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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2017年度立入検査、事故事例教訓とした業務改善の共有や特定看護師業務などを重点に―厚労省

2017.8.31.(木)

 2017年度に実施する医療機関への立入検査では、▼医療事故事例に基づく改善策の院内での共有▼偽造医薬品対策▼個人情報の保護▼特定看護師の業務―などの項目を重視してほしい—。

 厚生労働省は25日に、通知「平成29年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」を発出し、こういった点を都道府県知事らに要請しました(関連記事はこちら)。

重点項目を踏まえ、医療機関も業務の自己点検を

 医療法第25条第1項では、▼都道府県知事▼保健所設置市の市長▼特別区の区長―に、必要に応じて、医療機関に立入検査(人員、清潔保持、構造設備、診療録、助産録、帳簿書類など)を行う権限を与えています。今般の通知は、2017年度の立入検査における重点事項を示すものです。逆に医療機関においては、示された事項について、適切な管理がなされているのかを自己点検することが求められていると言えるでしょう。

 厚労省が2017年度立入検査の柱としているのは、(1)安全管理体制の確保(2)院内感染防止対策(3)最近の医療機関における事件などに関連する事項(4)立入検査後の対応その他―の4本で、これは例年と同じです。

まず(1)の安全管理体制に関しては、▼安全管理体制の確保に関する指導▼日本医療機能評価機構への適切な医療事故・ヒヤリハット事例報告が行われているのかの確認・指導▼医療事故調査制度(予期せぬ死亡事故の報告)に関する院内体制が確保されているのかの確認・指導▼医療事故防止対策の取り組み強化に向けた指導▼ドクターヘリに関する安全確保がなされているかの確認・指導▼アスベスト対策に関する指導・命令―を行うよう求めています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

とくに「安全管理体制の確保」に関しては、▼事故事例に基づき、改善策が立てられ、院内全体で情報共有できているか▼医薬品業務手順書に基づく予約がなされているか▼緊急を要する医薬品安全性情報などを迅速に取得するためにPMDAメディナビを利用しているか▼医薬品を譲り受ける際に本来の容器などに収められているか▼医薬品の譲り渡し人が販売業許可などを有し、適切な流通経路で入手しているか―などを確認し、不備があれば指導を行うよう要請。特定機能病院(群馬大学病院、東京女子医科大学病院)などにおける事故の発生や(関連記事はこちらこちらこちら)、偽造ハーボニー(画期的なC型肝炎治療薬)の流通などの事例を踏まえた内容となっています(関連記事はこちらこちらこちら)。

 
また(2)の院内感染防止対策については、MRSAやVRSAなどへの感染防止を徹底するために▼院内感染対策マニュアルの作成・見直しなどが適切に行われているか▼個人用防護具(手袋、マスクなど)の適正使用、処置前の手指消毒の励行などの標準的予防策が、職員に徹底されているか—などを確認し、必要な指導を実施するよう求めています。

 
(3)の最近の事件などに関連する事項としては、▼集団食中毒▼無資格者による医療行為▼臨床研修修了者の医籍などへの登録▼非営利性の確認▼定員超過入院▼診療用放射線の安全管理対策▼診療用放射線の防護▼職員の健康管理▼電子カルテの不具合による薬剤誤投与▼防火対策▼個人情報の適切な取り扱い▼インフォームド・コンセント―などの項目を掲げ、重点的な確認・指導を行うよう要望しています。

このうち個人情報の取り扱いについては、改正個人情報保護法に則り、適切に匿名加工などが行われているのか、十分に注意する必要があります。

またインフォームド・コンセントについては、とくに自由診療を行う美容整形外科など(例えばレーシック手術や脱毛施術)においてトラブルが多発いていることを踏まえ、▼施術に係る費用や解約条件▼施術の有効性や安全性—などを説明しているか、医学的な必要性が認められないにも関わらず即日施術を強要していないかなどを確認し、適切に指導を行うよう強く求めています。

 
さらに(4)の立入検査後の対応では、「立入検査後に改善状況を逐次把握する」よう求めているほか、▼系列病院・同系列とみなせる医療機関へは同一日に立入検査を行えるよう都道府県間で連携する▼広告などに関して医療法などを順守していない場合には適切な対応を講じる▼診療などに著しい影響を与える業務(検体検査、医療機器などの滅菌消毒、食事提供、患者などの搬送、医療機器の保守点検、医療ガスの供給設備の保守点検、寝具類の洗濯、施設の清掃)の委託先が、医療法施行規則で定める基準に適合しているかを確認する▼医師などの包括的指示の下で一定の医療行為を実施できる「特定行為研修を修了した看護師」が必要な研修を修了しているか、手順書(プロトコル)が作成されているか、特定行為研修の修了者であることが患者・家族・医療関係者などに分かるよう配慮されているかを確認し、適切な指導を行う—ことを要請しています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

 
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