オンライン資格確認、「患者の利便性」と「自己情報のコントロール」の双方に配慮した診療情報閲覧同意画面に見直し—厚労省

2025.1.28.（火）

2月1日から、オンライン資格確認等システムの入り口である「顔認証付きカードリーダーの画面」が一部変更されます。

ある病院を受診し、顔認証付きカードリーダーを用いて資格確認する際に「過去の診療情報を当院で閲覧することに同意するか」を確認する画面が出ますが、その際、（1）その情報を引き継ぐ（2）現在の同意情報を確認する（3）同意内容を選びなおす—という選択肢を示し、「過去の同意情報を引き継ぐ」ことも「新しく同意内容を選び直す」ことも可能としています。

「受診の都度に、毎回毎回、同じ同意をするのは面倒である」との声に対応しながら、「患者自身が自身の情報閲覧を適切にコントロールできる」ように配慮したものと言えます。

「過去の同意情報を引き継ぐ」ことも「新しく同意内容を選び直す」ことも可能

マイナンバーカードで医療機関等を受診し、顔認証付きカードリーダーを用いて資格確認を行うオンライン資格確認等システムは「患者の資格確認（どの医療保険に加入しているのかの確認）を円滑・確実に行う」仕組みです。

さらに、このインフラを活用して「患者の診療情報（現時点では特定健康診査情報、薬剤情報）を医療機関等が確認し、診療内容に活かす」ことが可能となっています（レセプト情報の共有、電子処方箋システムはすでに稼働しており、2026年度以降に電子カルテ情報の共有が行われる、関連記事はこちら）。

もっとも、この「患者の診療情報」は重要な個人情報であるため、原則として「患者本人の同意」がなければ、医療機関等が閲覧することはできません（救急患者等では患者の生命を守るために、同意なしに過去の診療情報を医師等が確認することが可能、関連記事はこちら）。

このため顔認証付きカードリーダーを用いて資格確認を行う際には、患者に対し「当院で過去の診療情報を閲覧してよいか」を確認する画面が出てきます（ここで同意の有無を確認）。

ところで、患者サイドの中には「同じ医療機関で、何度何度も同じ確認を求められるのは面倒である。一度、閲覧に同意（あるいは不許可）としたのだから、今回も当然、閲覧に同意（あるいは不許可）とする」との声もあるようです。識者の中には「毎回の同意が面倒で、マイナンバーカードによる受診をやめ、紙保険証に戻す人もいるような」と指摘する方もおられます。

厚労省はこうした声にも耳を傾け、今般、顔認証付きカードリーダーの画面において「当該医療機関等で前回受診時に同意した情報がある場合、医療情報等の提供同意情報の引き継ぎ画面を追加する」改修を行いました。

例えば、ある病院を前回受診した際に「診療情報や医薬品の情報を閲覧してもらって構わないが、手術情報は閲覧してほしくない」と考えて同意した場合、同じ病院を次回に受診した際には、（1）その情報を引き継ぐ（2）現在の同意情報を確認する（3）同意内容を選びなおす—という選択肢が示されます。

（1）を選択すれば、前回受診時の「診療情報や医薬品の情報は閲覧可能、手術情報は閲覧不可」という内容が継続されます。

また、「この病院でどういった同意をしたのか」を覚えていない・うろ覚えであるといった場合には（2）で「前回の同意内容」を確認できます。そのうえで「同じでよい」となれば「情報を引き継ぐ」を選択し、あるいは「考え方を変えた」場合には「同意内容を選び直す」を選択することが可能となります。

さらに、「前回は手術情報は不可としたが、よく考えたら、手術情報も確認して今の傷病の治療に活かしてほしい」と思い直した場合には、（3）で「同意内容を選び直し」を選択することが可能です。

なお、「同意情報の引き継ぎ」は受診した医療機関等に対して行われ、別の医療機関等に対して行われるものでないことは述べるまでもありません。

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