般診療所・歯科診療所に対して「電子処方箋の発行に対応しているか否か」の報告を求めるものです。

上述したオンライン資格確認等システムのインフラを活用した「電子処方箋」が、この1月から全国展開されます(関連記事はこちら)。リアルタイムに「禁忌の薬剤が処方されていないか」「重複投薬はないか」などを把握でき、より質の高い医療提供につながる仕組みであるため、「どの医療機関等が電子処方箋に対応しているか」は患者・国民にとっても非常に重要な情報です。

この点、幸野構成員は「医療機関等だけでなく、どの薬局が電子処方箋に対応しているのかという情報も患者・国民にとって極めて重要である」と指摘しています。非常に重要な指摘ですが、調剤薬局(保険薬局)は医療機能情報提供制度の対象外であり(対象は医療機関と助産所)、別の仕組みの中で検討していくことになります。

また黒瀬巌構成員(日本医師会常任理事)は「電子処方箋やオンライン資格確認等システムによる診療情報活用は、参加医療機関が十分に増え、すべての診療情報が確認できる状況になってこそ真価を発揮するが、現状ではまだそうなっていない。その点を踏まえた情報提供を考えてほしい」と要望しています。

電子処方箋発行(1)(医療情報提供内容検討会(1)4 230112)

電子処方箋発行(2)(医療情報提供内容検討会(1)5 230112)



他方、(4)は「医師少数区域での従事経験について認定された医師」の配置人数、(5)は「救急救命士、管理栄養士、栄養士」の配置人数の報告を求めるものです。

2020年4月から「医師少数区域での6か月以上の従事経験」を認定する仕組みが稼働しています。医師偏在の解消を狙う仕組みですが、当該医師は「医師少数区域で、総合的な診療能力を獲得できる」ことになります(関連記事はこちら)。したがって、この認定医が所属している医療機関では「全人的、総合的な医療提供を行える」と考えられ、患者・住民が医療機関を選択する際に、非常に重要な情報となります。

また2021年10月から救急救命士が医療機関の救急外来で業務を行うことが認められました(関連記事はこちら)。また管理栄養士・栄養士による適切な栄養管理・指導が治療成績向上に大きく寄与することから、診療報酬による評価も行われてきています(関連記事はこちらこちら)。こうした多職種を多数配置している医療機関では、多職種チームによる質の高い医療提供がなされていると考えることができ、やはり患者・住民が医療機関を選択する際に非常に重要な情報となります。

なお、桐野髙明座長代理(東京大学名誉教授)らは「言語聴覚士などの、他のメディカル・スタッフ配置についても報告対象に加えていくべき」と指摘しており、今後の検討課題の1つになるでしょう。

認定医師配置(医療情報提供内容検討会(1)6 230112)

救急救命士、管理栄養士、栄養士配置(医療情報提供内容検討会(1)7 230112)



さらに(6)は医療安全の確保に向けて、▼「医療事故調査制度に関する研修」を管理者(院長など)が受講しているか否か▼「医療安全における医療機関の連携による評価」を実施しているか否か—の報告などを求めるものです(関連記事はこちら)。安全性の高い医療提供を行っているか否かの情報が患者・国民にとって極めて重要であることは述べるまでもないでしょう。

医療安全対策(1)(医療情報提供内容検討会(1)8 230112)

医療安全対策(2)(医療情報提供内容検討会(1)9 230112)

医療安全対策(3)(医療情報提供内容検討会(1)10 230112)



今後、厚労省で「一般国民にとって分かりやすい表現、内容にする」との視点で最終調整を行い、年度内(2023年3月まで)の告示改正を目指します。

医療機能情報提供制度の全国統一システム化、医療機関等は2024年1-3月に報告

ところで、「医療機能情報提供制度」には、従前より「都道府県によって内容などがバラバラとなっており、分かりにくいのではないか」との指摘があり、厚労省は「2024年度から全国統一システムへ移行する」ことになっています。

現在、システム開発などが行われており、厚労省は▼来年(2023年)の7-1月にかけてG-MIS(医療機関等情報支援システム)を用いて医療機関・都道府県が入力・修正などを行える機能を付与する▼再来年(2024年)1-3月に各医療機関がG-MISで報告を行う▼再来年(2024年)4月頃から一般の国民・患者が全国統一システムで医療機関の情報を閲覧可能とする—などのスケジュールを1月12日の検討会で明らかにするとともに、閲覧画面のイメージを示しました。「都道府県を跨いで医療機関情報を確認できる」「キーワード検索、科目と場所から急いで検索など、さまざまな検索が可能となる」「文字サイズ変更、音声読み上げ、多言語対応などの機能を付加する」といった工夫が凝らされ、より多くの国民が医療機能情報提供制度を活用することに期待が集まります。

全国統一システムのスケジュール案(医療情報提供内容検討会(1)11 230112)

全国統一システムの画面イメージ(医療情報提供内容検討会(1)12 230112)



また、「かかりつけ医機能を発揮できる制度設計」の一環として「医療機能情報提供制度において、かかりつけ医機能に関する情報を拡充していく」方針が固められています(関連記事はこちら)。厚労省は、今年(2023年)1月から始まる通常国会に医療法改正案を提出し、改正法制定後に詳細を固めていく考えを示しており、「全国統一システム」に移行した後に「かかりつけ医制度の拡充」を図っていくことになりますが、「いつから拡充されるのか」などは法改正を待ってから詰めていくことになるでしょう。

尾形裕也座長(九州大学名誉教授)も「法改正がなされていない段階で、スケジュールを固めることは難しい」点に理解を示したうえで、「情報提供内容の拡充は早い方が良い」との考えも明らかにしています。改正法成立後に「早急な情報拡充」を目指すことになるでしょう。



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