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新型コロナウイルス感染症、高齢者やLDH高値者で生存率低く、出血合併症に留意したECMO早期実施が重要

2020.4.7.(火)

新型コロナウイルス感染症について、「高齢の男性で重症化しやすい」「▼高齢者▼LDH値の高い患者―で生存率が低い」可能性がある―。

また重症化のスピードが非常に速く、ECMO(体外式膜型人工肺)実施のタイミングを逸しないことが重要である。その際、出血合併症の発生に留意が必要である―。

なお、これまで(3月30日)までに40名の患者にECMOが実施され、47.5%が回復(ECMOから離脱)、37.5%が治療継続中、15%が死亡となっている―。

▼日本COVID-19ECMOnet▼日本集中治療医学会▼日本救急医学会▼日本呼吸療法医学会―がこういったデータを公表しています(以下、関係学会)。

ECMO実施者の47.5%が回復(ECMOから離脱)、15%が死亡

新型コロナウイルス感染症患者については、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、これまでのデータから「感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっている。ただし重症化した人の約半数は回復している」と分析しています。

重症患者や重篤な患者には、▼人工呼吸器の装着▼集中治療室等での管理▼ECMO(体外式膜型人工肺、extracorporeal membrane oxygenation)の使用―などが必要となってきます。

関係学会では、今般、「ECMOによる治療状況」や「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床的特徴」などについてデータを整理し、公表しました。

まずECMOの治療状況を見ると、3月30日までに40名の患者に実施されており、「ECMOから離脱し、回復した方」が19名(ECMO治療者の47.5%)、「治療継続中の方」が15名(同37.5%)、残念ながら「お亡くなりになった方」が6名(同15%)となっています。今後も継続調査・分析が待たれます(日本集中治療医学会のサイトはこちら)。

「高齢者」「LDH値の高い患者」で生存率が低い可能性

また「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床的特徴」では、ECMO治療を行った重症者32名について分析を行っています(日本集中治療医学会のサイトはこちら)。

まず患者の属性としては、▼重症者の年齢は58-73歳で、平均69歳と「高齢者が多い」▼重症者の性別をみると81%が男性である―ことが分かりました。さらなるデータ集積が待たれますが、「高齢・男性」において重症化リスクが高いことが伺われます(後述するように高齢者では生存率も低い可能性がある)。

また胸部のCT所見からは、▼胸膜直下の「スリガラス影」が特徴的である(86%の患者に見られる)▼「浸潤影」は患者の32%にとどまる―ことが分かりました。「スリガラス影」の有無に特に留意する必要がありそうです。

さらに、初診時の血液検査結果からは、▼SP-D(肺サーファクタントプロテインD)やLDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)の値は上昇することが多い▼KL-6(シアル化糖鎖抗原KL-6)の値が上昇することは少ない―ことが判明。関係学会では「発症初期の病態は肺胞上⽪傷害より炎症が主体である」と見ています。



次に患者に実施した呼吸管理のデータを見ると、次のような点が明らかになってきています。関係学会では「重症化のスピードが速い」「コンプラインが保たれることから、ECMO開始タイミングを逸しないことが重要である」「出血合併症の発生に注意が必要である」との見解を示しています。
▽気管挿管からECMOに⾄るまでの重症化速度が速い(気管挿管からECMO実施までの平均期間は2日間)
▽低酸素⾎症のわりにコンプライアンスは保たれる
▽ECMO機種・カニューラは⻑期耐久性に優れたタイプが使⽤されている
▽出⾎合併症の頻度が通常より⾼い(出血合併症はECMO実施患者の50%に、血栓合併症は同じく15%に発生)



また、投与された薬剤については、次のような状況です。薬剤の選択は、HIV感染症治療薬「カレトラ」以外は、施設によってさまざまのようです。
▽HIV感染症治療薬の「カレトラ」(成分名:ロピナビル リトナビル):95%の患者に投与
▽新型・再興型インフルエンザウイルス感染症治療薬の「アビガン」(成分名:ファビピラビル):36%の患者に投与
▽抗マラリア薬の「リン酸クロロキン」:5%の患者に投与
▽気管支喘息に用いる「オルベスコ」(成分名:シクレソニド):43%の患者に投与



さらに、治療状況・成績を見てみると、次のような結果が示されています。
▽ECMO使⽤⽇数は9日から21日で、平均は12日
▽ECMOからの⽣存離脱率は67%

▽⼈⼯呼吸の⽇数は14日から31日で、平均は20日
▽⼈⼯呼吸からの⽣存離脱率は44%

▽⼊院⽇数は21日から38日で、平均29日
▽死亡率は8%

まだ限られたデータですが、関係学会では▼ECMO⽣存離脱率は通常のECMO成績と同等である▼⼈⼯呼吸器から離脱できた患者も相当程度おられる▼⼊院期間は⻑期間となる―とコメントしています。

新型コロナ重症患者への投与薬剤と、治療成績等



これらを総合して、関係学会では次のようにアウトカム予測指標を探っています。もっとも限られたデータの中での探索であり、今後、症例が集積される中で状況が変わってくる可能性があります。
▽年齢と生存率には相関(負の相関)の可能性があり、⾼齢者(とくに76歳以上)で⽣存率が低い

重症患者の年齢と生存率には負の相関の可能性



▽初診時LDHと生存率には相関(負の相関)の可能性があり、LDH高値(636IU/L以上)で生存率が低い

初診時LDH値と生存率には負の相関の可能性



▽「気管挿管からECMOまでの日数」は、生存率・ECMO生存離脱率・人工呼吸生存離脱率のいずれとも相関がない
▽「P/F比」(呼吸状態が正常か否かを判定する指標)は、生存率・ECMO生存離脱率・人工呼吸生存離脱率のいずれとも相関がない
▽「PEEP」(呼気終末陽圧型人工呼吸、PositiveEnd-expiratory pressure)は、生存率・ECMO生存離脱率・人工呼吸生存離脱率のいずれとも相関がない



▼高齢者▼LDH値の高い患者―で生存率が低い可能性が判明しており、「感染予防」および「早期の治療」(重症化のスピードが非常に速い)が非常に重要になってきます。


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