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2024年度以降の新たな「がん研究戦略」論議続く、低侵襲治療法開発や高齢者がん医療が重要視点の1つ―がん研究あり方有識者会議

2023.6.15.(木)

2024年度からの「新たながん研究戦略」に向けて、例えば「複数疾患を抱える高齢者へ、どのようながん医療を行うべきか」「低侵襲のがん治療法開発をどう進めていくか」などが重要視点となる—。

また、がん研究のベースとなるデータを、どのように迅速・広範に収集していくかも重要視点となる—。

6月9日に開催された「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」(以下、有識者会議)でこうした議論が行われました。

がん研究のベースとなるデータを、どのように迅速・広範に収集するかも重要視点

がん予防・医療・共生を支える「がん研究」については、現在、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の共同による「がん研究10か年戦略」(以下、10か年戦略)に沿って進められています。本年度(2023年度)に10か年戦略が終了することから、2024年度以降の「新たながん研究戦略」の構成を固める議論が有識者会議で始まっています(関連記事はこちら)。

議論は、10か年戦略をベースに「さらに進める点は何か」「新たに実施すべき事項を何か」という視点で行われています。6月9日には、▼患者に優しい新規医療技術開発▼ライフステージやがんの特性に着目(うち高齢者、難治性がん、希少がん)▼がんの予防法や早期発見手法▼充実したサバイバーシップを実現する社会の構築▼がん対策の効果的な推進と評価▼免疫療法に係る研究、リキッドバイオプシーに係る研究▼がんデータベース、細胞株やサンプルの利用、患者報告アウトカム、患者参画に係る取り組み、がん研究を担う人材の育成—など広範なテーマを議論しました。

このうち「患者に優しい新規医療技術開発」に関しては、事前に「手術等だけでなく、合併症マネジメントや術後の早期回復に資する、周術期管理までも含めた医療ニーズ、患者ニーズにも目を向けるべき」「より低侵襲な治療法の開発研究を進めるべき」「自家、他家の幹細胞、iPS細胞を利用した機能修復を目的とした再生医療等製品の実用化促進を図るべき」「副作用が少ない治療法の開発を推進すべき」などの意見が出たほか、会議の場で「研究を阻害しないためのルール整備が重要である。我が国では独自の研究ルールが設けられ、それが研究推進を阻んでいる(新薬開発は先進諸外国に比べて「年単位での遅れ」が生じる)」(安川健司構成員:日本製薬工業協会副会長、アステラス製薬社代表取締役会長)といった意見が出されています。

また治療法開発研究に向けて「データの収集・分析をどう進めるか」という議論も行われました。この点、「レセプト・DPC・電子カルテ・健診・検診などのリアルワールドデータ活用も重要だが、どうしてもタイムラグが出る。リアルタイムでデータを収集できる仕組みも考えていかなければならない」との視点が中村祐輔構成員(医薬基盤・健康・栄養研究所理事長)らから示されています。



また、高齢者のがんに関しては、「高齢者(総合的)機能評価のスクリーニングツール開発と臨床導入」「併存疾患や臓器障害などの身体情報、社会的背景情報(介護や医療機関へのアクセスなど)を加味した高齢者医療の評価」を求める声が、事前・会合の双方で土岐祐一郎構成員(日本癌治療学会理事長、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学 教授)や石岡千加史構成員(日本臨床腫瘍学会理事長、東北大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学分野教授、東北大学病院腫瘍内科長)らから出されています。従前からの重要論点であり、今後、さらに高齢化が進む中で重要性が増していきます。

他方、希少がん・難治性がんに関しては、土岐構成員や石岡構成員といった研究者サイドはもちろん、谷島雄一郎構成員(ダカラコソクリエイト発起人・世話人/カラクリLab. 代表)ら国民・患者サイドからも「産学官の連携推進」により、戦略的に診断法・治療法等の開発が進むことを期待する意見が多数出されています。



また予防・早期発見に関しては、組織型検診の重要性が確認される一方で、「簡易な血液診断などを導入してハイリスク者を抽出し、そこに重点的に精密検診を行うなどの抜本的な改革が必要ではないか」(石岡構成員)、「家族歴に着目してハイリスク者を抽出するような検診制度改革を考えるべき」(中村構成員)といった新たな視点での意見も出てきています。



このほか、「高額な治療技術が出てくる中で、費用対効果評価を行っていく必要がある」、「各種研究への患者・国民参画を強力に推進する必要がある」などの視点もこれまで以上に重視されてきています。



次回会合では、「がんの本態解明」や「新たな標準治療」「小児がん」「がんゲノム医療」などを議題に、今後進めるべき方向を探っていきます。



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